蓄電池のスポット市場における収益状況は? 蓄電池やDR運用の現状分析:第4回「分散型エネルギー推進戦略ワーキンググループ」(3/3 ページ)
「分散型エネルギー推進戦略ワーキンググループ」の第4回会合では、蓄電池やデマンドレスポンスの現時点の運用状況を報告するとともに、今後の対応の方向性が議論された。
供給側リソースにおける系統用・再エネ併設蓄電池の現状
2026年6月末時点、全国の系統用蓄電池の「接続検討」の受付は26,757件・21,133万kW、「接続契約申込」の受付は7,596件・4,096万kW、接続済は801件・129万kWに上る。ただし、接続前の段階にある案件の中には、事業化確度の低いものが多数含まれていると考えられている。
もう少し確度の高い数値としては、容量市場メインオークションにおいて「安定電源」として応札/落札した蓄電池は2023年度:8万kW、2024年度:24万kW、2025年度:169万kW、累計で201万kWに上る。また、容量市場において「発動指令電源」として応札している1,000kW以上の発電リソースのうち、蓄電池が急増している。
さらに、2021年度以降の「系統用蓄電池補助金」にて交付決定された蓄電池の出力と、「長期脱炭素電源オークション」の第1〜3回オークションで落札された系統用蓄電池の出力を合計すると約510万kWとなる。これらはいずれも、「接続検討」「接続契約申込」の内数であると考えられる。
また、2026年度「供給計画の取りまとめ」において、蓄電池の設備容量は、2026年度:167万kW、2030年度:631万kW、2035年度:660万kW、と報告されている。
運開済み系統用蓄電池の運用実態
国の補助金採択案件の運開済み系統用蓄電池について、どの市場からどの程度の収入を得ているか、運用の実態が報告された。2025年度の運用データから、JEPXスポット市場及び需給調整市場(一次調整力)について、「約定1コマ当たり平均収入」と「平均約定コマ数」をそれぞれ集計・平均したものが図9である。これら以外に、JEPX時間前市場、需給調整市場(二次①②・三次①②)、容量市場から収益を得ている案件もあるが、ここでは集計対象外としている。
図9の通り、需給調整市場(一次)は卸電力市場(スポット)と比較して、約定1コマ当たりの収入・約定コマ数のいずれも大きいため、2025年度の実績においては需給調整市場による運用が中心となっていることが確認された。
蓄電池のJEPXスポット市場を通じた運用は、取引価格が低いコマに買電(充電)し、取引価格が高い時間帯に放電(放電)を行うことにより、買電と売電の値差収益を得るビジネスモデルである。
国の補助金採択蓄電池について、2025年度の運用データから、事業者別にスポット市場の約定量(kWh)のうち価格帯ごとの約定量の割合を算出し、平均を算出したところ、全事業者の平均単価は、買電8.3円/kWh、売電14.8円/kWhであり、値差6.5円/kWhの収益を得ていることが明らかとなった。なお、JEPXスポット市場(システムプライス)での1日における上位・下位8コマの値差の2025年度平均は8.1円/kWhであった。
スポット市場と需給調整市場がそれぞれどのような価格のときに、蓄電池事業者の収入が同程度となるかを試算したものが図11である。図11の左側でJEPXスポット市場における値差の発生頻度を見ると、いずれのエリアも5〜10円/kWhの値差帯が最も多く(約29〜38%)、次いで10〜15円/kWhが多い(約18〜29%)。
スポット市場で1日4時間(8コマ)の充放電を行い、5〜10円/kWhの値差を獲得する典型的な1日の想定収入は、需給調整市場で1〜2円/ΔkW・30分で1日約20回約定した場合に得られる収入と概ねなどしい、という試算結果となった。現時点、蓄電池事業者が収入の大半を需給調整市場に依存することは、自然なことであることが再確認された。
現時点、需給調整市場(一次など)の上限価格の引き下げ自体は、蓄電池事業者による応札市場の選択に大きな影響を与えないと考えられるが、今後の蓄電池の大量参入次第では、約定価格が下落することも想定される。
蓄電池には、調整電源としての活用だけでなく、変動性再エネ電源の余剰電力の吸収による出力制御の低減など、幅広い活用が期待されるが、現時点、このような取組は限定的である。
また、分散型エネルギーリソースの活用は、十分なサイバーセキュリティ対策が前提となる。一般送配電事業者の系統連系規定において、特高・高圧蓄電池は2027年4月から、低圧蓄電池は2027年10月からJC-STAR★1の取得が要件化され、今後、機器レベルではDR ready要件としてJC-STAR★2以上を求める方針が示されている。
分散型エネルギー推進戦略WGでは、今後も蓄電池やDRなどの活用拡大に向け、中長期的な視点も踏まえて検討を行う予定としている。
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