「今の仕事は5割が無駄」コンサル式働き方改革論デジタル化する未来でどう変わる?

働き方を変えたい、生産性を上げたい、でもなぜか効率が上がらない……。そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは多い。でももしかして、その仕事の半分は「無駄」かもしれない!? アークウェイの森屋英治社長にコンサル式の働き方改革論を聞いた。

» 2017年07月31日 10時00分 公開
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 「今の仕事の5割が無駄」「最初にゴールを設定せよ」「やたら大きくうなずいている人には要注意」――働き方改革と密接に関連する生産性について、ズバズバと切り込む人がいる。企業の情報システム全体の設計思想やシステムの構造を最適化するコンサルティング企業アークウェイの森屋英治社長だ。

 森屋社長は約20年にわたり、Eコマース、サイト構築、ソフトウェア開発のプロセス、システム全体の最適化などのコンサルティングを行ってきた。

 持論は「全てがデジタル化する未来がやってくる」。デジタル化の波に飲み込まれるうちに、働き方も大きく変わっていくはずだ。その中で個人がどんな意識を持って働くべきなのか。チームで成果を上げるにはどうすればいいのか。森屋社長に聞いた。

アークウェイの森屋英治社長が語る「コンサル式働き方改革論」

今の仕事は5割が「無駄」かもしれない

――生産性を上げ、働き方を変えるためには、どんなことをすればいいのでしょうか。

 僕は一般的なビジネスパーソンの仕事の中に、無駄なことが5割くらいあると考えています。それを効率的にやって時間を短縮するのではなく、思い切って捨てる。仕事をなくしていくんです。そうすると、働き方は大きく変えられると思います。

――そんなに無駄なことが多いんですか? 仕事が終わらないという人は、サボっているわけではなく、タスクが多すぎるからなのではないでしょうか。

 その「タスク」自体が無駄な可能性があるんですよ。それらはどれだけ必要性が高いものなんでしょうか? いわゆる頭を使わない「作業」というのは、気持ちが良いものです。楽だし、仕事をしている感じがするので達成感もある。徹夜して資料が完成すると、「やったぞ!」という気になりますよね。でも、それが成果につながっているのか。そこを考えていない人は多いと思います。上司がそういう「作業」や「労働時間」、もっと言うと「一生懸命さ」を評価する人だと、部下は大変ですよね。

――日々の仕事の中で無駄な仕事はどうしたら見分けられるのでしょうか。

 目的、つまりゴールを明確に設定すれば分かります。ゴール設定が全ての起点になっている、と言っていいかもしれません。ゴールがはっきりすれば、それに到達するために必要なこと以外は、全て無駄だと分かりますよね。人は、ぱっとアイデアを出すのは難しいですが、「これは違う」と判断することはわりとできるんですよ。洋服を整理する時も、これは要る、これは要らないってすぐ分かりませんか?

――私はけっこう、「いつか使うかもしれない」と捨てられない方です……。

 その「いつか」はゴールじゃないですよ。現在の連続として将来をイメージしているから、そうなってしまうんです。ゴールというのは、「プレゼンまでにこの資料を作る」といったことではありません。企業理念に基づいた、事業全体のゴールです。それを決めたら、必要のない仕事はすぐ分かるはずです。

 確かに企業でもよくあるんですよ。将来的に生産しなくなるものを作っている工場を、「今は残しておこう」とそのままにしておく、とか。でも、使わないんだったら思い切って廃棄すべきなんですよね。会社というのは、企業理念に基づく目的があって、それが分解されて事業に落とし込まれている。その目的を社員が理解し、それに向かって働けば無駄は自ずとなくなります。

――では、情報共有をするためだけのミーティングなどは無駄な仕事の筆頭になりますか?

 と、思いますよね。でも違うんです。情報共有のミーティングは一見無駄なのですが、必要です。共有というより、理解ですね。こんなプロジェクトを始めますという情報や、こういう製品が完成しましたというデモは、確かに共有フォルダに入れておけば皆が見られる。

 アークウェイでは、さまざまなデジタルツールを導入しています。例えば、チームのナレッジを共有・蓄積していくために使っているのがアトラシアンの「Confluence(コンフルエンス)」。でも、コンフルエンスを使っていればいいというわけではなくて、共有した情報を理解しているかどうかが重要なんです。

ナレッジ共有ツールの「Confluence(コンフルエンス)」。しかし、「ただ使っていればいいというわけではない」という

 顔を合わせて話しているうちに、「こういうことがやりたいのか」「今回の製品はここがすごいんだな」と腑に落ちる瞬間がある。そのために、ミーティングは必要だと考えています。参加者の反応を見て、やたらと大きくうなずいている人は要注意です。そういう人は分かっていない可能性が高いので(笑)。先ほど重要だと言ったゴールも、それが皆に理解されていないと意味がありません。メールなどで送るだけでなく、理解を確認することが必要です。

全てがデジタル化される未来を想定して、働き方を考える

――共有だけでなく、一歩進んだ「理解」が必要なんですね。

 弊社でも、アトラシアンのタスク管理製品「JIRA Software(ジラソフトウェア)」を使っていますが、タスクになっているからやる、という状態は危険。そうではなく、何のためにそれをやるのかを思い出さなければいけません。そのためには、目的達成のためのシナリオを書いて、コンフルエンスに置いておくのがいいでしょう。それをメンバーで定期的に確認して、タスクの見直しをしています。

 皆で同じ方向を見ているかの確認は、何度かやったほうがいいですね。「あの人はきっとこう思ってるだろうから、こうしよう」と勝手に調整してはいけない。空気を読んじゃダメなんです。何をやろうとしてるかは、違う人間なんだから違うのが当たり前。そこをすり合わせて、誰も反対しない領域に答えを出そうとすると、いい成果は出ません。それは、上司に対しても、クライアントに対してもそうです。

――すり合わせをしないためには、どうしたらよいのでしょうか。

 最初に、キーパーソンを集めて1時間くらいミーティングすればいいんです。そこでとことんぶつかって、その場でゴールを設定すればいい。最初にクライマックスがないといけません。

――そういうミーティングは、遠隔でも可能だと思われますか? 海外との案件などでは、ビデオ会議も増えていると考えられます。

 音声だけでなく、映像もあれば大丈夫だと思います。目を見て話すことが大事なので。あとは、リアルタイムチャットは会話に近いから、ゴールやコンテキストを共有するのには有効だと思います。共有のレベル感でいうと、一番はもちろん面と向かって話すこと。でも、思考のキャッチボールができるなら、遠隔でもチャットでも効果はあると思います。

――そもそも、適切なゴールを設定する、ということが難しいのではないでしょうか。

 そうですね。そこができる人は、少ないでしょう。ゴールを決めようとしているのに、人はよく具体的なソリューションの話をしてしまうんですよね。Whatの話をするべきところで、Howの話に落とし込んでしまう。Howのほうが考えやすいし、話しやすいからです。そもそものWhatを整理できる人がいるかどうかは、会社組織として成果をあげられるかどうかの重要なポイントだと思います。「何のためにやるのか」がはっきりしていないと結果は出ない。例えばプレミアムフライデーが定着しないのは、誰もWhatを考えていないからですよね。

――確かに、ただ「午後3時に帰れ」と言われても、「絶対帰ろう」という気持ちにはならないです。

 「そのほうが業績が上がる」「チームの生産性が上がる」といったことに、働き方のチョイスがついてくるんだと思うんですよね。そもそも、勤務時間がなぜ決まっているかというと、お客さん、取引先の対応時間が決まっているからです。土日を休みにできるのは、他の会社も基本的に休みだから。百貨店などは一般のお客さんが土日も来るから、土日は休みにできません。もし全ての企業が週3日しか働いていなかったら、自社も週3日営業になるでしょう。そしてその仕事の中でも、デジタル化が進んで効率化できる部分はかなりあると思います。いまだに百貨店でギフトを贈ろうとしたら、送り先をペンで書かされたりする。こういうものは、デジタル化でなくなっていくでしょう。

――伝票などの紙もなくなっていくと。

 なくなるでしょうね。僕は全てがデジタル化されると思っているんです。本当に、喋ったそばからそれがデジタルデータ化されたり、情報共有も脳波で伝えられたりしていちいち文章にしなくてよくなる。そのレベルで、デジタル化が進むと思います。先ほど、「ミーティングは遠隔でも大丈夫ですか」という質問がありましたよね。こういう「大丈夫かな」という抵抗があればあるほど、その変化は確実に来ると予想しています。

 デジタル化されることが決まっているなら、それをどう「消化」していくかを考えればいい。仕事を進めやすくするデジタルツールもたくさん出ていますし、AI(人工知能)も導入されていくでしょうし、海外とネットワークでつながって海外の人とチームを組むこともできる。弊社でも今、ベトナムの拠点と一緒にプロジェクトを進めています。全てがデジタル化したら、働き方が変わるのも当たり前ですよね。

――雑誌の原稿も、昔は原稿用紙を編集部に手で届けていたわけですよね。それが今では、データをメールで送れば終わりです。

 そう、既にデジタル化で働き方は変わっているんですよ。そのわりに、仕事時間が2分の1になったりはしていない。無駄な仕事が増えているからです。

リーダーのつもりで、班長になっていないか

――その無駄は、社内でゴールが共有できていないことから発生しているわけですね。そうした状況を変えたいと考えたときに、リーダーができることはどんなことがあるでしょうか。

 そのリーダー自身が、「自分は会社をリードする存在なんだ」と考えたならば、何ができるかは自ずと分かると思いますよ。経営陣とも対等に話せるでしょう。経営というコンテキストを共有しているわけですから。でもその人が、「うちのチームはやる気ない人が多くて困るなあ」といった意識しか持っていないならば、成果が出ない働き方を変えることはできませんよね。マネジャーは、マネジメント(経営)をする人。でもこのマネジャーがただの「管理者」という意味ならば、その人はただタイムカードを管理している人になってしまう。本人がどういう意識を持っているかです。リーダーも、単にチームをまとめる立場だと思っているならば、それは班長ですよね。

――班長! 急に学校みたいになりましたね。官公庁とか軍隊でも班はありますが……。

 学校の班長って、班のメンバーの点呼をとったり、代表で発表したりするだけでしょう。特にリードはしてないんですよ。班長はリーダーじゃないんです。

――班長はリーダーじゃない……! リーダーに任命されているのに、班長の役割しか果たしていないということはありそうです。

 会社の経営は、経営陣だけがやっているのではありません。役職によって部長、課長、リーダーと組織は小さく分割されていきますが、みんな経営の一端を担っているんです。営業担当だってそうです。営業チームの目的は経営と関係ない? そんなことはありません。売り上げをあげないと会社は成り立たないですよね。本当は社員全員が経営理念を理解し、会社をリードする人たちであるべきなんですよね。今度、そうした意識に切り替えるためのワークショップを開催する予定です。仕事は与えられているのではなく、自分で考えてやるものだという気付きのスイッチを入れる。そうすると、5年ほどはスイッチが入ったまま働けます。

――アークウェイは普段、IT関係のサービス開発やシステムに関するコンサルティングをしていますが、IT関係の仕事、部署で働いている人でなくても参加できるのでしょうか。

 これは、全てのビジネスパーソンに当てはまる働き方の変革を促すワークショップなので、IT部門以外の人も歓迎します。そもそも全てがデジタル化したら、みんなIT関係の仕事をすることになりますよね。昔はシステム部門の限られた人しか使っていなかったコンピュータは、いま1人1台与えられています。あらゆるプロジェクトも、ソフトウェア開発のプロジェクトに近くなると考えられます。みんながネットワークで情報共有し、プロジェクト管理をするようになる。

 今の働き方、考え方は惰性で続いているものなんです。そこを、いったんストップさせる。そして、新しい目的を設定して、乗っているレールを変える。その「いったん止まってみる」というところをやるワークショップになると思います。自分たちの会社を変えたい、という気概がある人に来てもらいたいですね。コンサルティングをしてきた経験から言うと、そういう人が何人かいると“ドミノ倒し”のように企業全体がガラッと変わっていきますよ。

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