BOOWY好きの上司と飲むときに気を付けたいこと:常見陽平のサラリーマン研究所(2/2 ページ)
群馬県高崎駅に伝説のロックバンド「BOOWY」と書かれたポスターが現れ、盛り上がっている。サラリーマン的に問題なのは、今月の会社の飲みの席で、男性上司から高い可能性でこの話題が出ること、それにどう対応するかということではないだろうか。
上司の音楽のこだわり話は、面倒臭い
ただ、サラリーマン的に問題なのは、今月の会社の飲みの席で、男性上司から高い可能性でこの話題が出ること、それにどう対応するかということではないだろうか。
上司の音楽のこだわり話は、面倒臭い。下手にコメントすると、地雷を踏んでしまうからだ。詳しいぞアピールをすると逆にマウンティングを喰らってしまう。そう、今では会社の「マリオネット」に過ぎない彼らにも、ロックの魂があるのだ。
売れた曲しか知らないくせに、当時の彼女とのデートで江ノ島に行ったときに黙って「ONLY YOU」をかけた経験がある奴などがとくに面倒臭い。これに合わせて、音楽にちなんだ数々の女性遍歴を話し出すからタチが悪い。今なら、男性同士の会話でもセクハラと言われる時代ではあるが。話を聞くだけで、ブルーになる。まさに「B・BLUE」ではないか。
過去の海外赴任の経験と重ねて「NO.NEW YORK」なんて話し出す親父ギャグも迷惑だ。こっちはすっかり「CLOUDY HEART」である。しかし、もっと面倒臭いのはスマホに昔のコピーバンドの写真、音源、動画を入れるタイプの奴だ。特に、肉体労働のバイトをして、その給与で買った布袋寅泰モデルのギターなどは無条件で礼賛せざるを得ない。
対応法は、とにかく頷(うなず)くこと
もちろん、今回はたまたまBOOWYを例に挙げただけであり、「X JAPAN」や「おニャン子クラブ」好きの上司のこだわり話も、同じように面倒臭い。この手の上司の対応法は、とにかく頷(うなず)くことである。
すごいですね、そうなんですかと、話を聞く。今や、BOOWYやおニャン子クラブの解散後に生まれた人たちが職場にも増えているし、知らない人だっている。読者の中にもいるだろう。知っていたとしても、分からないフリを通すことで良いのではないか。
安心しろ。彼らが盛り上がるのはあと数カ月だ。そして、奴らのLAST GIGS、つまり退職は君たちより早い。
(※BOOWYの2つ目の「O」は「/」を重ねる)
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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