なぜ「フーターズ」の集客力はスゴいのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/3 ページ)
奇抜なコンセプトで一時的にブームになるエンターテインメントレストランは珍しくないが、継続するのは困難だ。今回はフーターズが手堅く集客力をアップさせている理由を考察していきたい。
「HOOTERS」(フーターズ)はチアリーダーをイメージした「フーターズガール」が顧客をもてなす、世界的に人気の高いカジュアルアメリカンダイニング&スポーツバー。
2010年10月、東京都・赤坂見附の「東急プラザ赤坂」に国内1号店がオープンした時は、「果たしてこのような店が日本で定着するのか」と危惧する声もあったが、連日のように行列ができる店となり、同年12月には赤坂店が単店で売り上げ世界1位(同社グループ内)に躍り出た。
その後も堅実な歩みで、東京・大阪・名古屋に国内6店を展開するまでに店舗数を伸ばしている。ほぼ1年に1店のペースで新規オープンしていて、今年は12月4日に福岡への出店を予定している。
また、今年7月13日、ラスベガスで開催された「ミスフーターズ世界大会」で、渋谷店のスタッフ、HIKAさんが日本代表として初めて優勝し「ミスワールド」の称号を手にしている。日本で育ったフーターズガールのパワーアップ、モチベーションの高さを物語る快挙である。
店内のスポーツ観戦イベントでは、フーターズガールと一緒に盛り上がれることから多数の集客があり、3年後の東京オリンピックに向けて、さらなる成長が期待できる。14年のサッカーのワールドカップ・ブラジル大会の日本代表が出場したゲームでは、当時330席あった渋谷店を全て立席にして対応したが、約800人もの客が詰めかけ、大盛り上がりだった。18年の同ロシア大会や、韓国・平昌での冬季オリンピックでも集客が期待できそうだ。
日本で経営しているのはエッチジェーという会社。米国のフーターズ・オブ・アメリカ社と契約して直営で店舗展開している。年商は約17億円で、1店舗当たり3億弱の売り上げがある。
奇抜なコンセプトで一時的にブームになるエンターテインメントレストランは珍しくないが、継続するのは困難だ。今回はフーターズが手堅く集客力をアップさせている理由を考察していきたい。
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