「社内恋愛ウォッチング」で観察力を磨け:常見陽平のサラリーマン研究所(2/2 ページ)
「社内恋愛ウォッチング」は悪趣味なのだろうか。ゲスの極みのようだが、これは意外にも仕事の役に立つ。人間観察力のアップにつながるのだ。
社内恋愛ウォッチングは、観察力の向上に役立つ
ここからが、真面目な話だ。ストーカーまがいの社内恋愛ウォッチングや、社内文春報的にその件を言いふらすのは良くない。ただ、社内恋愛ウォッチングは、人間に対する観察能力を高める利点がある。
ビジネスは理屈だけではない。感情で動いている。人の気持ちの起伏を読まなくてはならない。社内で誰と誰が付き合っているのかを探るのはさすがに悪趣味だ。ただ、その人たちの感情のブレなどに気付く練習をしておくと良いだろう。
以前、一緒に働いていた社内恋愛ウォッチャーの先輩は、まるで神のように人の心を読む人だった。怖い顔の上司に案件を通すのも天才的だった。1日の中で、一番機嫌が良さそうな瞬間に企画書を持っていくのだ。いつ伝えるかを読むのが天才的だった。
その人は、客先でもこの力を発揮していた。相手の言葉だけでなく、ひたすら反応を観察していた。社内恋愛ウォッチングとビジネススキルは関係がないように思えるが人間を観察するスキルを磨く、1つのキッカケにはなっている。
私も会社員時代に社内恋愛ウォッチングをしていて、人間に対する観察力が増した。採用担当者時代に経験したこととも重なるのだが、人間の言動に含まれるシグナルに敏感になった。また、その人の生き様や意外性などを味わうことができるようにもなった。視野が広がり、物の見方が深くなった。
社内恋愛ウォッチャーは悪趣味だが、人間観察のスキル向上に役立つぞ。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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