居酒屋「てけてけ」運営元、串カツ田中より先に禁煙化も失敗 挽回の一手は?:せんべろ業態(2/2 ページ)
“せんべろ”をコンセプトにした「やきとり魁(さきがけ)」がオープンした。喫煙者と非喫煙者が共存できる工夫をしている。喫煙歴18年の記者が店舗を訪問してみた。
串カツ田中より前に禁煙化を実施したが撤回
実は、ユナイテッド&コレクティブは過去に「てけてけ」複数店舗で禁煙化を実施しており、成功例として注目を集める串カツ田中(18年6月から全面禁煙化)より取り組むのが半年ほど早かった。だが、客数が減るだけでなく、売り上げと利益にもネガティブな影響が出たため、禁煙化を撤回した。この失敗を踏まえつつ、屋内原則禁煙化の流れに対応するため、歌舞伎町のやきとり魁には専用の喫煙室が備えられている。(関連記事:「新業態「やきとり魁」で人手不足問題を解決!」)
から揚げと焼き鳥をハイボールで流し込んだあとに、ふとたばこが吸いたくなったので、店員に「どこでたばこが吸えますか?」と聞いてみた。レジからは見えないのだが、店の奥まったところに喫煙室があるという。お酒を飲みながら喫煙できるか聞いたところ、少々考えこんだあとで「女性のお客さまもいるのでちょっと…」という返答があった。どうやら、喫煙室での飲食は禁止されているらしい。
荷物を置いていくのは不安
店員に教えてもらった喫煙室に向かう途中、席においてあるリュックのことが気になった。中には商売道具のカメラとノートPCが入っている。万が一盗まれてしまったら、後々面倒なことになる。
結局、リュックを背負って喫煙室に入った。2人が同時に入ったらお互いがぶつかりそうになるくらいの狭さで、天井からは換気扇の音が聞こえる。灰皿以外には何も置いておらず、長居をするような雰囲気ではない。
たばこを吸い終わったので、喫煙室を出た。扉のすぐ隣では2人のお客が熱心に話し込んでいる。換気扇が回っているとはいえ、部屋には煙が残っている場合も考えられるし、記者の体は確実にたばこ臭くなっている。たばこの煙が苦手なお客がこの席に座ったら、不快な思いをするかもしれない。記者は午後8時から約1時間滞在していたが、ほかにたばこを吸うお客はいなかった。
東京都は従業員のいる飲食店を原則として禁煙とする「受動喫煙防止条例」を20年の春に施行する方針を打ち出している。都の条例によると、喫煙専用室内のみでは喫煙可としている。やきとり魁が設置した喫煙室はこの条例を意識したものだとみられる。
全体を通した記者の感想は次の通りだ。まず、1時間程度滞在するだけならば、この喫煙室で一服するのは問題ないと感じた。ただ、それ以上となると、何度も喫煙室に行かないといけないので、やや面倒くさく感じるだろうなと思った。滞在時間は一般的な居酒屋よりは短くなるケースが多いとみられるので、テーブルでたばこを吸えないことにストレスを感じる喫煙者はそれほど多くないだろう。総じて、せんべろスタイルと喫煙室の相性は悪くないと感じた。
ユナイテッド&コレクティブはこの店舗での“実験結果”を踏まえ、喫煙室を増やしていくかどうかを判断するという。同社の取り組みは、非喫煙者と喫煙者の共存を実現する決定打となるだろうか。
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