エンタープライズ:ニュース 2002/11/11 07:22:00 更新


日本IBM、クライアントPCでも自律型コンピューティングへ取り組み

日本IBMは、自律型コンピューティング時代に向けたPC事業新戦略「Thinkストラテジー」を展開する。デスクトップPCが「ThinkCentre」になり、ディスプレイ、周辺機器なども「Think」を冠した新ブランドとなる。

 日本アイ・ビー・エム(IBM)は11月7日、東京・港区の本社で、オートノミック(自律型)コンピューティング時代に向けたPC事業新戦略「Thinkストラテジー」の説明会を開催した。この説明会は米IBMが4日に開催したカンファレンスでの発表を受けて行われたもの。新戦略は、ノートPCシリーズThinkPadを軸に展開し、デスクトップPCやディスプレイ、周辺機器なども「Think」を冠した新ブランドとなる。

ibm_hashimoto.jpg
日本IBM取締役 BP&システム・PC製品事業担当の橋本孝之氏。「自律型コンピューティングはIBMだけでやるということではない。IBMがそのスタンダードな部分でのリーダーシップをとっていきたい」という

 IBMは、TCOの削減/生産性の向上を目指す自律型コンピューティングに全社を挙げて取り組んでおり、これまでサーバや、「DB2」「Tivoli」などのソフトウェアにおける取り組みを発表してきていた。Thinkストラテジーは、クライアントPCに対する自律型コンピューティングの取り組みをまとめたものだ。

 ただIBMでは、Thinkストラテジーと名付ける前から、クライアントPCにも自律型コンピューティングへの取り組みを進めていた。IBMのいう自律型コンピューティングとは、コンピュータ自身が「自己構成(Self-Configuring)」「自己修復(Self-Healing)」「自己最適化(Self-Optimizing)」「自己防衛(Self-Protecting)」を行うというもので、その一部はすでに「IBM Rapid Restore PC」(障害発生時にあらかじめ設定しておいた状態にHDDの内容を復旧できるソフト)や「Access Connections」(自宅やオフィスなど複数のネットワーク環境の設定管理を一元化できるソフト)といったPCの使い勝手を良くするソフトウェアとして提供され、最新のThinkPadなどに組み込まれている。

 Thinkストラテジーでは、上記のソフトのほか使い勝手を向上させる機能も含めて「ThinkVantage Technology」と呼んでいるほか、デザインによる使い勝手の向上を目指す「ThinkVantage Design」も提供する。そして、こうしたコンセプトを顧客に、よりわかりやすく提示するためにクライアントPC製品を「Think」ブランドで統一する「The IBM Think Family of Offering」を進めるとしている。

 The IBM Think Family of Offeringによると、PC製品群は4つのブランドになる。ノートPC「ThinkPad」、デスクトップPC「ThinkCentre」、ディスプレイ「ThinkVision」、PC周辺機器やサービス「Think Accessories And Services」だ。デスクトップPCは現在「NetVista」ブランドになっているが、2003年の春以降にはThinkCentreブランドに切り替わるという。

 IBMのThinkストラテジーは、PCハードウェア単体としてではなく、ThinkVantage Technologyのソフトウェアやサービスを合わせて、全体として、TCO削減や顧客企業のビジネスの変革を支援するという。IBMは自身が持つハードウェア技術/ソフトウェア技術を結集することで、ともすれば価格/スペック競争に陥りがちだったPCビジネスに、新しい価値基準を持ち込もうとしている。

関連記事
▼IBM、「Think」戦略で企業向けPC推進
▼オートノミック・コンピューティングを強化した「Tivoli」、そのゴールは?
▼IBM、自立型コンピューティング推進における今後の計画を発表
▼「このままでは解決できないITの問題」とは?
▼IBM,オートノミックコンピューティングをすべての製品ラインに導入へ

関連リンク
▼日本IBM

[佐々木千之,ITmedia]