エンタープライズ:ニュース 2002/11/13 16:38:00 更新


基調講演:「速い、安い」、そして「統合」という三拍子がそろった新しいOracle9iAS

オラクルは11月12日、「OracleWorld 2002」でOracle9i Application Server Release 2にインテグレーション機能を追加することを明らかにした。EAIやWebサービス、B2B業界標準といったインテグレーション機能が追加された「Release 2 Version 9.0.4」は、来年前半に出荷される予定だ。

「早い、安い」−−まるで牛丼のようなキャッチフレーズが大きく書かれたOracleWorldのシャトルバスがサンフランシスコのダウンタウンを走っている。それも、Oracleデータベースではなく、アプリケーションサーバのうたい文句だ。

 オラクルは11月12日、2日目を迎えた「OracleWorld 2002 San Francisco」でOracle9i Application Server(Oracle9iAS)Release 2にインテグレーション機能を追加することを明らかにした。インテグレーション機能が追加された「Release 2 Version 9.0.4」は、来年前半に出荷される予定だ。

 Oracle9iASを担当するトーマス・クリアン副社長は、プレスQ&Aセッションで「Oracle9iASは業界で最も急成長しているアプリケーションサーバ。既に1万3000の顧客を獲得し、トップ3に食い込んでいる」と話した。この顧客数は、業界のリーダーであるBEAシステムズに並ぶものだ。

 Oracle9iASのポジショニングは、昨年のOracle OpenWorldでRelease 2が正式発表されたときから、かなり明確になってきた。当時、クリアン氏は、「すべてのデータをOracle9i Databaseに、そしてすべてのアプリケーションはOracle9iASに統合していく」と話している。それは単なるJ2EEサーバにとどまらず、ポータル、Webキャッシュ、ビジネスインテリジェンス、ワイヤレス、およびOracle Internet File System(iFS)の各種機能を統合し、知的情報を活用するための完全なE-Businessプラットフォームに仕立て上げようというものだった。

 こうした「プラットフォーム化」の潮流は、この業界のライバルらも同じで、IBMやBEAシステムズはJ2EE仕様として策定される領域が拡大するのに従い、インテグレーションをはじめとする多くの機能をJ2EEサーバ製品と一緒に提供している。しかし、クリアン副社長が強調するのは、その緊密な統合だ。

「WebSphere PortalやMQSeriesは別製品。そのインテグレーションをIBMグローバルサービスが提供している」(クリアン氏)

ライバルらにプレッシャー

「Infrastructure Jeopardy!」と題された午後の基調講演では、テレビのクイズ番組を真似て、Oracle9iのさまざまな機能が紹介された。製品戦略を担当するケン・ジェイコブス副社長の名司会に、クリアン氏をはじめとする製品担当の副社長らが答えるという趣向だった。

thomas01.jpg
ひたすら真面目に答えるクリアン氏(左)。クイズ番組にはシアトルのビルさんもサテライトから参加した

 クリアンによれば、Oracle9iAS上に追加されたインテグレーション機能には、EAI、ビジネスプロセス管理、B2Bインテグレーションがあり、さらにその上位にビジネスプロセスモニタリングの機能などが載るという。J2EE Connector Architecture(JCA)によってERPやCRM、あるいはそのほかのレガシーアプリケーションと接続できるほか、最新のWebサービス標準やRosettaNetのような業界標準プロトコルもサポートする。

 こうしたさまざまなインテグレーション機能が、統合化されて提供されるため、Oracle9iASは情報やビジネスプロセスの「ハブ」と呼ぶのにふさわしいプラットフォームとなっている。

 データベース本体に負けず劣らず、Javaアプリケーションサーバの分野でもベンチマーク競争は盛んで、Oracle9iASはIBMやBEAにプレッシャーをかけている。

 この日も「SPECjAppServer2001」と呼ばれる新しいベンチマーク標準で最速となるパフォーマンスを記録したことを明らかにした。Oracleデータベースと同様、Oracle9iASもクラスタをサポートしており、Dell PowerEdge 6650の2ノードが189.63BOPS(ビジネスオペレーション/秒)、ヒューレット・パッカードのProLiant ML530G2の4ノードが558.85BOPS、Sun Fire V880(8CPU)の5ノードは1476.81BOPSを叩き出す。サンを除けば、Linuxと組み合わせたもので、そのプライスパフォーマンスも優れている。

 現時点では、SPECjAppServer2001に基づくベッチマーク結果については、BEAシステムズが全く提出しておらず、IBMもシングルノードのiSeries i890でWebSphereを走らせた結果だけだ。

 ヒューレット・パッカードは9月下旬、BEA WebLogic Application ServerをHP-UX 11iに無償バンドルする計画を発表したばかりだが、この日は、Oracle9iASをベースとしたミドルウェアソリューションの開発でオラクルと合意している。HP-UXシステムか、あるいはLinux/Windows向けのProLiant Serverを購入する顧客に特別版のOracle9iASを無償で提供することも明らかにした。

関連記事
▼オラクルとHP、Oracle9i Application Serverでグローバル提携を強化
▼オラクルとベリングポイント、Oracle9i Application Server導入で関係を強化
▼OracleWorld 2002 San Francisco Report

[浅井英二,ITmedia]