エンタープライズ:ニュース 2003/02/25 22:39:00 更新


未開拓の新市場を目指すオラクル、Collaboration Suite国内出荷を祝う

日本オラクルが一連のイベント「“東京版”OracleWorld」の第2弾として、「Oracle Collaboration Suite」の出荷を祝うパーティーを都内で開催した。パーティーの冒頭、新宅正明社長は、「マイクロソフトとIBMソフトウェア事業部だけは、入場お断り」とし、先行する2社を牽制した。

 日本オラクルは2月25日、昨年11月下旬に発表された「Oracle Collaboration Suite」の出荷を記念し、顧客企業やパートナーを招いたパーティー形式のイベントを開催した。22日を皮切りに同社は、「Oralce9i on Itanium 2 Processor」「Oracle Collaboration Suite」、および「Unbreakable」をテーマとする一連のイベント「“東京版”OracleWorld」を連続開催している。かつて「InterOffice」と呼ばれるグループウェアを引っ提げ、Lotusやマイクロソフトに挑戦した同社が、再びCollaboration Suiteで新たな市場の開拓に取り組む。Jポップの殿堂ともいえる赤坂BLITZのパーティーは、そのキックオフを告げるものだ。

 Oracle Collaboration Suiteは、日本オラクルが、Oracle9i Database、Oracle9i Application Server、およびOracle E-Business Suiteに次ぐ、「第4の柱」と位置付ける重要な製品。1ユーザー当たり7500円という戦略的な低価格で投入された。

 パーティーの冒頭、新宅正明社長は、「マイクロソフトとIBMソフトウェア事業部だけは、入場お断り」とし、先行する2社を牽制する。この分野では後発となるが、「われわれの強みであるRDBMSに企業のさまざまなデータを格納することでコラボレーションは大きく変革できる。今後の企業のニーズをNotes/DominoやExchangeでは満たせない」と自信も見せた。

 InterOfficeの場合と異なり、Collaboration Suiteでは、バックエンドにフォーカスする。POP3/IMAP4やSMTPという標準をサポートするため、エンドユーザーは、例えば、慣れ親しんだOutlookクライアントをそのまま使い続け、管理者がサーバのみを置き換えれば済むのが大きな特徴だ。

 ちなみにCollaboration Suiteの最初のバージョンには、Oracle EmailとOracle Filesのほかに、Oralce9i DatabaseやOracle9i Application Server、Oracle9i Real Application Clustersの限定ライセンスが含まれている。EmailとFilesはどちらも、Oracle8i時代から開発が始まったInternet File System(iFS)と呼ばれるOracleデータベースの拡張機能にさらに磨きをかけ、パッケージングしたものだ。コストも競合製品の1/2から1/3に抑えることができるという。

未開拓の新市場

 パーティー全体のホスト役を務めた山元賢治専務執行役員によれば、企業のデータのうち、RDBMSに格納されているのはわずか1%に過ぎないという。OracleのようなRDBMSに格納されているデータであれば、プロフェッショナルな技術者によって管理されており、バックアップやセキュリティ対策も製品および運用の両面で怠りなく実施している企業が多い。

「しかし、(Officeの)ファイルや電子メールはどうでしょうか?」(山元氏)

 パーティーは、ステージでの寸劇や清水照久マーケティング本部シニアディレクターのデモを交えながら進行した。寸劇では、ひとたび電子メールシステムがダウンすると、日常の業務に大きな支障が出てしまう様子を面白おかしく再現した。

 かつては、その信頼性の低さから、さして重要でもなかった電子メールがインターネットの整備に伴い、仕事上欠かせないインフラとなった。彼の言葉を借りれば、「企業の情報は、どんどん電子メールに化けている」。それが、オラクルにとっては、新しい市場となる。

 Oracle9i Databaseのスケーラビリティは、部門ごとに複数導入されてきた電子メールのサーバ統合を可能にし、ITコストの中でも最も大きな部分を占める技術者の人件費も削減してくれる。少数のサーバを少数の技術者が管理する、それがここ数年、オラクルが一貫してアピールしているアプローチだ。ウイルスもその9割は電子メールから侵入してくるといわれる。電子メールのデータをOracle9iに格納し、監視すべき電子メールサーバを減らすことは、セキュリティ上も極めて有利に働く。

 一昨年の9.11同時多発テロ以降、企業はビジネスの継続性に強く関心を示しているが、オラクルはOracle9i Databaseの堅牢さを「Unbreakable」というメッセージでアピールしている。その高い可用性はOracle9i Real Application Clustersが支え、セキュリティの高さは15の国際認定取得が裏付けている。

Windowsサーバはゴミ箱

 ExcelやPowerPointのファイルもしっかりと管理しようとすれば悪夢を見るかもしれない。ギガ・インフォメーション・グループの調査によれば、企業の総データに占める割合は、電子メールが25%、ファイルは実に65%になり、合わせるとの9割を占めるという。

「部門ごとに導入してきたWindowsサーバはゴミ箱。一度入れたら2度と探せない」と、山元氏はライバルを挑発する。企業はナレッジの喪失に危機感を募らせてはいるが、その対策はあまり取られていない。

「自分のPCのマイドキュメントフォルダにあるファイルすら、どれが最新のデータなのか分からないことがある」(山元氏)

 Oracle Collaboration Suiteの最初のバージョンで、Oracle Mailとともに提供されるOracle Filesは、こうしたファイルの検索機能やバージョン管理機能を提供するほか、「ワークスペース」と呼ばれる共有機能も備える。ワークスペースでは、プロジェクトの参加者をリーダーが随時追加・削除でき、部門の枠を超えたメンバー間での情報共有がスムーズに行えるという。

 ここでもFTPやWebDAVといった標準をサポートしているため、エンドユーザーはWindowsのエクスプローラーからファイルにアクセスできる。

 Oracle Collaboration Suiteの最初のバージョンでは、電子メールとファイルの管理のみの機能提供だが、既に米国では出荷が始まっている次期リリースではカレンダー、e-ミーティング、および音声とワイヤレスの統合などが計画されている。なお、Collaboration Suiteのアウトソーシングサービスも発表されており、1ユーザー当たり年間9000円という価格設定も明らかにされた。

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[浅井英二,ITmedia]