エンタープライズ:ニュース 2003/02/27 00:06:00 更新


日本IBM、サーバ負荷に応じてリソースを自動配分する「HotRod」技術を世界初公開

日本IBMは2月28日まで、都内で開催中の「IBMフォーラム 2003」の展示会場において、米IBMのワトソン研究所で開発したオートノミックコンピューティング技術「HotRod」の、世界初となる公開デモンストレーションを行っている。

 IBMは「自己構成」「自己修復」「自己最適化」「自己防御」の4つの機能からなる、オートノミック(自律型)コンピューティングに取り組んでおり、これまでにもクライアントPCからサーバ、TivoliやWebSphereといったアプリケーションへの応用を進めてきている。今回展示されたHotRodは、米IBMのワトソン研究所で開発した、現時点でのオートノミックコンピューティング技術の最も進んだものになる。

HotRod技術のデモを行ったブレードサーバ

HotRod技術のデモを行ったブレードサーバ


 このHotRod技術のデモでは、ブレードサーバによって運用中のWebサーバにアクセス負荷をかけると、Webサーバが負荷の上昇を判断して、自動的にブレードサーバのCPUリソース割り当てを増やすというもの。負荷の上昇時にシステムのリソースを「管理者が手動で割り当てる」ということは、現在でもハイエンドサーバなどで可能な技術だ。

 HotRodでは、システム負荷が上がり始めると、「将来の負荷を予測して、Webサーバのレスポンスが落ちる前に、リソースを自動的に増やす」ことをやってのける。単にレスポンスが悪くなったら割り振るのでなく、悪くなるのを見越して、先回りして対処するというのがミソだ。もちろん、負荷が減った場合は割り当てたリソースを解除する。

HotRod技術のモニタープログラム画面

HotRod技術のモニタープログラム画面。左のオレンジ色の棒グラフがブレードサーバの割り当てを、右上の青の折れ線グラフがサーバ負荷、緑の折れ線グラフが負荷の予測、右下の紫グラフがレスポンスタイムを示している。リソースが割り当てられたことによって、レスポンスタイムにほとんど影響を与えていないことがわかる


 まだ製品化までには至っていないが、このHotRod技術と、ダイナミックなリソース割り当てに対応したソフト/ハードのサービス体系(課金方法も含む)が提供されるようになれば、TCOの削減に大きく貢献するものになるだろう。

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関連リンク
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▼日本IBM
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[佐々木千之,ITmedia]