エンタープライズ:ニュース 2003/09/10 18:20:00 更新


OracleWorldでラリー・エリソンとエンジニアたちが一問一答 (2/2)

Q 既存のSAPアプリケーションが10gグリッドで動くということですが、この既存のSAPアプリケーションが.NETベースのアプリケーションだとしたら、新しい10gアプリケーションサーバの上でどのように動くのでしょうか?

エリソン グリッド上で異機種のアプリケーションサーバは共存することはできます。SAPのアプリケーションサーバ、Oracleデータベース、Oracleのストレージグリッド、それでもかまいません。SAPは動きます。PeopleSoftも同様です。すべてのアプリケーションはそうだというわけではありませんが……。BEAのアプリケーションサーバもグリッド上で動きます。Grid ControlはBEA WebLogic Serverの動きをトラッキングすることが可能です。Grid Controlは異機種環境をサポートしています。

Q 10gアプリケーションサーバの利点を享受するなら、J2EEベースのアプリケーションを採用すべきなのでしょうか?

エリソン われわれのアプリケーションサーバは、.NETと共存することができます。しかし、すべてを緊密に連携させてシステムを速く動かせる、シングルサインオン環境が実現できるなどといった理由で、.NETではなくJavaで実装することをお勧めしています。そうすれば、すべてのストレージ管理やリカバリ管理、ロードバランシング管理がより良く動くからです。

Q PeopleSoftの買収に骨を折っておられますが、ほかに何か買収する予定はありますか?

エリソン あなたが投資してくれるというなら、ターゲットを電子メールで知らせますよ(笑)。現在、PeopleSoftの買収については、州政府が考えていることを10月から11月の間のいつかに知らせてくれることになっています。私はこの買収に楽観的です。これは私見ですが、PeopleSoftの顧客はソフトウェアを守る責任感の強いベンダーを欲していて、われわれはそうした責任感の強いベンダーになれると思っています。われわれがPeopleSoftの最大のホストになります。買収は成功すると信じています。

Q 価格体系の情報を来週発表されるとのことですが、一番高いOracleのライセンスオプションが2万ドルというのは本当ですか?

エリソン それはスペシャルアカウントでの話です(笑)。われわれはプロセッサ当たり1万ドルで販売するつもりはないということ以外は、ここでは価格の話はしたくありません。スタッフが喜びませんから。しかし、財務的な利点が得られるような、歓迎される価格体系にしたいと考えています。

Q あなたはずっとデータベース管理の簡素化について語っていますが、ではわれわれはこれから何をするのでしょう?

エリソン 高度なスキルを持った人はCIOになるべきでしょう。専門家の仕事というのは時代につれて変わっていくものです。ある種の仕事は機械による自動化で不要になっていきます。CIOというのは技術の詳細を把握している専門家であるべきだと思います。CIOはビジネスを遂行するためにどんな情報が必要かを考えることにもっと時間を割き、それを実現するためにどんなテクノロジーコンポーネントを組み合せるべきかについてフォーカスすることです。

 今は情報時代の幕開けであって、その終わりではありません。単純に役割の価値が変わろうとしているだけで、自動化によって新しいチャレンジが始まるのです。

 コンピュータが導入されて20年から25年ほどは、受注管理、請求書の発行処理などプロセスの自動化が行われてきました。その後は、コンピュータでビジネスに必要な情報を収集するようになりました。誰が顧客なのか。どんな製品なのか、誰の声が最も参考になるのか。これらの情報はすべて自動的に収集されて、自動的に配信されるべきなのです。これからのデータベース専門家の仕事も、こうしたところにあるといえるでしょう。

Q 既存の顧客のデータベースシステムは、ほとんど何も手が入っていない状態のデータベースです。どのようにグリッドのロードバランシングや高可用性を享受すればいいでしょうか?

エリソン 私は、顧客の半分はこれからほとんど何も手が入っていない状態のデータベースからRAC環境へ、グリッドコンピューティングへと移行するとみています。それは未来に向かうのに良い方法です。なぜなら非常にお金のかからないシステム運用形態だからです。

Q Oracle Database 10gの発表、おめでとうございます。それで、この製品はいつごろ出荷されるのでしょうか?

エリソン 今年です(笑)。暦年の年末までです。チャック・ロズワット(サーバテクノロジー担当執行副社長)が保証してくれるでしょう。



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