エンタープライズ:ニュース 2003/10/22 11:12:00 更新


中堅および小規模事業者がOracle 10gを導入するメリットは?

Oracleがパリで開催中のOracleWorld 2003 Parisで中堅および小規模事業者市場へのコミットを明確に打ち出した。東京でも12月には「Oracle Standard Edition」が正式発表されそうだ。

 10月21日から仏パリで開催されている「OracleWorld 2003 Paris」カンファレンスでは、サンフランシスコでの発表と重なった部分も多かったが、新たに打ち出したメッセージとして、中堅および小規模事業者市場(SMB)へのコミットがある。

 OracleでEMEA(欧州・中東・アフリカ地区)を担当する執行副社長のセルジオ・ジャコレット氏によると、欧州の中規模企業におけるOracleのデータベースの採用率は高く、28%でトップという。日本でもあてはまるが、欧州でも中小企業が経済に及ぼす影響は大きい。「400万社ともいわれる欧州の中小企業は、欧州経済のエンジンだ」と話すジャコレット氏は、予算が限られているこれら中小企業に対するOracleのコミットを示した。

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EMEAを統括するジャコレット氏、運用管理を簡素化するOracle 10gをアピール


 具体的には、容易なインストール、自己管理およびチューニング機能、新トレーニングコース、HTMLDBの4つが挙げられる。

 例えば、インストールでは、インストールCD-ROMをこれまでの3枚から1枚にし、所要時間を17分にまで短縮した。管理機能では、パラメータの設定が不要となったほか、自動化機能が大幅に強化されているという。また、データベースのHTMLDBという機能を利用すれば、WebブラウザでWebアプリケーションの開発ができ、表データをデータベースで管理できる。

 同社が先ごろ、SMB向けに発表した「Oracle Standard Edition」という価格体系では、1プロセッサ当たり5132ユーロ(5995ドル)、1ユーザー当たり167ユーロ(195ドル)となっており、5ユーザー構成が約835ユーロ(1000ドル)で導入できることになる。

 なお、Oracle Standard Edition Oneは日本市場では発表されていないが、12月中旬の「OracleWorld 2003 Tokyo」で明らかになると予想される。

 また、Oracleはこの日、同社が今年9月、QNB Intelligenceと共同で欧州企業307社に対して行った調査結果も発表している。それによると、分散コンピューティング環境の導入により、コンピュータの管理が煩雑になった結果、自社システムのインフラにかかる負荷を把握している企業は50%に満たなかったという。ジャコレット氏は「グリッド技術の導入により稼働率を90%にすれば、45億ユーロを節約できる」と話した。

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[末岡洋子,ITmedia]