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2004/03/11 17:01 更新


Teradata Universe Tokyo開幕、「個々のデータでは意思決定を間違う」とコーラーSVP

3月11日、都内のホテルで「Teradata Universe Tokyo 2004」が開幕した。午前に行われたプレスカンファレンスで、Teradata部門のコーラー上級副社長は、「データ統合ノウハウ」と「ビジネス価値を高めるソリューション」こそがTeradataの価値だとした。

 NCR Teradata部門が世界各地で開催しているユーザーカンファレンスが今年も東京にやってきた。

 3月11日、都内のホテルで開幕した「Teradata Universe Tokyo 2004」は、ユーザー自身がその導入事例を紹介するのが特徴。今年も2日間で35のセッションが予定されているが、そのうち16が導入事例となっている。伊勢丹、イズミヤ、東邦銀行、青森銀行といった国内ユーザーはもちろん、海外からもBank of America、Lufthansa、Coca-Cola、eBay、Ford Motorなどが紹介される。

 NCR Teradata部門は、エンタープライズデータウェアハウスのリーダー。120年の歴史を誇るナショナル・キャッシュ・レジスター(NCR)は、文字通りキャッシャレジスターのパイオニアとして知られ、その後はIBMと共にコンピュータメーカーとして一時代を築いた。しかし、そんなNCRも1990年代は右往左往した。1995年、AT&Tから再び独立した企業として歩み出したNCRは、当時のラーズ・ナイバーグCEOの下、「選択と集中」を進め、それまで30あった事業を一気に3つに絞り込んだ。1位のATM端末、2位のストアオートメーション(POS)端末、そして1位のエンタープライズデータウェアハウスだった。

 中でもナイバーグ氏が老舗の生き残りを賭けたのがTeradata事業。厳しい経済状況下でも2001年第4四半期に黒字転換して以降、9四半期連続して利益を計上している。2003年、同部門の売り上げは12億ドル1300万ドルと前年から横ばいながら、営業利益は29%増の1億4500万ドルに達した。NCR全体の売り上げが56億ドル、営業利益は2億3500万ドルであることを考えれば、その貢献度は一目瞭然だ。

 Teradata Universe Tokyoの開幕に先立って行われたプレスカンファレンスで、Teradata部門の上級副社長、マイク・コーラー氏は、「われわれは過去5年間で20億ドルの研究開発費を投じてきた。営業利益はたいへん重要で、今後も継続して研究開発のために投資できる」と話す。

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CEOに昇格したマーク・ハード氏の跡を受け継ぎ、昨年春からデータウェアハウス事業を統括するコーラー氏


 1975年NCR入社のベテラン、コーラー氏は、営業やプロフェッショナルサービスでキャリアを重ね、現職に就任する前は、グローバル・フィールド・オペレーションを統括した。そんな彼が、「Teradataの価値」として一言で表現したのが、「顧客企業に散在するデータを統合するノウハウ」と「分析によって顧客のビジネス価値を高めるソリューション」だった。

 コーラー氏は、英国の流通業者の例を挙げ、分かりやすく説明した。単品での収益性を分析していた同社は、高級チーズの利益率が低いことに頭を抱えていたが、Teradataによってマーケットバスケットデータ(顧客の買い物カゴの中身)を分析したところ、正反対の結果が得られた。高級チーズを買っていく顧客は、利益率の高い商品を一緒に買ってくれる収益性の高い顧客だったというのだ。

 「個々のデータだけでは全体が見えない。意思決定も間違ってしまう」とコーラー氏。

 1月下旬、Oracleは「Customer Data Hub」を発表し、顧客に関するシングルビューの必要性を訴えている。CRMアプリケーションとデータウェアハウスという違いはもちろんあるが、コーラー氏は、「技術的な優位性もさることながら、われわれには顧客と協力しながらエンタープライズデータウェアハウスを設計し、実装し、高いビジネス価値を提供するソリューションがある」と差別化のポイントを強調する。

 「何よりもOracleがシングルビューの必要性を認めたのはうれしい。なぜなら何年もその必要性を訴えてきたのはわれわれだけだったから」と余裕すら見せた。

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[浅井英二,ITmedia]

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