身近になったPDM――Autodesk Productstreamによる実践的データ管理

「デスクトップPDM」を提唱するのはオートデスクの小椋氏。難易度の高い特殊な課題を解決するための高額でハイスペックなソフトウェアを提供するベンダーとは対極のスタンスをとり、全世界の8割の企業が必要としているシンプルで実用的なソリューションを割安に提供することで、製造業の現場をサポートするのが同社の戦略だ。

» 2006年07月03日 10時00分 公開
[ITmedia]
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 「70年代後半にCADを導入している企業といったら、航空宇宙や自動車など一部の業種や一握りの巨大企業だけでした。しかし、いまでは企業規模にかかわらず広く普及しています。これは、全てのエンジニアの机の上にCADを、と普及活動を続けてきた成果だと自負しています」と語るのは、オートデスクの製造ソリューション本部本部長、小椋孝一氏だ。

 オートデスクのソフトウェアや製品戦略を見ていると、こうした企業姿勢が今も続いていることが実感できる。難易度の高い特殊な課題解決のための高額でハイスペックなソフトウェアを提供するベンダーとは正に対極のスタンスをとり、全世界の8割の企業が必要としているシンプルで実用的なソリューションを割安に提供する。2次元CAD、そして3次元CADで、先頭に立って広い市場を作り上げてきた同社はいま、データマネジメントの領域でもシンプルで使い勝手の良いソフトウェアを提案している。

 それが「Autodesk Productstream」だ。ユニークなのが、他の競合PLM製品をにらみつつも、Windowsのエクスプローラを意識した同社のアプローチだ。まずは設計者が仕掛中のCADファイルを管理するのに必要な一部の機能群を、同社の製造業向けCAD製品に無償で同梱している。この取り組み開始から2年が経ち、いまでは2万社を超える企業が実務で活用している。

オートデスクの製造ソリューション本部 本部長 小椋孝一氏

 いまでも多くの企業が、PDM(製品データ管理)基盤を整備できていない。大手企業の一部では、PDMやPLM、ERPなどの大掛かりなシステム導入によって、製品データに関する部品番号を一気に設定してしまおうという大胆な改革を行う企業もある。だが、当面の間、オートデスクにとってそれらの企業は主要な対象顧客ではない。まずは「Windowsのエクスプローラでフォルダを作って階層管理しているが、そのままでは不安だ」という企業に、ほんの一歩でも先に進んでもらおうというアプローチなのだ。

 インストールするだけで「使ってみようかな」と思わせてしまうほど操作が容易で、正にエクスプローラライクだ。セットアップに費やす時間もわずか数分であるため、多くの設計者が気軽にデータ管理の一歩を踏み出すことができる。そして設計部門から始めたこの一歩を、さらに先へ進めるのがBOM管理機能を備えたProductstreamである。

 Productstreamを使えば、設計情報をBOMとしてきちんと管理することが可能になる。このため、生産に入る際や、製造ロットごとに頻繁に変更される仕様を生産側のシステムにシームレスに引き渡すことができる。CADで培った経験とノウハウが活かされおり、3次元データも2次元データも同じように管理できる仕組みなど、IT技術者だけでなく、エンジニアにとっても使いやすい環境を用意し、設計部門と製造部門の橋渡しをしながらユーザーが今解決しなければならないことを実現する。

設計部門と製造部門の橋渡しを実現するオートデスク データ管理

 小椋氏は、「われわれがご提供する製品は、いわゆるエンタープライズPDMではありません。あえて表現するなら“デスクトップPDM”なのです」と話す。実際に、数十ユーザーの中堅企業での導入が顕著であり、最近ではSOHOのユーザーも増えている。これは同社の戦略にぴたりとはまっているものの、同時に大企業も部門やプロジェクト単位での導入も進んでいるため、基幹システムと統合したいというニーズも顕在化しつつある。

 同社は本来、ハイエンドなシステムとはあえて競合せず、協業していくスタンスの企業である。今後は、グローバル企業の設計BOM統合を実現するほどのソフトウェアを開発していくのだろうか。その方向性はまだ明らかにしていないものの、シンプルで扱いやすいPDMプラットフォームとして、顧客からの期待の声は高まるばかりだ。

 2次元CADと3次元CADを世に広めたように、データマネジメントの領域に最もシンプルな部分から進出。扱いやすさへのフォーカスをより強め、悩みを抱えている企業を支援することと、さらなるニーズへの対応をどちらも実現できれば、PDMのリーダーとしての地位を確立する可能性は十分にある。

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提供:オートデスク株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年7月31日