グローバル展開するWebサービスを再構築し運用負荷を改善ID管理、コンテンツ管理を共通基盤に導入

東芝テックは、複合機などを扱う販売・サービス拠点に対する情報提供などを担うサイトを再構築した。その再構築プロジェクトと同期したWeb共通基盤構築プロジェクトでは、オラクル製品を用いたID管理、コンテンツ管理を採用し、運用・保守コストを抑え、情報発信の頻度を早め、エンドユーザーにとっても使いやすいサイトを構築できたという。

» 2007年12月11日 10時00分 公開
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グローバル展開するMFP販売網を支援するためのWebサイトを構築

 東芝テック株式会社は、1950年に設立された情報機器関連のメーカーだ。現在では、主に2つの社内カンパニーで事業を展開している。1つは流通情報システムカンパニーで、「TEC」ブランドのPOSシステムや電子レジスターなど、主に流通業向けの情報システム機器を扱っている。同社の前身となった企業は国内で初の金銭登録機を製造・販売するなど、日本のレジスター市場に大きく貢献してきた歴史を持ち、現在でも国内シェア1位の座に輝く。

 そしてもう1つが、「TOSHIBA」ブランドの複合機(MFP)などを扱う画像情報通信カンパニーだ。日本国内はもとより、グローバルにビジネスを展開しており、そのユーザーは世界130カ国以上にのぼる。中でも、急速に発展を続ける中国やインドではそれぞれの国内トップシェアを誇る。

 全世界での事業展開を支えるため、東芝テック画像情報通信カンパニーでは、以前からWebを通じて各国の販売・サービス拠点に対する情報提供を行ってきた。同社のサービスポリシー「QS」(Quality Service)をサイト名に使った「WebQS」が2002年に立ち上げられ、サービスマニュアルやパーツリスト、販促用写真素材などの情報提供はもちろん、各拠点から上がってきたクレーム情報をグローバルに収集・共有し対応するような取り組みも行われている。

運用面の課題を一掃するべく再構築に着手

東芝テック株式会社 画像情報通信カンパニー MFPアフターセールス統括部 アフターセールス技術部 部長 栗栖敏行氏

 WebQSは便利なサイトとして、広く活用されていった。しかし、反面、いくつかの課題も見えてきた。

 東芝テック 画像情報通信カンパニー MFPアフターセールス統括部 アフターセールス技術部 部長の栗栖敏行氏は、「WebQSの上にいろいろな機能が追加されていったため、いったん整理する必要があると感じられました」と述べる。

 そこで、全社的な施策として「サービス生産性の向上」を目指し、WebQSの見直しを図ったところ、ユーザー管理、ID管理を含め、様々な課題が明確になった。

東芝テック 生産本部 情報システム部 応用システム開発担当 専門主査の林知之氏は、それらを次のように説明している。

 「例えばコンテンツ間の連携がマニュアルで行われていたため、問い合わせ対応に滞留が頻発したり、情報配信にタイムラグが生じたりといったことがあり、サービス品質を向上させる余地がありました。また、各国の現地法人や、その先のディーラーなども利用するシステムでありながら、細かなユーザー管理が行われておらず、情報セキュリティ面での課題もありました」

東芝テック株式会社 画像情報通信カンパニー MFPアフターセールス統括部 アフターセールス技術部システム企画担当 専門主幹 宮下尚夫氏

 また、東芝テック 画像情報通信カンパニー MFPアフターセールス統括部 アフターセールス技術部システム企画担当 専門主幹の宮下尚夫氏は、こうした問題の背景には、現業部門が立ち上げたサイトゆえの問題点があったと述べる。

 「WebQSは外部ベンダーに依存する度合いが大きかったため、ちょっとした変更などにも時間と費用を必要とし、気軽に手を入れられる環境ではありませんでした。ユーザーIDシステムの保守や管理も外注していましたが、せめてそこは内製したいと考えていました」

 こうした課題を解決するべく、東芝テックでは2006年にWebQSの再構築プロジェクトをスタートした。

 一方、同時期に、Web共通基盤プロジェクトも動き出した。

 「WebQSをはじめとして、事業部ごとに独自のニーズでサイトを立ち上げていったため、開発や運用などでデメリットが大きい状態になっていました。そのため、共通基盤を構築し、その上で各サイトを運用するような形を作って、全体のコストを下げようというプロジェクトを立ち上げることにしました」(林氏)

グローバルなサポート体制や機能面からオラクル製品を選択

東芝テック株式会社 生産本部 情報システム部 応用システム開発担当 専門主査 林知之氏

 Web共通基盤プロジェクトでは、カンパニー全体の入り口として「TOP-VIEW」と名付けられたサイトを用いることになった。WebQSは、その下に位置づけられる。もちろん、システム的な基盤は他のサイトも含めてTOP-VIEW全体で共通するものとなる。

 その基盤には、Oracle Identity Manager、Oracle Access Manager、Oracle Application Server、Oracle Web Service Manager、Oracle Content Databaseなどが採用されている。Content Databaseがコンテンツを一括して管理し、Identity ManagerやAccess ManagerがID管理の共通化を実現するような構成となっており、システム構築は株式会社ソピアが担った。

 「機能、コスト、サポートなどを考えた結果、Oracle製品を中心とするのが望ましいという結論に落ち着きました。例えばContent Databaseを選んだのは、APIが充実しており、今後の開発を考えたときに将来性が見込めることが大きなポイントです。他社製品では我々の要件に合わず、アドオンどころかカスタマイズも必要だと考えられたため、将来性に不安がありました」と、林氏はその採用理由を説明している。

東芝テック株式会社 画像情報通信カンパニー IT戦略推進室 室長 中村耕治氏

 また、グローバルに展開する事業を支えるだけに、ベンダーのサポート体制がグローバルであることも条件となっていた。東芝テック 画像情報通信カンパニー IT戦略推進室 室長の中村耕治氏は、次のように言う。

 「主要ベンダーの選定には、かなりの議論を重ねました。その中で出てきた条件が、サポート地域の広さです。機能面を度外視して考えても、我々の事業範囲に合うだけのグローバルなサポートを期待できるベンダーは数社しかありません。その中で、1社に絞るとすれば、オラクルが最適だろうという結論に落ち着いたのです」

 このような経緯を辿って、ツールを選定し、Web共通基盤プロジェクトとWebQS再構築プロジェクトが並行で進められた。WebQS再構築プロジェクトは、Web共通基盤プロジェクトの最初の成果でもあるという形だ。

 こうして2007年10月に、新たなWebQSサイトが無事にオープンした。

 「導入の時の課題についても、オラクルのサポートが親身に対応してくれました」(林氏)

グローバルユーザーID管理を情報システム部門が一括管理

 宮下氏は、WebQSのリニューアルによるメリットを、次のように説明している。

東芝テック株式会社 生産本部 情報システム部 ネットワークソリューション担当 グループ長 古川宗男氏

 「運用コストが明らかに下がっています。また、出したいコンテンツをすぐに提供できるようになりましたし、要求に応じた機能の提供が非常に容易となりました。サービス生産性は明らかに向上したと言えるでしょう。そして、我々業務部門と情報システム部門との役割分担が明確になり、我々にとっては運用の負担が軽くなったことも大きなメリットですね」

 なお、運用・保守コストは、概算で年間3割近く削減できる見通しとのこと。グローバルで数千にのぼるユーザーが使うシステムだけに、その削減は非常に大きな意味を持つ。

 「ID管理についても、以前は外部ベンダーに委託していましたが、今回のリニューアルからは、グローバルのユーザー全部を情報システム部門が一括で管理してくれるので、対応しやすくなりました」(宮下氏)

 Web共通基盤を構築したことで、今後の東芝テックのWebサイトの発展が期待されている。東芝テック 生産本部 情報システム部 ネットワークソリューション担当 グループ長の古川宗男氏は、最後に次のように語った。

 「ユーザー管理・インフラ環境なども共通化されたため、今後のシステム構築は非常に楽になることでしょう。情報システム部門としても、今回の基盤構築が今後のWebフロントシステムのベースになると感じています」

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提供:日本オラクル株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年12月31日