ストレージでの重要性が高まる「エコ」への取り組み最新ストレージ・ソリューション・セミナー2007 リポート

12月5日、サン・マイクロシステムズは「最新ストレージ・ソリューション・セミナー2007」を開催した。ITのエコ化は、広くストレージにも及んでいるという。

» 2008年01月09日 10時00分 公開
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コスト、運用、リスク、そしてエコがサンのストレージのトレンド

photo 執行役員 ストレージ・ビジネス
統括本部長 湯澤芳伸氏

 サン・マイクロシステムズ(以下、サン) 執行役員 ストレージ・ビジネス統括本部長の湯澤氏は、セミナー冒頭の挨拶の中で、ストレージのトレンドはコスト、運用、リスクの3点だと説明した。

 「ストレージの容量あたりのコストは下がり続けている。コストを下げるためにストレージを移行する際、そこにリスクが生じて、リスクを下げるための運用がポイントとなってくる」

 また、IT製品による電力消費量の拡大傾向についても触れた。

 「ある調査では、2011年に米国の全電力消費量の30%がデジタルアプライアンスによるものとなると予測している。さらに、そのデジタルアプライアンスのうち7割ほどがサーバやストレージで占められるという。一方で電力コストも、年率20%以上の比率で上昇が続いている。こうした将来像を踏まえ、サンとしては、電力消費量を下げるエコの取り組みを推進している。ストレージにおいても、例外ではない」


「技術」「行動」そして「共有」によってエコを推進

 続いて演台に上がったのは、サンのストレージのエバンジェリストでもあるRobert Nieboer氏。

 「エコはサンにとって特に重要なテーマ。エコといっても、エコロジーだけではない。エコノミーであることも必要だ」と語った。

 IDCの予測では、2010〜2015年にかけてITコストをITエネルギーコストが上回るという。ITの電力に関する条件は特に米国で厳しくなってきており、今ではIT運用の電力コストがデータセンターの立地選びにまで影響している。例えば、カリフォルニア州などでは新規データセンターの設立が難しいほどだという。

 このような現状に対し、「サンは、技術のイノベーションと、自社での行動、そしてオープンソースへのソフトウェア資産提供を通じて技術を共有し、エコに取り組んでいる」とNieboer氏は説明する。

 エコ技術では、すでにSPARCサーバの“CoolThreads”技術などでリーダーシップを取っている。また、仮想化技術などによってサーバの統合を強く推進していることも、大幅な消費電力削減に役立っているという。

 そして、ストレージにおいても、エコロジーとエコノミーの両面で貢献できる技術を強化していくとし、エコにサンが役立てる3つの理由を説明した。

photo Storage Solutions Marketing Business Development Manager Robert Nieboer氏

 「まず、我々はストレージ専業ではなく、システム会社であることから、バランスの良いアプローチが可能だ。そして、サンは競合ベンダーと比べると製品のエネルギー効率が高い。また、サン自身がシステムインテグレーションを行うことができる」

 エコを語る上で、サンはテープストレージの優位性を重視している。

 「テープは、そもそもデータを保管しておくだけなら消費電力はゼロkw、CO2排出もゼロ。そもそも保管されているデータの8〜9割はアクセスされないまま保管されているのだから、エネルギー的に有利なストレージだ。さらにサンのテープライブラリは、他社ライブラリより40%くらいはエネルギー消費が少ないという特徴を持っている。最新のSun StorageTek SL8500は、今後10年間を担う主力製品だが、すでにオーストラリア政府に採用され、旧モデルのテープストレージと比較して66%のエネルギー消費削減と33%の設置面積削減を実現した実績がある」(Nieboer氏)

 また、ディスクストレージも最先端の仮想化技術を採用しているほか、ディスクを用いた仮想化テープストレージでも、サンは高い技術力を誇るとしている。

 「例えば仮想テープライブラリでは、FalconStorのソフトを搭載した製品が各社から出ているが、我々はSolaris10をベースとし、革新的なZFSファイルシステムを用いた製品として作っている。ある競合製品と比べれば、消費電力は3分の1近くに抑えられた。これはサンだからこそ実現できるパッケージング」(Nieboer氏)

 ストレージでは、急増し続けるデータをどのように保管していくかがポイントとなる。しかし、ハードウェアコストも容量あたりコストでいえば低下し続けている。持続可能なストレージとしていくためには、むしろそれより急角度で伸びる管理・運用の人的コストや、エネルギーコストをいかに抑えるかがポイントとなる。

 Nieboer氏はさらに、今後のストレージに関するトピックをいくつか紹介した。

 「“世界初のWeb2.0サーバ”とも呼ばれるSun Fire X4500“Thumper”は、高いデータスループットとストレージ密度を実現した新たな分野のサーバ。コストは某競合製品の20分の1、容量は競合が10分の1しかないにも関わらずである。サンはNASを手掛けてこなかったが、あるNAS大手ベンダーについて『1世代目、2世代目は買いたいと思う製品だったが、9世代目は嫌いだ』というユーザーがいた。2008年には、我々も満を持して製品を出す。そして、大容量データアーカイブ用途に最適な『Project Honeycomb』も用意している。いわばデータオブジェクトの管理機能を持ったストレージだ。サンは今後も、エコ・イノベーションを推進していく」

高度な仮想化機能を備えたディスクストレージがエコに貢献

 サン・マイクロシステムズ ストレージ・ビジネス統括本部 ストレージ・ビジネス開発本部 ストレージ技術部 専任部長 中西国和氏は、最新ディスクストレージ製品「Sun StorageTek 9900V」(以下、ST9990V)シリーズについての紹介を行った。同シリーズはST9990VとST9985Vの2製品からなり、いずれも高度な仮想化機能を備えている。

photo ストレージ・ビジネス統括本部
ストレージ・ビジネス開発本部
ストレージ技術部 専任部長
中西国和氏

 「エンタープライズクラスのディスクストレージは、パフォーマンスなどの要求が強いことから、消費電力削減という観点では優等生になりにくい。それでも、ST9900Vは前モデルより13%の消費電力削減を実現した。また、高度な仮想化機能はエコに役立つポイントとなる」(中西氏)

 1つは、「Universal Volume Manager」。ST9900Vシリーズに接続された外部ストレージのボリュームを、あたかも内部のボリュームであるかのように扱う機能だ。旧モデルのST9900シリーズから搭載されている機能だが、外部ディスクに対する入出力性能や管理機能が大幅に強化された。

 もう一つは、ST9900Vシリーズでの新機能「Dynamic Provisioning」。ストレージ容量を「プール」として管理し、その中から仮想ボリュームに対して容量を自動的に割り当てるというものだ。仮想ボリュームは実際に搭載されているディスク容量より大きくすることができるため、仮想ボリュームの容量を変えることなく、実際の利用状況に応じてディスクを増設していくという使い方が可能になる。

 「Universal Volume Managerでは、例えばSATAなどの低コストストレージ、あるいは以前から使ってきた旧型ストレージなどを外部ストレージとして組み合わせることで、効率よくエコ的な運用が可能になる。また、Dynamic Provisioningでは、ディスク資源を効率的に活用できるようになり、投資効率を向上すると同時に運用負荷や電力負荷を低減できる。なお、ST9900Vシリーズでは、エンタープライズクラスとしては珍しくSATAディスクにも対応する予定となっている。目的に応じて、より効率的に使えるようにするためだ」(中西氏)

テープはエコなストレージ。暗号化や仮想化などによって使いやすさを増していく

 マーケティング統括本部 プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 ストレージ・マーケティング部専任部長 西村学氏は、テープストレージの最新動向を紹介した。

photo マーケティング統括本部 プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 ストレージ・マーケティング部専任部長 西村学氏

 「ディスクは大容量化や転送レート高速化が著しいが、テープも負けてはいない。昨年リリースした『Sun StorageTek T10000』ドライブ(以下、T10000ドライブ)は、1巻あたり500GB、120MB/sの転送速度を持つ。2008年には、さらに性能を向上させた第2世代のT10000ドライブが登場する予定だ。テープはディスクと同じくらいの容量・転送速度を持っていると言える」(西村氏)

 テープの新たな用途としては、アーカイブが挙げられる。さまざまな法令でデータ長期保管が求められるようになり、そのためのデバイスとして再び注目を集めているというわけだ。

 「テープはディスクと違ってスピンドルを回し続ける必要がなく、データを保存しているだけなら電気を消費しない。おおむね7年以上の長期保管においては、総保有コストでテープの方がディスクより有利」(西村氏)

 長期保管しておくべきデータには、個人情報などの機密情報も数多く含まれる。暗号キーがなければデータの改ざんもできないことから、保管されたデータの原本性も担保できる。そこで近年では、データ保護のための暗号化機能をテープドライブ自体が備えるようになってきた。T10000ドライブも、その1つだ。

 「T10000ドライブでは、ほとんどパフォーマンスを低下させることなく暗号化記録が可能。データ圧縮との併用もできる」(西村氏)

 エコの観点からは、仮想化テープストレージも大きな効果を発揮する。ディスクを用いていながらもシステムからはテープストレージとして扱えるストレージで、運用を大きく変えることなくバックアップを統合、バックアップ時間の短縮などを実現する。

 「さらに、仮想化テープストレージの効果を高めるものとして、データ重複除外(Single Instance Repository:SIR)技術の開発も進んできた。最大で30分の1程度まで必要な容量を削減でき、特に災害対策で遠隔地にバックアップデータを転送する場合などに大きな効果を発揮する。当社の製品では、2008年にリリースする『StorageTek VTL Plus 2.0』で実装する予定だ」(西村氏)

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 仮想テープライブラリ (VTL) は、バックアップおよびリストアのパフォーマンス改善や災害対策、遠隔オフィス、分散データ保護環境といった用途で使用される。物理的なテープライブラリよりも多くのテープドライブをエミュレートしたり、複数のバックアップストリームを同時に実行することが可能なため、割り当てられた時間内でのバックアップ完了が容易になる。

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提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年1月22日