「あきらめ」を「気づき」へ――帳票から始める現場視点の業務改革ウイングアーク岡氏×ITmedia エンタープライズ浅井

多くの企業で帳票が業務改善の足かせになっているという。日本企業の誇る“現場の強さ”をよみがえらせるには、帳票の改革からスタートするのが一番だ、とウイングアークの協創企画推進質室長の岡政次氏。ITmedia エンタープライズ編集長の浅井英二がその秘けつを聞いた。

» 2008年02月12日 10時00分 公開
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 企業で働く社員は日々何らかのかたちで帳票に接し業務をこなしている。発注書、受注書、申請書、明細書――これらすべてが帳票だ。実は、この各種システムから出力される帳票が業務を硬直化させ、現場を弱らせる原因にもなっているという。

 「業務の現場は非効率を知りながら、それでも従来のままの仕事を変えられずにいる」と指摘するのは、ウイングアーク テクノロジーズ協創企画推進質室長の岡政次氏。

 同氏は、前職の大手電機メーカーで帳票の電子化プロジェクトを推進してきた結果、帳票を改善し、電子化することで、実際に業務が改善されていくことを痛感したという。ITmedia エンタープライズ編集長の浅井英二が、帳票を切り口に業務やシステム基盤を改革する秘けつを聞いた。

柔軟性に乏しい「帳票」が効率化のネックに

浅井英二 ITmedia エンタープライズ編集長浅井英二

浅井 経営環境がめまぐるしく変化する中に、変化対応力の強化が企業に強く求められています。ウイングアークでは、そうした課題への対応策として「帳票」を切り口にしたシステム基盤の整備を積極的に提案しています。その狙いを教えてください。

 言うまでもなく、帳票は企業が業務を進める上で不可欠な存在です。企業が成長し、業務が多くの部門にまたがって遂行されるような中で、一連の業務を正確に完結させるには、帳票を基にした確認作業は欠かせません。

 ではなぜ今、我々が帳票にフォーカスを当てたシステム基盤の整備を強く訴えるのか。その背景には、業務を高度化させる上で帳票の存在がネックになっているという企業の実情があります。

浅井 帳票という存在が、競争力の強化を阻んでいる、と。

 そもそも帳票の存在理由は、正しく業務が行われているかどうかを確認することにあります。社員は従来からのルールに沿って、機械的に帳票の確認作業を行っているわけです。

 ただし、時代に応じて業務環境が変われば、最適な仕事の進め方も変わります。仕事のやり方が変われば確認すべき項目、すなわち帳票上の記載項目も変わるというのは自然の流れです。

 にも関わらず、帳票を管理するために整備された既存のシステムのほとんどは、柔軟性に極めて乏しいというのが実情です。そのため、帳票の記載項目に手を加えようとすると、多大な労力やコストが発生してしまうのです。

帳票の電子化を通じ既存の帳票を改善する

浅井 帳票を変更できないために、業務手順を変えられないのは、帳票の本来の目的から考えると本末転倒と言えますね。

岡政次氏 ウイングアーク テクノロジーズ協創企画推進質室長の岡政次氏

 その通りです。とはいえ、ほとんどの職場で社員が帳票に対して不満やあきらめを感じつつ、日々の仕事をこなしているというのもまた事実です。その結果、本来は不要な確認作業を行っている可能性も否定できません。こうした状況を改善し、本来あるべき業務手順を見極め、より有益な業務に社員のリソースを振り向けるためには、帳票に対するさまざまなニーズに柔軟に応えられるIT基盤を欠かすことができないといえます。

 これまでの経験から私自身、それを痛感しており、帳票の重要性を強く訴える原動力となっているのです。

浅井 どのようなことを経験されたのですか?

 私は過去、大手の電機メーカーのIT部門で帳票の電子化を指揮したことがあります。工場がきわめて広く、出力した帳票を現場まで届けるのに多大な労力を要していた状況を改善したいというのがプロジェクトを立ち上げた動機でした。IT部門はやはり、社員や会社の抱える問題を解決することをミッションとするサービス部門ですからね。

 現場の声を聞いて回っているうちに、実は現場は帳票に対してさまざまな不満を抱えていることが分かりました。しかし、これまでこの問題は先送りされていたのです。問題点を改善するためには多額のコストが発生するため、現場は問題の解決を完全にあきらめていたんですね。

 これら話を聞くうちに、帳票の電子化を通じ、帳票にまつわる社員の不満を解決できるのではとの思いが強くなっていきました。そこで、帳票を電子化する上で工場の責任者を中心に社員の要望を聞いたところ、極めて妥当な応えが返ってきました。

 業務を乱さないものをつくってほしい、というものです。

浅井 現場からすれば、紙ベースの帳票でも電子帳票でも、従来どおり仕事が進められれば構わないというわけですね。

ウイングアークの岡氏(左)と浅井(右) ウイングアークの岡氏(左)と浅井(右)

システムに高い利便性をもたらす「SVF」

 現場の声を踏まえてシステムを構築できたことで、次に私は全社規模の帳票基盤プロジェクトを指揮することになりました。その際に私が掲げた目標の1つが、帳票アプリケーションの開発負荷を大幅に軽減できる環境の整備です。

▲企業内に散在する個別最適された帳票システムの課題

 帳票アプリケーションを開発する際の煩雑さは、私自身、身にしみるほど理解しています。そのために、現場の要望に迅速に対応できないという状況を改善する必要があると考えたのです。

 また、電子帳票化を通じた業務改善も目標に掲げました。紙を媒体にして業務を進めることが、生産性を阻害しているのは事実ですから、帳票を電子化して配布待ち時間をなくし、本来必要とする人たちが同時に閲覧することができる環境をつくろうとしたのです。そうすれば、もっとも合理的な手順へと業務が改善されるはずです。

 慣れた仕事の手順を変えるのは誰も好みませんが、マイナスイメージを払拭するぐらいのメリットを実感できれば電子帳票システムは必ず受け入れられます。もちろん、帳票印刷コストも削減も見込めました。

浅井 とはいえ、無理して導入したものの利用されないシステムは少なくありません。電子帳票の利用はスムーズに進んだのですか?

 電子帳票の利用を受けて入れてもらうためには、経営者、現場の社員、IT部門という3つの立場からの理解が欠かせません。経営層にはペーパレス化を通じたコスト削減効果を、現場の社員には出力する帳票を自分で手を加えられるようになることを、IT部門に対しては帳票アプリケーションの開発作業が容易になることを、それぞれ訴えました。「三方一両得」の導入作業を実践したわけです。

 もちろん、利用を促進するには高い利便性が必要です。そこで採用したのがウイングアークの帳票ツール「Super Visual Formade」(スーパービジュアル フォーメイド:SVF)でした。同製品は、他の製品にはあまり見られない印刷データのキューイング機能を備えており、この機能を活用することで、どのデータを優先的に印刷すべきかをユーザーが指定できます。日々の運用でユーザーに負担をかけないためにも、SVFの利用は不可欠だったのです。

 こうした取り組みの結果、帳票基盤は社員に好意的に受け入れてもられました。帳票の簡単な修正作業であれば、半日で終えることができるほどです。

印刷環境の抜本的な見直しも可能に

浅井 そのような帳票基盤は、コンプライアンスをはじめ、さまざまな面でメリットを見込むことができそうですね。

 実は私が帳票システムの基盤化を推し進めた理由の1つとして、会社の情報セキュリティに対する意識の高まりを利用しました。最終的な目標はもちろん業務改善だったのですが、情報セキュリティを口実にして予算を獲得しようと考えたのです(笑)。

 帳票システムの基盤化はデータの扱い方を標準化させる効果があるという点で、情報セキュリティを向上させるためには高い効果があります。アプリケーション単位でデータの扱い方を標準化していく方法もあるでしょうが、全社的に精度を均一に保つのは至難の業です。

 しかし帳票システムを基盤化すれば、社員に対して仕組みで「縛り」をかけられます。いつ、誰が、どのプリンターで、何枚の帳票を印刷したのかといった記録を収集できる。

▲帳票運用のセキュリティ強化

 考えてもみてください。多くの企業では、プリンタが現場の判断で導入され、IT部門はその利用状況すら把握できていません。にもかかわらず、帳票という重要な書類がプリントアウトされているのです。重要な情報の持ち出しが管理できないのです。帳票システムを基盤化すれば、この現状を改善できます。システム監査の点から疑いをかけられる点を劇的に少なくできるわけです。

 また、ユーザーはプリンターの利用状況を特に意識せず印刷していますが、実はその結果、利用するプリンタに偏りが生じています。プリンタごとにどれほど印刷データが残っているのかを分析できれば、印刷環境の最適化、つまり故障や印刷時の待ち時間を削減できるわけです。

 ホストコンピュータの時代には、あらゆるデータの流れを把握できていましたが、オープン環境に移行するに連れて、印刷の際の「スケジュール」や「バランス」が管理できなくなりました。それがユーザー部門の印刷にまつわる各種の不満の原因になっていったのです。

 帳票システムの基盤化は結果的に職場環境を改善させることとなり、この意義は非常に大きいものだと思います。

▲帳票システムの基盤化

気づきを促し競争力を強化する良い循環を生む

浅井 帳票システムの基盤化を機に、仕事の進め方をさまざまな面から見直すことができるようになる。確かに企業が享受できるメリットは極めて大きいと言えそうです。

 これまで、帳票の意義が意識されることはありませんでした。しかし、基盤化を機に仕事の進め方を見直せるようになれば、帳票が必要かどうかなど何らかの「気づき」が生まれます。

 それらの仮説を、SVFによる帳票ソリューションのコアとなる「Report Director Enterprise」レポート ディレクター エンタープライズ:RDE)から取得する各種のログ情報から検証することで、不要な帳票やアプリケーションの削減につなげられます。ひいてはマイグレーションなどの作業負荷を大幅に軽減できる効果も見込めます。

 IT部門はこれまで、いわば押し付け型のサービスを提供していたのではないでしょうか。その結果、ユーザーは不満を感じていても、あきらめざるを得なかった。帳票基盤を整備し、ユーザーの要望に柔軟に応えられる環境を整備できれば、こうした状況を抜本的に改善できます。そして、IT部門が信頼されればユーザー部門からさまざまな改善要求が寄せられるようになります。帳票の見直しを契機に、企業に良い循環を生み出すことができるのです。

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「統合的な帳票システムでコスト・運用工数削減」成功事例集

基幹業務をオープンシステムへ移行する際に発生する大量の帳票出力を処理し、拠点に分散する印刷システムと運用管理を集中化。既存資産の活用と運用保守の削減を実現する「オープン系帳票スプールサーバ」を実際に導入し、運用している企業の“生の声”が確認できる。
導入成功事例として、西濃運輸株式会社、シャープ株式会社、近畿コカ・コーラボトリング株式会社、大成建設株式会社など7社を掲載。

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提供:ウイングアークテクノロジーズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年3月2日