想定外のパフォーマンスを見せるUltraSPARCプロセッサ:仮想化によるWebフロントエンドサーバの統合効果を検証

マルチコア化によってCPUあたりの同時処理スレッド数を格段に増やし、サーバの設置スペース効率やエネルギー効率を大きく向上させたサン・マイクロシステムズ(以下、Sun)の“CoolThreads”テクノロジ。その実力は、具体的にどのような用途で、どれだけの効果をもたらすのか。伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は、検証センター「Technical Solution Center」(TSC)において、その検証を行った。


UltraSPARC T2の得意分野はどこなのか?

 CTCがパフォーマンス検証を行った理由について、ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 課長の小泉利治氏は「お客様に最適な提案を行えるようにするための、具体的な資料が必要なのです」と語っている。

 「サーバのCPUはいろいろな種類がありますが、どれも万能というわけではなく、それぞれに得意分野や不得意分野があります。スペックである程度は分かりますが、より実際の使い方に近い状態でのパフォーマンスを調べることで、特に社内の営業SEがお客様に提案する際に、どれだけのサーバが必要になるかといった計算に役立つ資料を作るのが、今回の検証の目的です」

photo 伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 課長 小泉利治氏

 データベースサーバ、アプリケーションサーバ、Webサーバといった用途によって、求められる能力は異なる。CoolThreadsテクノロジを用いたCPU「UltraSPARC T1」「UltraSPARC T2」は、それぞれの用途で従来の「UltraSPARC IIIi」の何倍のパフォーマンスが出せるのかが分かれば、既存顧客に対してサーバ集約の見積もりを出す際などにも、精度の高い提案が可能になるというわけだ。

 「例えば、データベースはOracle、WebサーバはApacheといったように、ごく一般的に用いられているミドルウェアを使って検証をしています。社内のSEたちにアンケートを取った結果、これらの検証を求める声が非常に多かったですね」(小泉氏)

 さらに、テストデータなども実際のWebアプリケーションで多く用いられているような処理を行うようにしたという。

 サーバの能力はCPUだけでなく、メモリやディスク、ネットワークなどのパフォーマンスにも左右されるし、OSやミドルウェアなどのチューニングによっても大きく違いが出てくるものだ。実際の利用環境に近い状態での検証は、単なるベンチマークテストでは分からない部分まで調べることができる。ひいては、実際の構築時のパフォーマンス最適化に役立つノウハウの蓄積にもつながる。

 「我々ITエンジニアリング室というのは、CTCの中での技術主幹部署で、実際にお客様に接するSEたちに役立つ情報を提供するのが主な仕事です。その一環として、今回のパフォーマンス検証も行っています」(小泉氏)

パフォーマンスが高過ぎて、負荷が足りない!

 今回の検証では各種アーキテクチャのサーバを用いたという。そのうち、UltraSPARC系サーバは、表に示す3機種だ。検証では、先に紹介したようにOracleデータベースやApacheで、実際のWebアプリケーションを模した内容の負荷試験のほか、浮動小数点演算や整数演算などのベンチマークテストも同時に行っている。

image 検証サーバの構成

 ITエンジニアリング室では、この検証の過程で、意外な事態に直面したという。ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部の小野友和氏は、こう語っている。

photo 伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 小野友和氏

 「今までのサーバなら、負荷をかけるのも簡単だったのですが、UltraSPARC T2搭載のSun SPARC Enterprise T5220サーバなどでは、擬似クライアント用に用意していたサーバの台数では負荷をかけきれなかったのです。CPU負荷100%まで出すために、4台か5台のサーバを使う必要がありました。当初の見積もりが甘かったのですね」

 彼らの予想以上の負荷に耐えるUltraSPARC T2。しかし、そこで検証を諦めてしまっては意味がない。急遽、負荷用の機材を追加することにした。といっても、今回の検証だけのために機材を購入したわけではない。

 実は、この検証を行ったCTCのTechnical Solution Centerは、後述するように機材が充実した設備だ。すぐ臨時に機材を増やし、十分な負荷を与えることができたという。

 「TSCで行ったからこそ、1.5カ月で検証を終えられたのだと思います。また、CPUより先にネットワークがボトルネックになってしまうケースもありました。これも、検証環境を調整して対応し、CPU負荷100%時のパフォーマンスを調べることができました」(小野氏)

マルチベンダー混在環境にも対応するTSC

 ここで、検証を行ったTSCについて紹介しよう。

 TSCは2005年、それまで複数拠点に散在していた検証施設を統合する形で東京と大阪に開設された。東京のセンターは床面積750平方メートル、総ラック数170の設備に、約320台のサーバと合計60Tバイトあまりのストレージが用意され、日本でもトップクラスの規模を誇る設備となっている。

photo 伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室 テクニカルソリューションセンター チーム長 宮坂秀一氏

 「当社は、マルチベンダーのシステムインテグレーターとして、いろいろな製品を扱っています。Sunをはじめとするベンダー自身では、他社製品との比較やマルチベンダー混在環境での検証を行うのは難しいことですが、当社の立場なら可能というわけです。機材に関しては、当社で扱っている製品なら、いろいろな種類が試せるようにしてあります。例えばSunの製品も、ハイエンドからミッドレンジ、ローエンドまで、また新旧機種も豊富に揃えています。これらを組み合わせて、いろいろな環境に合わせた検証ができます。もちろん、各種製品が一同に集められているので、当社にとってのショールーム的な役割も担っています」と、ITエンジニアリング室 テクニカルソリューションセンター チーム長の宮坂秀一氏は説明する。

 過去の機種との比較検討なども、TSCの機材があってこそ可能になったと言えるだろう。

 TSCは、今回のような技術検証だけではなく、SEが顧客に提案を行う際にシステムのサイジングを行ったり、構築中のシステムの事前テストを実施したりする際にも用いられている。さらには、顧客自身のアプリケーションを持ち込んでの検証も可能だ。

 「外部と接続されたセキュアな回線も用意されているので、例えば東京-大阪のセンターを結んだり、あるいはお客様のシステムと接続したりといったテストも可能です」(宮坂氏)

仮想化によるサーバ統合にも手応え

 TSCで進められた検証の結果、特筆すべきはApacheでのCGIパフォーマンスであったという。

 「やはり、UltraSPARC T1/T2はスループットが要求される部分で高いパフォーマンスが出ていますね。同時処理スレッド数の多さや、1クロックでスレッド切り替えができることなどが、見事に結果に出ています」と小野氏。

 「1コア、8スレッドだけ使うようにした状態でも、その効果は明確に出ています。そこからコア数を増やしていくと、それに比例してパフォーマンスが伸びます。ちなみに、今回はSolaris Containerを用いた仮想化で、コア単位の割り当てを行いました。これは、サーバ統合時の利用をイメージした検証でもあります」

image Apache CGIパフォーマンス検証結果

 「一般的には、Webフロントエンド部分にサーバの台数が最も多いわけですが、このUltraSPARC T1/T2のパフォーマンスを利用すれば、多くのWebサーバを統合できることになります。仮想化技術を併用して、複数のアプリケーションを統合するのにも役立つことでしょう。検証結果は、何台の既存サーバを統合でき、それによって床面積や消費電力をどれだけ削減できるかといった見積もりに役立ちます」(小野氏)

 CTCでは、こうした結果をもとに、今後の提案を進めていくという。その際には、検証時に得たノウハウも大いに役立つ。今回の検証結果は、CTC社内で公開しているが、多くのスタッフがダウンロードし、顧客への提案などに活用しているという。

 「Webフロントエンドは、特に仮想化と相性が良いのです。Sunの仮想化テクノロジはSolaris Containerの他にも何種類かありますが、それぞれ特徴があって、今回のような検証を通じて、良い点も悪い点も詳しく見えてきました」(小野氏)

今後Sunからは、UltraSPARC T2を複数搭載したようなサーバも登場する。CTCでは引き続き、より幅広いアプリケーションでの検証も視野に入れつつ、今回のような環境や手順で検証を行っていく予定だという。



提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年6月19日