もっとシンプルに、より簡単に! すべてのネットワークをテクノロジーの力で自動化する「SMFv2」

技術革新に沸くITだが、一方で深刻な技術者不足にも悩まされている。今後はITの活用がさらに裾野まで広がっていくことを考えると、事態は悪化の一途をたどるに違いない。技術者不足を解消する抜本的な対策を考えると、「自動化」というひとつの答えが見えてきた。ネットワークにおける「自動化」を実現したのが、IIJの「SMFv2」である。


「ネットワーク技術者不足」がもたらす社会的影響

 ITの将来に影を落とす深刻な問題のひとつが技術者不足だ。団塊世代のベテラン技術者が一斉退職した2007年問題、少子化問題、学生の理系離れ、IT業界のハードワークに対するイメージダウン、企業のITコスト削減などなど、さまざまな要因が絡み合って発生している深刻な問題である。

 こうした現状は、情報処理推進機構(IPA)が今年1月29日発表した「IT人材市場動向予備調査」の結果報告書からもうかがうことができる。この報告書によれば、IT企業の約9割近くが人材の量・質ともに、やや不足または大幅に不足と回答。大幅に不足と回答した割合は中小規模事業者ほど多く、優秀な技術者が著名な大規模企業へ集中してしまっている実態が浮き彫りになっている。

 この問題は、IT業界だけの問題としてとらえてはいけないところに深刻さがある。現在、ほぼすべての企業が何らかの形でITを導入しており、経営に直結する重要なシステムとして彼らの日々の事業を支えている。特に、インターネット/イントラネットに代表されるネットワークシステムは企業システムの根幹になっており、その構築、管理、運用を行うネットワーク技術者が不足する事態は、国内における全企業に深刻な状況をもたらしかねない。

tu_iij1009_01.jpg 2007年問題をはじめとする、さまざまな要因がもたらした技術者不足はますます深刻の度を深めており、特にネットワーク技術者の不足はITを駆使している企業の活動へ確実に支障を来すことになるだろう

ブロードバンドの普及期から潜在し、IPネットワークの拡大で悪循環へ

 このようなネットワーク技術者不足の問題は、ブロードバンドの普及と大きな関わりがある。6年ほど前にブロードバンド回線のコストが大幅に低下し、爆発的な普及が始まり、IPネットワークを導入する企業が急増した。当然、企業はコストを抑えようとする。結果、機器というハードウェアの価格だけでなく、システムやそれを構築する技術者のサービス料にも価格競争の波が押し寄せることになった。

 このようなニーズの急激な増加に加え、ブロードバンド特有のセキュリティ問題なども発生し、ネットワーク技術者が日々の業務に忙殺され、先述したような人材の流出入バランスも崩れ、技術者不足がどんどん加速してしまう。爆発的な普及を遂げることで、その事象に関わる人材不足が問題となることは、何もネットワーク技術者だけのことではない。しかし、この人材不足を解決できないまま、現在、それが大問題に発展しようとしていることは重視しなければならない。

 このような状況を生んでしまった根幹の問題として、インターネットイニシアティブ SEIL事業部 事業推進部 部長 林 賢一郎氏(以下、林氏)は次のように指摘する。

tu_iij1009_03.jpg インターネットイニシアティブ
SEIL事業部 事業推進部 部長
林 賢一郎氏

 「ネットワーク技術教育が困難になっている企業は、アウトソーシングでネットワーク管理を賄うようになりました。しかし、そのコストは不透明な状態で成り立ってしまっています」

 これは非常に重要な指摘だろう。企業にとってIPネットワークの導入・運用は一気に不可欠なものとなったが、それを扱うことのできる技術者が不足したため、アウトソーシングという手段を採用した。しかし、これでは企業内にはネットワークに関するノウハウが蓄積されず、自社で優れた技術者を養成する土壌もなくなっていく。アウトソーシングに頼り、ネットワーク運用力を持たない企業は、エンジニアの技術料というコストが適切かどうかの判断も正常に行えず、言われるままにアウトソーシング先への支払いをせざるを得ないのが現状だ。なぜならトラブルの発生後に原因や対処に関する報告を受けても、理解し把握するのが難しいからである。

 今後もネットワークは高度化する一方で、技術者のスキル向上を一朝一夕に実現することは難しい。このままでは、アウトソーシングのジレンマを抱え続けることになる。

 ある意味、ネットワークというのはIT業界においても特殊な技術が求められる分野だ。PCの分野ではプラグ&プレイやインターネットを通じたソフトウェアの自動アップデートが実現されており、ユーザースキルの高低にかかわらず、最新の環境が簡単に構築できるようになっている。サーバ分野でも管理ツールやバッチなどを利用して、積極的に自動化が推進されている。またリモート管理によりサーバ室に閉じこもって管理するようなことも減っている。

 これと対照的に、ネットワークはあまり自動化が進んでいない部分だ。ネットワーク構築のために技術者が日本中の拠点を飛び回ったり、ルータが故障したから再設定のためにサポート要員が出張するといった作業が当たり前。ルータ1つひとつに施すべき設定が異なるために、単純なのに面倒な作業を強いられていることになる。

 ここまで体力勝負、人海戦術が頼られているのは、いかにも前時代的だ。PCやサーバがそうであったように、ネットワークの未来にも、これまで自動化できていないものを自動化するような技術が存在すべきなのではないだろうか。

技術者の仕事をテクノロジーでカバーする「SMF」

 こうした未来を作るソリューションとして提供されているのが、インターネットイニシアティブの「SMFv2」である。このソリューションは、技術者に頼らないネットワーク構築・マネジメントを実現するために生み出されたものだと林氏は語る。

 「ブロードバンドの普及でコストが下がる中、必要以上の人的作業を求めない風潮を感じるようになっていました。技術者不足という課題もあるため、人を育てるよりも、人を育てなくてもいい仕組みを積極的に開発した方が現実的でしょう。そこで、“誰でも”“絶対に失敗しない”テクノロジーを実現しようと考えました」

 SMFv2の仕組みはこうだ。SMFに対応したハードウェアを同社では「サービスアダプタ」と呼称している。サービスアダプタに電源が入ると、インターネット網を通じて、IIJが保有する初期設定のためのサーバ「LS(Location Server)」へ自動接続する。

 そして、LSではサービスアダプタに割り振られたユニークID(これをDistributionIDと呼ぶ)を照会して、接続すべき「RS(Resource Server)」のアドレスを返す。サービスアダプタはRSの情報を受け取り次第、指定のRSへ自動接続。RSには各サービスアダプタが本来動作すべき設定情報が保存されており、サービスアダプタはこの情報を自身の動作設定として受け取り、本来の動作を開始するのである。

tu_iij1009_02.jpg ユーザーが所持するサービスアダプタは、電源が投入されると同時にIIJのLSサーバへ自動接続し、RSサーバへの情報を受け取る。次にRSサーバに接続したサービスアダプタは、動作に必要な情報を受け取って実際の稼働を開始する。RSサーバの情報次第で、サービスアダプタはさまざまな動作を行う“魔法の箱”となる

 この仕組みの特徴を林氏は次のように話す。

 「SMFv2はゼロ/オートコンフィグを実現するためのものですが、そのためには、最初の一歩で必ずどこかのサーバへ自動接続する仕組みが不可欠でした。この仕組みのおかげで、設定をすべてサーバ側に保管しておけるのです。これまで技術者が機器ごとに施してきた設定は不要になります」

 従来、ネットワークは大規模であればあるほど、多数の人が介在して構築されてきた。SMFv2は機器の設定をすべてサーバ側で集中管理できる。必要最低限の技術者がいれば長期的な運用も可能で、人の介在がないのでミスも少なくなる。コスト面においても、人の介在が少ないため機器の料金やサービス代金などを非常に明確に算出できるようになる。これまで難しかったネットワーク運用コストの可視化にもつながる。

 唯一、ハードウェアの故障を自動的に直すことはできない。ただし、ハードウェア側に設定が保存されているわけではないので、機器を交換して電源を入れさえすれば、LS/RSへ自動接続し、何ら手を加えることなく故障した機器と同じ動作をすることが可能だ。メンテナンスフリーに近い状態が実現されているのである。

SMFの現在と将来の展望

tu_iij1009_04.jpg IIJのSMF対応ルータ最新作となる「SEIL/B1」。Ethernetのほか、ISDNやUSB接続によるモバイル通信にも対応。SEILシリーズが持つ高度なVPN機能やセキュリティ機能も充実。本体もコンパクトで幅広い利用シーンに適応できる製品だ

 SMFv2は段階を踏んで進化してきた。まず、IIJによるルータ「SEILシリーズ」に自動接続と集中管理の仕組みが実装された。現在では、この仕組みをソリューションとして提供する「IIJ SMF sxサービス」も展開。さらに2008年11月には、小・中規模からでも柔軟に利用できる「SEIL/B1」が投入される予定だ。

 IIJ社外からの製品展開も進んでいる。先ごろ幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2008」では、NECやサン電子などのSMFv2対応ルータが展示された。いずれもSMFv2をルータ管理に活用したもので、この技術が業界に広がりつつあることを感じさせるものだ。だが、こうしたルータ製品における活用は、SMFv2が秘めたポテンシャルの一部にすぎない。

tu_iij1009_08.jpgtu_iij1009_07.jpg (左) サン電子によるSMFv2対応モバイルルータ(CEATEC参考出品)。HSDPAといったワイヤレスブロードバンドサービスに対応したモバイルルータの「Rooster-G8.0」をベースに開発されている
(右) NECは2008年7月からSMFv2対応製品を発売している。写真は小型エッジ・ルータの「UNIVERGE IX2005-Z」。100BASE-TXを5ポート備えており、拠点間接続などの利用に適している。小型かつファンレスのため設置場所を選ばず利用できる
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tu_iij1009_05.jpg SMF SDKを用いて開発された管理画面例。SEILシリーズのほか、GDXのメールサーバ「GDX Edge」やNECの「UNIVERGE IXシリーズ」、通信事業者向けルータの「Juniper」、サン電子の「Rooster-G8.0」といったSMF対応製品すべてを同じユーザーインタフェースから管理できるようになっている
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 「SMFv2は、接続先をLSとRSに分けている点も重要なポイントです。まず、LSへ自動接続するためのライブラリを無償提供しており、ハードウェアベンダーは自社の機器に自由に組み込むことが可能です。一方のRSは、SMF SDKを利用することでハードウェアベンダーからソフトウェアベンダー、サービスプロバイダーまで、さまざまな企業が自由に設置できるようになっています。ユーザーが活用できる仕組みを提供することで、さまざまなサービスへの展開を可能にしたのです」(林氏)

 林氏のコメントにもあるとおり、SMFv2はネットワークにおけるテクノロジーであって、それ自体がひとつのサービスとして完結しているわけではないのだ。

 CEATEC JAPAN 2008のIIJブースでは、シンクライアント端末にLSへの自動接続ライブラリを組み込み、デスクトップ配信サーバまでの接続を自動化するデモが実施された。これはIIJのグループ会社であるネットケアが提供するソリューションで、シンクライアント起動から利用までの煩わしい手続きを完全に自動化している。

tu_iij1009_06.jpg CEATECで行われたSMFをシンクライアントに適用したデモ。モバイルPCやASUSTeKのEee PC上で動作しているWindows EmbeddedやLinuxにARMS Libraryが組み込まれており、PCを起動するだけでデスクトップ配信サーバまでの接続を全自動で行える

 昨年のCEATEC JAPAN 2007でも、沖電気工業と協力し、ネットワーク経由でカーテン、音響、テレビ、DVDプレーヤーの制御を行うというコンセプトを示している。DVDが再生されると自動的にカーテンが閉まり、スピーカーの音量調節などを自動的に行うというものだ。

 さらに、将来的にはLS、RSに続く第3のサーバとして「MS(Module Server)」が追加される予定だ。これは、サービスアダプタに追加機能をアドオンするモジュールを提供するためのサーバだ。

 「SMFv2はコンシューマー向け、企業向けといったセグメントに関係なく、シンプルで簡単なインターネット生活を実現する技術です。Module Serverが稼働すれば、Apple StoreでiPhoneアプリを提供するようなビジネスモデルが、RS/MSとサービスアダプタによって自社で運用できるようになります。業界に関係なく利用できるテクノロジーなのです」(林氏)

 SMFv2導入のメリットは、このように業界を横断したソリューションが実現できるところにあるだろう。ネットワーク管理に専任技術者を必要とせず、ITを意識せず高度な機能を提供できるのが、SMFv2のテクノロジの大きな魅力だ。

 SMFを理解するうえで、技術者を職人、テクノロジーを機械に置き換えるとイメージしやすいかもしれない。今家庭にある多くの品物は、高度な技術を持つ職人(技術者)に依存せず、機械を用いて生産することで一定の品質を持ったマスプロを実現している。現在から未来にかけて、ネットワークがより身近で当たり前の存在になるにつれ、さらに技術者(職人)が不足するのは確実だ。そうしたとき、一定の品質を保ったネットワーク環境、ネットワークサービスのマスプロを実現するためのものがSMFv2なのである。職場、家庭に関係なくネットワークが張り巡らされていく次世代に向けて、必要不可欠なテクノロジーといえるのではないだろうか。



提供:株式会社インターネットイニシアティブ
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年11月8日