ペタバイトも視野に:動画共有やSNSなど新時代のWebサービスを支えるスケーラブルストレージ

ユーザーがWebに求めるサービスは、一方的なコンテンツ発信と閲覧でだけではなく、自らが生成した画像や動画を公開し共有するという「Web2.0」に急速にシフトしている。それに伴い、ストレージが管理すべきファイルデータも爆発的な伸びを見せている。新時代に対応できるストレージ製品はどのようなものだろう?


大容量コンテンツを効率的に管理するストレージの必要性

 近年、Webサービス利用形態の変化に伴い、それを支えるITインフラにも新たな要件が求められるようになってきた。

 いわゆる「Web2.0」時代の現在では、ユーザー自身の手で無数のコンテンツが生成され、Web上に公開されるという構図になっている。共有されるコンテンツの多くは、従来からあるテキストデータに加え、高解像度の写真や動画など大容量のファイルである上に、ブログやSNSといったサービスとして共有され、全体としてのデータ量は爆発的な勢いで増え続けている。

 また、ユーザーが生成したコンテンツでなくても、映画やTV番組などの高精細動画コンテンツをオンデマンドに提供するようなサービスや、音楽や地図情報を提供する各種サービスも広く定着しつつあり、こうしたサービスから生まれるコンテンツの拡充によってデータ量は増える一方である。

 また、例えば、多数の監視カメラの映像をデジタル化して長期間に渡って保管しておき、必要に応じて活用するといった場合、カメラの数はもちろんのこと、映像の高精細化によってもデータが増える。医療画像のデジタル化も同様だ。また、製造業では製品を作るための設計図データや、それを基に行った解析やシミュレーションのデータが急増している。さらに変わったところでは、石油などの資源探査を手掛ける企業も、地下構造をさまざまな方法で観測した大量のデータを保有しているという。こうした企業にとっては、大容量のコンテンツをファイルベースでスケーラブルに管理することが急務であり、ストレージに対する、これまでにないニーズが生じてきたといえるだろう。

 ちなみに、IDCによる全世界のストレージ使用量調査によれば、このような「ファイルベースで管理されるデータ」は、基幹システムなどでデータベースに格納される「ブロックベースで管理されるデータ」を、2008年中にも上回ると予想されている。

tu_hp_ittrend1210_01.jpg 2008年中に、ファイルデータがブロックデータを上回る見込み(IDC調べ)

 とはいえ、このような新たなニーズにきちんと対応できるストレージソリューションは、これまであまり存在しなかった。ファイルコンテンツの保存や管理にはファイルサーバを用いるのが一般的だが、単体では拡張できる容量に限度がある。コンテンツが増加し続けるのであれば、いつかは別の装置を追加しなければならないし、いずれは何台にもまたがって保存されることになるだろう。

 多くのファイルサーバは、複数の装置を別のストレージとして管理する以外にない。このような管理方法は、島のように孤立してしまうことから「アイランド型」とも呼ばれるが、こうしたストレージでは、台数が増えるにつれて管理が複雑なものになってしまう。

 これに対し、ストレージ仮想化やRAID構成などの手法により複数台の装置を組み合わせて一元管理する選択もあるが、台数(ノード数)が増えるとパフォーマンスなどが低下する傾向にある。ディスク数を増やして容量を増加することは容易だが、その増えたディスクを管理する仕組みを作ることが難しかったのだ。

「ペタバイト」級の運用実績を持つストレージ

tu_hp_ittrend1210_02.jpg 日本HP ストレージワークスビジネス本部の高橋宏人氏

 「巨大なファイルベースデータをスケーラブルに管理する」という新たなニーズに対応するストレージとしては、複数台の装置を接続して一元管理しつつも、容量やパフォーマンスをスケーラブルに拡張できることが望ましい。そこには、ディスク部分のみならずファイルシステムのレベルまで含めた、ストレージシステム全体に渡る最適化が必要となる。

 この課題に対し、日本ヒューレット・パッカードは「Scalable NAS」というコンセプトに基づいたクラスタファイルシステムを提供している。2007年に買収した米国のストレージソフトウェアベンダー、PolyServeが所有していた技術を応用したもので、現在では「HP StorageWorks Enterprise File Services Clustered Gateway」として提供されている。

 HPのクラスタファイルシステムでは、ストレージ層を仮想化、ファイルシステム層も複数ノードをクラスタ化しているのはもちろん、あらゆるノードがファイルシステム全体にアクセスできるようになっているのが特徴だ。クライアントやストレージに接続するのとは別の、ノード間連携専用のネットワークを持っており、そのネットワークを通じて各ノードがファイル配置に関する情報を共有することで、この仕組みが実現されている。

 日本HP ストレージワークスビジネス本部の高橋宏人氏は「ディスク容量はもちろん、パフォーマンスに関しても、スケーラブルに拡張でき、サイジングの心配はありません。また、ファイルシステムを管理する複数のノードのうち一部がダウンしたときにも、フェイルオーバーが行われます」と話す。

tu_hp_ittrend1210_03.jpg 容量とパフォーマンスをリニアに拡張できる

 HPのクラスタファイルシステムは、拡張性と可用性を同時に実現するアーキテクチャーとして、多くの企業ユーザーに採用されている。例えば、ドワンゴでは、その拡張性に期待し、「ニコニコ動画」のストレージにClustered Gatewayを採用した。また、HP自身も、同社が運営する容量無制限のオンラインフォトサービス、「Snapfish」においてClustered Gatewayを活用している。

 「Snapfishのデータ量は現時点の運用実績で6ペタバイトに膨れ上がり、そのノード数もおよそ100に達しています。さらに今後も容量の増加は進む見通しで、2009年には9ペタバイト、そして2015年には15ペタバイトに達するとみています」(高橋氏)

コスト低減と管理の容易さを追求しユーザーの課題を解決

tu_hp_ittrend1210_04.jpg HP StorageWorks 9100 Extreme Data System

 そして12月10日、Scalable NASのコンセプトに基づく新製品が発表された。ストレージユニットと、ブレードサーバによるノードとを組み合わせて構成した製品で、単体でペタバイト級の容量にも対応する「HP StorageWorks 9100 Extreme Data System (以下ExDS9100)」である。

 その特徴は、手軽に扱えるアプライアンスとして作られていることだ。既存のClustered Gatewayでは別途ストレージ装置が必要であり、容量単価などの要件に応じたシステム構築が容易だった反面、インテグレーションや管理面の負担があったが、ExDS9100であれば導入と運用の負荷を軽減できる。

 「ExDS9100は、それ単体をネットワークに接続すればすぐに使えます。設置やメンテナンスに要する負担の軽減を念頭に置いて開発したのです。容量の拡張なども、非常にシンプルなコマンドを入力するだけです」と高橋氏は話す。

 ExDS9100は「大容量ファイルストレージ」という製品へのニーズが高まることを見越して製品化されたものだという。その拡張性や信頼性に加え、使い勝手を改善し、さらにコストの低減も図られた。高橋氏は、ExDS9100が新たなニーズの掘り起こしにも一役買うと期待する。

 「スケーラブルなファイルサーバ製品へのニーズは多いと考えています。用途は、ニコニコ動画やSnapfishのようなコンシューマー向けのサービスに限りません。例えば、製造業でも3Dモデリングで製品開発を行うのが一般的となり、その関連データは膨大な量になっていますし、ある石油会社ではすでに60ペタバイトものデータを管理しています。こうした分野も含めて、大容量ファイルストレージ製品への引き合いは、かなりの数に上ります」(高橋氏)

 高橋氏によれば、このような潮流は、ここ2、3年の間に急速に生じたという。Web2.0時代の新しいサービスが生み出すコンテンツや、増え続ける企業のデータを効率良く管理する、大容量ファイルストレージ製品が求められている中、ExDS9100のような完全にスケーラブルに拡張できるファイルストレージを提供できるのはHPだけ、と高橋氏は自信を見せた。



提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年1月16日