ストレージとフラッシュドライブ(SSD)の融合が情報インフラストラクチャの効率を高める“Efficient IT”を実現するキーテクノロジー

現在の企業ITには「より効率良く」「より低消費電力で」という要件が求められている。そして、ストレージシステムの世界で高い性能を維持しながら利用効率と電力効率を向上できるアーキテクチャーとして注目を集めるのが「フラッシュドライブ」である。

» 2009年01月26日 10時00分 公開
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情報を中心にITを効率化

 経済が低迷する中でも、企業が保有する情報は増加の一途をたどり、その勢いはとどまることを知らない。企業が保有するデジタル情報は年率約60%増(出典:IDC Whitepaper,"The Diverse and Exploding Digital Universe,"Sponsored by EMC,March 2008)ともいわれており、企業はコスト削減を図りながらも、増加し続ける情報を効率良く管理しなければならない。つまり、企業にとって非常に重要な資源である「情報」そのものにフォーカスを当て、コストおよび運用の両面にわたって効率が良いIT環境、すなわち「Efficient IT」(エフィシエントIT)を構築することが求められているのである。

なぜストレージシステムにフラッシュドライブが適するのか?

 フラッシュドライブ(SSD:Solid State Drive)は最近PCにも多く採用されており、ご存じの読者も多いだろう。ハードディスクドライブ(HDD)と同様な使い方が可能なフラッシュドライブは、駆動部分がなく、フラッシュメモリをベースとしているため、パフォーマンスに優れ消費電力が少ないという特徴を持つ。

 フラッシュドライブの利点をストレージシステムの機能と組み合わせることで、パフォーマンスの向上を図りながらも、消費電力の低減を図ることができる。フラッシュドライブの活用は、情報インフラストラクチャに高いコストパフォーマンス、高い効率性を提供してくれるのである。

フラッシュドライブの利点:パフォーマンスと消費電力

 フラッシュドライブの利点としてまず上げられるのは、圧倒的なパフォーマンスである。 フラッシュドライブは、ミリ秒以下のレスポンスタイムを実現しており、従来の1万5000rpmファイバチャネル・ディスクドライブと比べて最大 30倍(EMC調べ)のIOPS(秒間当たりに処理できるI/O数)を達成している。既存のディスクとは一線を画すハイパフォーマンスだといえる。

図1:フラッシュドライブとHDDの容量当たりの消費電力比較

 フラッシュメモリを使うということから、SDカードのようなコンシューマー向け製品を想像し、書き込み速度や書き込み回数、信頼性の面で不安に思われる方もいるだろうが、例えば、EMCのフラッシュドライブでは、エンタープライズ用途での利用を考え、一般の製品に比べ高いパフォーマンスや信頼性を持つフラッシュメモリを採用している。メモリセルには高速な書き込みが可能なシングルセルを採用し、また長寿命を実現するために、同じセルに何度もデータを書き込まず、書き込みデータを空きセルにまんべんなく割り振る「ウェアレベリング機能」も搭載している。フラッシュドライブにはHDDのように駆動部分がないことから、むしろ信頼性、耐久性に優れており、24時間365日のアクセスが発生する環境でも、5年以上の製品寿命を約束する。MTBF(平均故障間隔)で比較すると、HDDの3倍以上の信頼性を備えることになる。

 ちなみにEMCでは、ストレージシステムに搭載するフラッシュドライブを「エンタープライズフラッシュドライブ(EFD)」と呼んでいる。

 駆動部分がないことは電力消費という点でも有利だ。デバイス単体において、同容量のHDDに比べて電力消費量が32%も低い。優れたパフォーマンスという利点と、デバイス単体の省電力性の利点を、ストレージシステム全体で考えると、大きなアドバンテージがあるといえるだろう。

 従来のHDDベースのストレージシステムでは、高レスポンスが求められるデータベースなどのデータを配置する領域に対し「ショートストローキング」と呼ばれる、複数のHDDで並列処理する手法を取ることが多かった。各ドライブの最も速くアクセスできたトラックにデータを書き込むだけで、ほかは無視し、「上澄み」だけを使用するものだ。

 この手法は、高パフォーマンスを実現するために有効だが、多くの未使用領域を生むというデメリットもある。高速ドライブの大半の領域が未使用であるため、容量効率の点では非効率な使い方であり、当然ながら必要以上の電力を消費してしまう。

 フラッシュドライブの適用は、このショートストローキングを不要にしてくれる。IOPS当たりで比較すると、フラッシュドライブ1台のパフォーマンス(IOPS)は、最大で高速HDDの30倍に相当する。要するに最大30台分の高速HDDのパフォーマンスが1台のフラッシュドライブでまかなわれるのである。

 また、IOPS当たりの消費電力で比較すると、実に最大で98%の消費電力削減が可能となる計算だ。

図2: IOPS当たりの消費電力比較と効率化の例

フラッシュドライブを効果的に活用するには「階層化」が重要

 ここまで述べてきたように、フラッシュドライブはパフォーマンスに優れ、消費電力も少ない。ストレージシステムに搭載するドライブをすべてフラッシュドライブに置き換えられれば理想的だが、HDDに比べるとまだコストが高い。したがって現状では、ストレージシステムの内部でフラッシュドライブと従来型のHDDを混在させ、適材適所で利用することが望ましい。

 これは、ストレージシステムを「階層化」し、最もパフォーマンスが必要なアプリケーション用途に対してフラッシュドライブを利用するという考え方である。従来型のHDDにおいても、ハイパフォーマンスが求められる部分には高速型ファイバチャネル・ディスクドライブを、パフォーマンスは重要ではないアーカイブやバックアップ用途にはSATAベースのディスクドライブを適用することで、用途に応じた使い分けが可能である(図3)。

 EMCでは現在、階層1から階層4くらいまでをHDDをベースに定義しているが、フラッシュドライブはさらに上位層の「階層0(ゼロ)」を実現できるドライブであると位置付けている。

 階層化は単に使い分けるだけでは十分でなく、時系列により価値が変わるデータの配置場所を変更していく必要がある。ここで有効な機能として、「仮想LUN(Logical Unit Number)」がある。仮想LUNとは、ストレージシステム内部でLUNを仮想化し、アプリケーションから透過的にデータを移行させる機能である。

 例を挙げよう。あるアプリケーションのデータ領域Aは、最初は高レスポンスが求められていたので、フラッシュドライブ上で運用していた。その後、データ領域Aは高レスポンスが求められなくなったので、フラッシュドライブからHDDにデータを移行したい。このような場合、仮想LUN機能を使うと、アプリケーション上は何も変更なく、データ領域Aをフラッシュドライブ(階層0)からHDD(階層2など)に移行できるのだ。

 このようにストレージシステムの階層化管理に有効な仮想LUN機能を組み合わせて運用することにより、運用効率と使用効率の両方を向上できる。

 また、ほかの階層に移行せず、常時フラッシュドライブ上で運用しなければならないケースでは、仮想プロビジョニング(シンプロビジョニング)機能を利用することで、利用効率を向上できる。

図3:ストレージの階層化管理

フラッシュドライブの最適な利用環境

 ストレージシステムは、I/O処理を高速化するために大容量のキャッシュメモリを搭載している。EMCの場合は、ミッドレンジストレージで数Gバイトから数十Gバイト、ハイエンドストレージであれば、最大256Gバイトのキャッシュメモリを搭載している。通常の用途であればキャッシュメモリの効果で十分なパフォーマンスが得られる。しかし、すべてのI/O処理が100%キャッシュにヒットすることはない。

 パフォーマンス面でフラッシュドライブが効果を発揮するのは、キャッシュミスが大量に発生する場面や、複雑なトランザクション処理の中でも安定したレスポンスが必要な場面などだ。大規模なデータベース環境では、データベースの数に加えトランザクションの量も多いことから、キャッシュへのヒット率は低くなる傾向にある。この環境にフラッシュドライブを導入することで、キャッシュミスが起こった場合でも、レスポンスタイムが高速なフラッシュドライブから読み出しを行え、タイムロスを最小限に抑えつつ安定した運用が可能となる。

“ホットスポット”の解決に絶大な効果を発揮するフラッシュドライブ

 ホットスポットとは、ホストからのI/Oがストレージのキャッシュメモリにあまりヒットせず、ストレージシステム内の一部の領域に大量のI/Oアクセスが集中して「待ち状態」となることを指す。この状況はデータベース管理者を悩ませる要因となる。

 前述したとおり、フラッシュドライブは最大で約30台分のHDDのIOPSに相当する性能を持っているため、ホットスポットの問題を一挙に解決できる。

 従来データベースのチューニングをする際は、アプリケーションのロジックを工夫したり、ストレージ設計においてショートストローキングを適用しながらデータベーステーブルのレイアウトを考慮したりしていた。

 フラッシュドライブの適用は、データベース設計におけるこのような課題を非常にシンプルに解決してくれる。 フラッシュドライブの利用は、実はアプリケーションの設計、開発担当者にも大きなメリットをもたらしてくれるのである。また、ホットスポットの問題を解決することは、そのまま情報インフラストラクチャ省電力化につながる。

ミッドレンジストレージでもフラッシュドライブを提供

 EMCでは業界に先駆けて、2008年1月からハイエンドストレージであるSymmetrix DMX4でフラッシュドライブを提供している。2009年1月には、ミッドレンジストレージであるCLARiX CX4シリーズでもフラッシュドライブの提供を開始した。従来はハイエンドストレージでしか恩恵を受けられなかったフラッシュドライブの高性能と省電力性のメリットが、ミッドレンジストレージでも利用できるようになったのである。CLARiX CX4は最小構成で300万円台後半から導入可能であるため、フラッシュドライブを利用するコスト面のハードルも下がったといえるだろう。

 現在のEMCでは、「増加し続ける企業情報を最適なコストで効率良く管理できる情報インフラストラクチャを実現するソリューションの提供」を使命だと考えているという。その最適化はシステムや部門ごとに縦割りの環境では無駄が発生する。最適化は企業の「全体最適化」を意識して進めることが重要だ。フラッシュドライブを搭載したストレージシステムは、情報インフラストラクチャの全体最適化を実現するために重要なITアーキテクチャーの1つでもあるのだ。

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フラッシュドライブ(SSD)搭載ストレージでDBのボトルネックを大幅解消

HDDがボトルネックとなるデータベースの遅延は、フラッシュドライブ(SSD)搭載ストレージを導入することで解決できる。フラッシュドライブを活用した効果的なデータベース設計とは、一体どのようなものだろうか?

 IT予算は限られているが、ITサービスレベルの維持・向上は常に命題として求められる。今日の企業ITは、そんな相反する要件をクリアすることが求められている。それは、データベースの設計や運用とて例外ではない。

 従来は、高速HDDを並べてその上澄みだけを利用するショートストローキングの手法によりデータベースのパフォーマンスを向上させてきたが、ディスクの無駄遣いが多く、コストパフォーマンスが悪かった。しかし、HDDの代わりにフラッシュドライブを利用すれば、ショートストローキングを使わずにデータベースの高速化を実現できる。その結果、コストを削減できるだけでなく、データベース設計のシンプル化も可能だ。

 本ホワイトペーパーでは、Oracleデータベースをエンタープライズフラッシュドライブ(EFD)と従来のHDD、それぞれで動作させた場合のパフォーマンス比較のデータを交えながら、データベース設計時の考慮事項について考察する。また、フラッシュドライブを使った効果的なデータベース設計のベストプラクティスについて説明する。

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提供:EMCジャパン株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年2月25日