すべては顧客満足のために:オンラインゲームのバージョン管理をシンクライアントで解決

「Be Dream」は、愛知県を拠点とした老舗のネットカフェ。ユーザーへのサービスを高める取り組みを続け、いまや店舗の稼働率は8割を超えるという。顧客から高い支持を集めるその理由は、設置PCのシンクライアント化にあるようだ――。


ライフスタイルに密着しつつあるネットカフェ

 外出時、ちょっと時間が空いたとき、あなたならどう過ごすだろう? 一昔前なら、喫茶店に入るのがセオリーだった。しかし今では、ビジネスマンにもそうでない人にとっても身近な選択肢として、インターネットカフェ(以下、ネットカフェ)が存在する。

 しかもネットカフェという場所は、喫茶店とは違い、その過ごし方も多様である。訪れたユーザーは、ネットサーフィンはもちろん、備えられたマンガや雑誌を読んだり、テレビを見たりできる。もちろんゲームを楽しむこともある。このようにネットカフェのエンターテインメント性が高まるとともに、「ただ時間を潰すためではなく、楽しむためにネットカフェに行く」というユーザーが増えている現状がある。

 言うまでもなく、ネットカフェにおいてサービスの核となる端末はPCである。ユーザーは当たり前のように、最新のバージョンがインストールされパッチも当てられたOSやアプリケーション、そしてゲームなどを利用する。だがその影には、日々PCをメンテナンスしている店舗側の努力がある。

tu_tw1_0608_1.jpg 株式会社スクランブル ネットワーク事業部 松岡則道マネジャー

 「例えば、各ブースに設置されているPCにインストールされているゲームを常に最新に保つのは大変な努力です。一般的なネットカフェでは、店長はじめスタッフが手作業で更新しています」と話すのは、ネットカフェ「Be Dream」を運営する、株式会社スクランブル ネットワーク事業部の松岡則道マネジャーだ。

 スクランブルは創業30年を超える漫画喫茶のパイオニアといえる企業。今やその業態をネットカフェにも広げ、愛知県名古屋市を中心にフランチャイズ展開を進めている。だが店舗に欠かせないPCの運用と管理に負荷がかかるのでは、順調な拡大は見込めない。「例えばオンラインゲームを目的に来店するユーザーは、ゲームのバージョンが最新であることを重視します。つまり、アップデートなどに手間をかけた分だけ、来店者は増加するのです。しかし手間をかけると人件費がかさむというジレンマもありました」と松岡氏は話す。そこでBe Dreamでは、この課題を「PCのシンクライアント化」という手法で解決したという。

ネットカフェでシンクライアントを使う理由

 松岡氏がシンクライアント化を構想したのは2007年の春。夏に約70台のPC導入を伴う新店舗開設を控えてのことだった。パートナーとして松岡氏が声をかけたのは、店舗で利用するPCやネットワーク機器に関して5年来の取引があった、サードウェーブ法人事業部の佐藤智則氏である。

 「(シンクライアント化をしない)従来型の店舗に対し、機材一式をサイジング、構成、納品するのに必要な期間は約1カ月です。当時手がけたのは、2カ月後にオープンを控えた店舗だったため、実質1カ月でシンクライアント化のソリューションを選択し、決定する必要がありました」と佐藤氏は当時を振り返る。

 選定を開始した佐藤氏が目を付けたのはLanPC 2。導入のポイントとして佐藤氏がまず挙げたのは、そのコストだという。「シンクライアント化をする場合、ホストサーバの設置が必要になります。一般的なシンクライアント製品ではフリーのサーバOSでの動作を保証していないため、Windows Serverを選択する必要がある。しかしそれでは、余計にライセンスコストがかかってしまいます。しかしLanPC 2には、CentOS5での稼働実績があったのです」(佐藤氏)

 佐藤氏はLanPC 2とCentOS5で運用しているユーザー(県外のネットカフェ業者だという)にアポイントを取り、松岡氏とともに導入・運用の実態についてヒアリングを行った。「すでに実績を挙げているユーザーから話を聞くことで、サードウェーブから勧められたシンクライアントソリューションの妥当性について、確信を深めました」と松岡氏は話す。

 佐藤氏はハードウェアのサイジングを進め、LanPC 2の提供ベンダーとの商談を開始。無事に新店舗のオープニングに漕ぎ着けた。松岡氏にとっては交渉窓口を一元化できただけでなく、LanPC 2のライセンス価格も抑えられ、二重のメリットを得られたという。

一般的なシンクライアント端末は使えない?

 通常シンクライアント端末といえば、必要最低限の入力機器のみで構成され、高性能CPUや大容量メモリは搭載されない(サーバ側で処理した結果を表示するだけ)。しかしネットカフェの場合、こういった構成を取れない事情がある。それは、(元々シンクライアント化の目的でもあった)オンラインゲームの存在である。

 オンラインゲームではグラフィック性能が重視され、CPUのパフォーマンスはもちろん、動作させるには高機能なグラフィックスカードが必要である。つまり、一般的なシンクライアント端末ではゲームそのものが動作しないのだ。

 そこでサードウェーブでは、Be Dreamに納入する端末向けに「高性能ハードディスクレスPC」を構成した。これは「ドスパラ」のブランドでパーツからPCを構成し、販売しているサードウェーブならではのサービスといえよう。「当時、一般的なPCベンダーはハードディスクレスでの出荷に対応していませんでした。サードウェーブの対応によって、不要なものにコストをかけずに済みました」と松岡氏は評価する。

tu_tw1_0608_2.jpg 株式会社サードウェーブ 法人事業部 名古屋営業課 佐藤智則氏

 PCの筐体についても工夫がある。通常ネットカフェでは、ブースのデスクの上にデスクトップPCが置かれ、事実上その部分はデッドスペースになっている(ユーザーにとっては邪魔なだけ)。だがBe Dreamでは、デスクを広く使ってもらうため、ユーザーの邪魔にならない位置にPCの収納スペースを設けた。その幅は約15cmである。「広く流通しているスリムタワー筐体の幅は、10cmか20cm。そこでサードウェーブでは、Be Dream側が設けたスペースにちょうど収まるよう、15cmの筐体を探し出し納入しました」と佐藤氏は話す。

 また機材の梱包についても、個々の付属品の梱包材を、出荷段階でサードウェーブが簡易包装にすることで、店舗での開梱・設置作業が格段に楽になったという。

投資の目的は「より高いサービスを目指すため」

 2007年にオープンした店舗を皮切りに、今やBe Dreamでは5店舗がシンクライアント化を果たした。クライアント数としては300台を優に超えている。またシンクライアント化した店舗のうち3店舗目以降は、ファンなどのパーツに静音性を高めたものを採用した結果、元々HDDがなく静音だったのが、さらに静音になり、一般的なネットカフェと比較して大幅な静粛性を実現したという。

 松岡氏は、(メリットとデメリットを説明した上で)新規開店を希望するフランチャイジーのオーナーにはシンクライアント型の店舗を勧めているという。確かにシンクライアント化には、クライアント数が60台強の標準的な店舗でも、1000万円を超える初期コストにさらに数百万のコストがかかる。だがオンラインゲームを更新する作業の負荷削減(サーバ上のマスターデータを更新するだけで、60台以上のクライアントに対する更新が完了する。手間は実質的に、60分の1以下になる計算だ)、それによる人件費の抑制、PCがハードディスクレスであることによる故障率の低下、PCからの発熱低下による空調費の削減など、メリットも非常に多いのだ。

 しかし松岡氏は「単に運用負荷を減らしたいがために、シンクライアント化するわけではない」と話す。その目的はあくまでも、「ユーザーに対するサービスの向上」にあるのだという。

 ユーザーに快適な環境を提供するために、今回取り組みがもたらした成果は計り知れない。常にゲームは最新のバージョンがインストールされ(管理の行き届いていないネットカフェにおいては、ゲームのアイコンをクリックすると、延々とバージョン差分のダウンロードが始まることさえあるという)、店舗内は静かで、デスクも広く使える。結果として、他店と比較した際の顧客満足度が高まり、個人利用客だけでなく、週末には家族連れも訪れるという。そしていまや、店舗の稼働率は8割を超えている。

 「Be Dreamの稼働率は、ネットカフェとしては“あり得ない”と表現できるほど高いものです。サードウェーブとしてはほかのネットカフェ業者とのお付き合いもありますが、彼らから『なぜBe Dreamにはあれほど客が入るのか』と聞かれることさえあります」と佐藤氏は、周囲の反響について話す。


 このところの経済状況によるものか、とかく企業におけるコスト削減が注目されがちだ。だが景気はいつか、回復局面に入るはず。その時は、戦略的な投資を行ってきた企業が勝ち残る。サービスの向上を目的とし、効果的な投資を継続しているスクランブルと、そのパートナーであるサードウェーブの取り組みは、成長を図る企業の道しるべとなるのではないか。



提供:株式会社サードウェーブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年6月28日