そのコンセプトは、Flexible & Smart:大規模化・複雑化するITシステムを徹底的に効率化する「JP1 Version 9」

日立の統合システム運用管理「JP1」が3年ぶりにバージョンアップ。最新版「JP1 Version 9」のコンセプトはFlexible & Smart。ITリソースや運用業務を効率化する柔軟で洗練された機能強化が図られている。


柔軟かつシンプルな運用管理を目指す

 昨年来の景況悪化により、多くの企業は今年度のITに対する投資を削減している。しかし、サーバ統合や運用の自動化など、結果的にコスト削減や効率向上につながるITについては、投資が緩むことはない。そうしたコスト削減を実現するものとして期待を集めているのが、運用管理ソフトウェアである。

 そんな運用管理ソフトウェアの代表的な製品、日立の統合システム運用管理「JP1」が6月にバージョンアップし、JP1 Version 9(以下、JP1 V9)として発売された。2006年6月に発売されたJP1 Version 8(以下、JP1 V8)から3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる新製品は、Flexible & Smartというコンセプトを掲げ、IT投資の全体最適化の支援を目指している。

 Flexibleとは、ITリソースを効率化するために必要な“柔軟さ”を表している。現在の企業システムでは、ITリソースの有効活用を目的としたサーバ仮想化が活発になっているため、利用状況に応じて動的に変化するシステムを、効率よく運用することが求められる。もちろん、そのたびにサービスを止めることは許されないので、繰り返し行われるシステムの変更にはスピーディに対応しなければならない。また、大規模なシステムにもスケーラブルに対応できる柔軟さも必要だ。

 一方のSmartは、システムの運用業務を効率化する“簡単・分かりやすさ”を表している。運用担当者にとっての簡単・分かりやすさとは、システムがどんな形に変わっても、利用シーンに合わせて直感的に操作できること、大量の情報から必要な情報のみを絞り込めること、複雑な運用手順を自動化できることなどだ。

 JP1 V9では、このようなITリソースの最適化、運用業務の効率化を目指し、製品の機能強化が図られたのだ。

システムの管理性を向上させる多くの機能強化点

 JP1 V9では、非常に多くの機能が強化・改善されている。中でも注目されるのが、「統合管理」「アベイラビリティ管理」「ジョブ管理」「ネットワーク管理」という4つの製品分野における機能強化だ。 

 まず、JP1製品群をまとめるもの、ともいえる統合管理製品「JP1/IM(※注1)」には、動的な仮想環境をリアルタイムに監視できる機能が追加された。JP1 V9では、仮想化ソフトウェアから物理サーバと仮想マシンの構成情報を一括で収集でき、仮想環境におけるサーバの構成管理、監視ツリーの画面設定が非常に容易になっている。さらに、収集した構成情報からビジュアルな監視画面を生成することも可能だ。仮想マシンを業務単位やサーバ単位にグループ化して表示できるため、仮想環境でも業務への影響範囲の確認、対策の必要な障害発生サーバを迅速に特定することができる。

※ 注1 JP1/IM:JP1/Integrated Management

tu_jp1_0617_01.jpg 物理・仮想環境の構成を動的に管理

 また、システムの導入・変更作業を効率化するために、従来はエージェントごとに行わなければならなかったイベント監視の設定やサービス稼働状況の確認が、マネージャのGUIから一括して操作できるようになっている。作業効率を大幅に向上できる機能強化ポイントだろう。

 統合管理については、運用業務の効率化を実現する機能も強化されている。中でも操作性が大きく向上したのが、イベント監視に関する機能だ。イベントログの保管件数を従来の約10倍の最大1000万件へと拡張。膨大なイベントログの中から目的のイベントを簡単に絞り込めるよう、スライドバーなどを使って即座に検索・表示することも可能になっている。

 さらに、監視対象のシステムによって異なっていたメッセージのフォーマットやメッセージの重要度を、業務にあわせて統一した形式で表示する機能が追加された。これにより、メッセージの内容を理解しやすくなり、対応の遅れや判断ミス、そして重大なトラブルなどの発生抑止に役立つ。

 アベイラビリティ管理製品「JP1/PFM(※注2)」の機能強化として挙げられるのは、エージェントレス監視が可能になった点。これにより、物理サーバの増設や仮想マシンの追加があっても、監視対象マシンにエージェント・ソフトをインストールすることなくすぐに稼働監視を開始できる。このエージェントレスの監視では、仮想マシンの上で動くOSやデータベースを監視対象とできる。稼働中のシステムに手を加えることなく監視ができるので、現状のシステム状況を把握した効率的なサーバ集約の計画を立てる時や、安定稼働しているシステムに手を加えたくないといった時に、非常に有効な機能と言えるだろう。

 JP1/PFMは操作画面も改良された。監視対象を部署やシステム単位でフォルダに分類して管理したり、サーバの稼働状況をグラフィカルに表示したりできるので、システム全体の稼働状況を直感的に把握することが可能だ。

※注2 JP1/PFM :JP1/Performance Management

JP1/AJS3へフルモデルチェンジしたジョブ管理製品

 数多くの機能強化が図られたJP1 Version 9の中でも、目玉となるのが「JP1/AJS2(※注3)」から「JP1/AJS3(※注4)」へと10年ぶりにフルモデルチェンジしたジョブ管理製品だ。

 JP1/AJS3で大きく変更されたのが、画面構成である。利用目的と役割に応じた機能が配置された「機能メニュー」というペインが新たに追加され、機能を選択すると必要な情報が整理され、1画面に表示される仕組みになっている。操作の流れを直感的に把握しながら、効率よく安全に操作することが考えられたインタフェースだが、既存製品に使い慣れた運用担当者のために、従来と同等の画面に変更することもできる。

※注3 JP1/Automatic Job Management System 2
※注4 JP1/Automatic Job Management System 3

tu_jp1_0617_02.jpg 一新された、AJSの操作画面

 業務全体の進捗度をリアルタイムに把握する機能も追加されている。終了予定の日時を予測できるので、障害や遅延の発生時にいつ終了するか、どの業務に影響があるかもすぐに把握できる。運用担当者が次にどんなアクションをとるべきなのかという的確な判断に大いに役立つ機能だ。

 また、ジョブ定義の入力ミス防止や設定時間と短縮するために、利用目的に応じてデフォルト設定や入力項目を減らすことができる。たとえば、PCジョブを設定する際、JP1/AJS3では入力項目を最小で4項目まで絞り込める。これにより、開発効率が向上するほか、オペレーションミスも最小化される。

 さらに、運用中の業務に対してリリースIDを付与し、業務を停止することなく指定日時に自動的に新旧の運用を切り替えることが可能になった。従来は、手動で切り替える必要があったので、この機能は業務の効率化に大きく貢献すると言えるだろう。

 JP1/AJS3の機能強化は、このように運用業務の効率化を第一に目指したものだが、性能や信頼性の面でも進化している。ジョブスケジューラのアーキテクチャを刷新したことにより、8多重のジョブ実行時においてJP1/AJS2よりも約10倍のジョブ起動性能を実現。ジョブ実行はそれぞれが分離したプロセスで実行されるため、1カ所の障害が他に影響を与えることもなく、信頼性も格段に向上している。

 ネットワーク管理製品「JP1/Cm2/NNMi」では、ネットワーク障害によって発生するイベントを自動的に解析して、障害対応に必要な根本原因を特定して通知する機能が追加された。この機能により、ネットワーク障害の原因追求にかける時間が必要なくなり、ダウンタイムが大幅に短縮できることになる。このほか、運用担当者の視点でネットワークをビジュアルに管理できる画面など、運用業務の効率化する機能強化も図られている。

 JP1 V9は、ここで紹介した「統合管理」「アベイラビリティ管理」「ジョブ管理」「ネットワーク管理」以外にも、非常に多くの新機能が搭載されている。詳細な機能強化点については、JP1のホームページを確認するとよいだろう。

 なお、原則的にJP1 V8からJP1 V9への移行性は確保されるとのことであり、JP1 V8のユーザーならば特別な手間は無くスムーズにJP1 V9へアップグレードできる。また、異なるバージョンが混在する環境では、最古バージョンの機能範囲で接続互換性を保持しているという。



提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年7月16日