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» 2009年09月10日 10時00分 公開

今、医療現場で求められるITの信頼性:検査件数、年間約8万件――画像診断支援システムの信頼性向上を支える仕組みとは?

地域に密着した急性期病院としての役割を担う熊本中央病院では、CT、MRIなどの画像診断に利用する画像診断支援システム(PACS)基盤を刷新した。最も重要視された要件は、システムの信頼性・可用性向上である。年間約8万件もの検査を実施しているだけに、システム停止はそのまま「医療の質の低下」につながるからだ。そこで同院が目指したのは「早くて」「止まらない」システムだった。

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かかりつけ医の支援に注力し、地域医療の発展に貢献

 1951年に開設されて以来、50年余りにわたって、地域医療の進化と発展に貢献し続けてきた熊本中央病院。同院の最大の特徴は、急性期病院としての役割に特化している点にある。地域の開業医や医療機関の医師、いわゆる「かかりつけ医」が、より詳しい検査や入院・手術が必要と判断した場合に、同院に患者を紹介。専門的な検査、治療を施した後、また紹介元の開業医・病院で経過を観察する形を取っているのだ。

 開業医・地域医療機関との病診連携(病院・診療所連携)」「病病連携(病院・病院連携)」を推進することで、最適な医療サービスを効率的に提供。地域医療をさらに充実させていく上で、大きな効果が期待できるという。

 同院は15科の診療科で構成されているが、その中でも国内最先端の医療設備を誇るのが放射線科である。同科では64列マルチスライスCT×2台、1.5TeslaMRI×2台、RI装置、DSA装置×各1台など、充実したモダリティ(検査装置)群を保有。また、医療機器メーカーの研究協力機関として、先端医療機器の開発にも寄与している。

PACSの信頼性向上を図るべくシステム基盤の刷新に着手

国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 放射線科 片平和博 医長 国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 放射線科 片平和博 医長

 こうした放射線科の活動を支えているのが、「PACS」と呼ばれる画像診断支援システムだ。同病院では2004年に、まず放射線科のみでPACSを導入。その後、オーダリングシステムとの連携によるフィルムレス環境も構築し、病院内の電子カルテ端末のどこからでも、システムにアクセスできる環境を実現した。現在では、一般撮影、CT、MRI、RI、DSA、放射線治療等の放射線関連から内視鏡、透視、超音波(内科、外科、検査室)心臓カテーテル検査まで院内で発生するほとんどの画像/レポートを保存・管理している。また、端末数は約200台、ユーザー数は医師、看護師、検査技師など合わせて300人以上に上る。

 PACSの導入に踏み切った経緯について、熊本中央病院 放射線科で医長を務める片平和博医師は「以前のフィルムによる診断と異なり、画像診断では画像データをページングしながら症状を診断します。しかも、画像のスライス厚を薄くするほど診断能力が高まるため、大量の画像データを高速に取り扱えるPACSが欠かせないのです」と説明する。

 もっとも、PACSを運用していく上では、システム的な課題も少なくなかった。その中でも頭を悩ませていたのが、システムとデータの信頼性・可用性だ。医療業務に使用されるシステムである以上、システムダウンは許されない。データについても同様で、確実な保護が求められる。しかしこれまでのシステムでは、ハードウェアの障害によって、業務に影響が及ぶケースもあったという。「基本的に当病院では、検査当日に結果をお知らせします。しかしPACSに障害が発生すると、それもできなくなってしまう。患者さんに迷惑を掛けるような事態を招かないよう、信頼性・可用性のさらなる向上を図りたいと考えていました」と片平医師は話す。

PACSの画像(写真=左)とPACSを使用した画像診断イメージ(写真=右)。大量の画像データを高速に表示できるため、診断業務の効率化や診断能力の向上に役立つ

 また、もう1つ課題となっていたのが、データ容量の急速な増大であった。同院ではより綿密な診断が行えるよう、画像のスライス厚を非常に薄く設定している。CT検査において、一般的にはスライス厚が5mm程度のシステムが多いが、同院では、詳細な3D画像を作成する用途では1mm以下、頭部単純を除くCT全例に診断用の2mm厚1.5mm間隔の画像を保存する運用を行っている。さらにMRIでも装置の進歩により1mm以下の画像も多くなってきた。このため画像枚数が増加し、データ容量もそれに比例して増大していた。

 「しかも、迅速な診断が行えるよう、過去データも含めたすべての画像データをハードディスクに保存しています。このため、急速に増え続ける大容量画像データの蓄積・管理が大きな課題となっていたのです」(片平医師)

ftサーバとiStorage D3で6TB以上もの画像データを管理

 24時間・365日ノンストップで稼働できる信頼性を備え、増え続ける画像データも確実に蓄積・活用できるシステム。この厳しい要件を満たすPACS向けハードウェアとして選ばれたのが、NECの無停止型サーバ「Express5800/ftサーバ」とストレージ「iStorage D3」であった。「ftサーバは、ハードウェアコンポーネントが二重化されているため、万一、障害が発生した際にも、サーバを止めずに業務を継続したまま障害箇所を交換できます。また、増え続けるデータへの対応についても、iStorageの、必要に応じて柔軟に容量を増やせる拡張性の高さは魅力でした。医療関連のシステムにおいて、このことは非常に大きなメリットになります」と片平医師は語る。

 導入決定後、NECソフトウェア九州の協力のもと、各種検証を実施。2008年の中ごろより、従来から稼動していたPACSベンダーのアプリケーションと、NECのftサーバ11台、iStorage2台で構築した、新しい画像診断支援システム(PACS)の運用を開始した。

 ちなみに同院のPACSでは、詳細画像データである「thin sliceデータ」と通常の閲覧に使用する「thick sliceデータ」の2種類の画像データを、医療用画像の標準規格である「DICOM形式」と「12bit JPEG形式」で別々に保存する。つまり1回の診断につき、4種類の画像データを保存しているのだ。DICOM形式1枚あたりの画像容量は512KB、1回の診断で1000〜2000枚の画像を撮影することも多くなったため、データ容量は512MB〜1GBにも上る。12bit JPEG形式では3分の1から5分の1に圧縮されるが、それでも相当な容量であることには変わりない。「CTは年間1万件以上、MRIは年間約8000件の診断を行うので、DICOM形式だけでも年間約6TBのデータが発生します」と片平医師。この大量の画像データの保存と活用を、ftサーバとiStorage D3が支えているのである。

高速かつ信頼性の高いDisk to Diskによるバックアップを実現

熊本中央病院に導入されたハードウェア 熊本中央病院に導入されたハードウェア

 今回のシステムでは、性能・信頼性向上を図るための工夫も盛り込まれている。まず、性能面では、2台のiStorage D3を導入し、CTやMRIなどのモダリティから転送されるデータのトラフィックを分散。サーバ・ストレージ間の接続についても、高速データ転送が可能なファイバチャネルを採用し、データ転送にボトルネックが生じないよう配慮している。片平医師は「レスポンスが非常に速く、大量の画像データを高速にページングするような操作も快適に行えます」と満足感を示す。

 信頼性・可用性の面では、ストレージ筐体内でのレプリケーションを行う「iStorage Dynamic Data Replication(DDR)」の機能を利用して、利用頻度が高く永久Disk保存を行う12bit JPEG画像をDisk to Diskでバックアップしている。同院では、DVDへのバックアップも行っているが、そこからデータを戻すのには相当の手間と時間が掛かる。その点、DDRでデータをレプリケーション(複製)しておけば、万一のディスク障害の場合にも、すぐにデータを復旧できるわけだ。現在、同病院では、現行のDVD装置に代えてテープ装置の導入を検討しているが、これとDDRを組み合わせれば、副ボリュームを利用したオンラインとの並行バックアップなども実現可能だ。

熊本病院のシステム概要。CT、MRIなどのモダリティから転送された画像は、iStorage D3に蓄積されDDRによるバックアップも行われる。データは病院内のどの端末からでも参照できる 熊本病院のシステム概要。CT、MRIなどのモダリティから転送された画像は、iStorage D3に蓄積されDDRによるバックアップも行われる。データは病院内のどの端末からでも参照できる

 ftサーバとiStorage D3を導入したことで、高速性・信頼性、そして拡張性を兼ね備えたシステム基盤が実現できた。「実は10年ほど前にも、今回のようなシステムを構想したことがありました。しかし当時はストレージの価格なども非常に高額で、実現には至らなかった」と振り返る片平医師。それがftサーバとiStorageによって、ついに実現したのだという。

 片平医師は、最後に「画像診断の分野では、テクノロジーの進化が診断能力の向上に直結します。今後は、こうしたデータを地域の開業医や医療機関の医師とオンラインで共有することで、さらなる医療の質向上に貢献していきたい」と抱負を述べた。

ユーザー概要

国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院

・住所 熊本市田井島一丁目5番1号

・病床数 361床

・診療科 15科

・職員数 577人

・事業概要 「質の高い誠実な医療による地域への貢献」を理念として掲げる総合病院。入院を中心とした急性期医療に特化することで、かかりつけ医の支援や地域医療の向上に寄与している。



※本記事は、日本電気より提供された記事を許諾を得て再構成したものです。



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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年9月30日