クラウド化で“リーズナブル”にIT統制を進めたプレジデント社外部コンタクトセンターも包含

オンプレミスな環境で社員にITサービスを提供していたプレジデント社だが、IT統制の必要性と、購読者向けコンタクトセンター設置というニーズから、ソニーのプライベート型クラウドサービスを選択した。「リーズナブルに優れた環境を構築できた」とプレジデント社では評価している。

» 2010年08月02日 10時00分 公開
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 ビジネス誌「PRESIDENT」をはじめとした雑誌・書籍の出版がその事業の中核であるプレジデント社は、営業や販売、そして編集、記者など多様なワークスタイルの従業員を抱えている。コミュニケーションツールへのニーズも部署それぞれであり、総務部に所属し経理や資材業務に就くかたわら、同社ITインフラの管理にも携わる根岸広洋氏の悩みも、深いものがあったようだ。

 だが2009年から2010年にかけて、根岸氏はプレジデント社のITインフラを、所有を前提としたオンプレミスなものから、リソースを利用する“クラウド型”へと変える取り組みを進めたという。

“ITの自社所有”による問題が出ていた

プレジデント社 根岸広洋氏

 現在の職場で働くようになって約5年。前職では情報システムの構築業務を行っていたという根岸氏だが、「わたしが着任した当初の社内システムは、一元管理できるような状態ではありませんでした」と、当時を率直に振り返る。

 プレジデント社の中核事業である雑誌、書籍のコンテンツを生み出すのは、現場の編集者、記者たちだ。彼らはその仕事がら、デスクワークだけに従事するのではなく、むしろ取材などで外出することが多い。いきおい「どこでもメールを確認したい」、「外出先で書いた原稿を編集部に送りたい」といった要望が強く、例えば“勤務先のアカウントに届いたメールを携帯電話で確認する”といった代替策が採られることも多かったという。

 社内の一角には複数台のサーバが設置され、Active Directoryのドメインもなぜか3つに分かれているという、不自然な状態。当時は既に、業務に深くインターネットが浸透していたにもかかわらず、回線は冗長化されていなかった。またメールフィルタリングの仕組みを設けていなかったため、スパムメールの数も、かなりのものだったという。

 とはいえ根岸氏は、専任のIT管理者ではなく、サーバからのアラートやログを全て受け取っていたわけではない。そのためネットワークなどに障害が発生すると、総務部より先に編集部などのユーザー部門が不具合に気付き、「仕事にならないではないか」といったクレームにつながるという状況もあった。

 このような障害の発生時や、サーバOSやアプリケーションを更新する際などは、総務部だけでは手が回らないため、必要に応じシステムインテグレーターに依頼し対応していたが、「当然その分、コストが掛かっていました」と根岸氏は話す。情報システムを自社で所有することによる問題が出ていたと言えよう。

 プレジデント社が、こういった課題の解決に取り組むに当たり、契機となった要素は大きく2つあったという。1つは当時、個人情報保護法やJ-SOXへの対応といった視点で注目が高まっていた“IT統制”であり、そしてもう1つが、同社のビジネス成長を支える“予約購読者向けコンタクトセンター”の設置である。

“サービス”と“統制”の両立を目指す

 雑誌を予約購読してくれる読者は、プレジデント社にとって収益の源泉だ。そのため同社は、予約の受付と管理、顧客サポートを行う拠点として、コンタクトセンターを設置する必要があった。2009年の秋には、コストやサービスレベルなどを検討した上で、コンタクトセンターの運営委託先を出版ネットアンドワークスおよび光和コンピューターに選定したプレジデント社だが、その際、解決すべき課題があった。コンタクトセンターが設置されているのは埼玉県越谷市にある光和コンピューターの事業所だ。そのためプレジデント社とコンタクトセンターを、セキュアなネットワークで結ぶ必要があったのだ。

 手段としては、各拠点をインターネットVPNで接続することが考えられる。だが根岸氏は、この機会にプレジデント社のITインフラが抱えていた課題を一挙に解決する道を検討した。

 稼働中のハードウェアは老朽化しリプレースの時期を迎えている、とはいえ社内の人員だけで基盤構築やシステム管理をしていく余裕はない、だがメールなどの運用改善を図りIT統制を進めなければならない..結果として選ばれたのは、ソニーのプライベートクラウド型サービスである“bit-driveマネージドイントラネット”だった。

 システムの全体像はこうだ。プレジデント社と越谷のコンタクトセンター、そしてコンタクトセンターの委託先である光和コンピューターの各拠点にマネージドイントラネットの専用ルータを設置。拠点間はインターネットVPNで接続されるため、セキュアな通信が確保される。インターネットVPNで構築されたネットワークはマネージドイントラネットの一部として統合的に管理されることになる。従来、社内に設置していたメールサーバやプロキシサーバ、ログ管理サーバなどは、マネージドイントラネットが提供するものに切り替えた。加えてウイルスチェックやスパムチェック、そしてメールアーカイブ(添付ファイルの自動パスワードロック機能含む)なども、マネージドイントラネット上のクラウドサービスとして導入し、社内のIT統制度を高めた。

業務委託先も含め、複数の拠点をインターネットVPNで接続。クラウドサービスを利用することで運用管理の負荷も軽減された

 冗長化されていなかった回線についてもバックアップ回線を用意し、またサーバ、ストレージ、ルータなどの機器は、bit-driveのデータセンター内ですべて冗長化されるため、可用性も大きく向上した。“所有から利用へ”と社内のITインフラを抜本的に組み替えることは、年に1度の法定停電に備える必要がない、という副次的な効果も生むことになった。また、運用管理の手間も大きく軽減したという。

 「管理者用に提供されるアプリケーション“マネージメントツール”を使えば、ネットワークの設定を一括で変更したり、負荷状況を確認したりできます。」と、根岸氏は現状を評価する。

 マネージドイントラネットを通じ、メールの利用ポリシーを一括適用することで、社外からのメール利用を容易に統制できるようになった。とはいえ効率化という観点からは、外出先でのメール確認を完全に禁止するのは得策ではない。

 当初根岸氏は、マネージドイントラネットへの移行に合わせ導入したグループウェア“desknet's”に携帯電話(あるいはスマートフォン)からアクセスする形を検討したが、「それでは必要以上の業務データを閲覧できてしまい、結局セキュリティが担保されないことが分かったため」(根岸氏)、携帯電話向けWebメールサービスを利用することで現状に対処することにしたという。「ユーザーの利便性のためにも、マネージドイントラネット対応サービスとして、スマートフォンにも対応した高機能なWebメールサービスをラインアップしてほしいですね」と根岸氏は期待を込める。

 2009年末に要件を定義した上で、段階的に実装を進め、2010年の3月にはプレジデント社、コンタクトセンターともに、本番環境への移行を終えたという。

クラウドの仕組みで、さらなるITサービス向上を図る

 「コンタクトセンターも含め、セキュアなVPN環境に統一したことで、例えば個人情報を含む機密データでも、拠点間でバックアップできるようになりました」と根岸氏は話す。既に触れたとおり、機器の冗長化やバックアップ回線の敷設も済み、プレジデント社のIT基盤はその完成度を高めたと言えるだろう。

 言うまでもなく、マネージドイントラネットはコストを要するサービスだ。だが根岸氏は、「運用負荷を下げつつ、ITインフラそのもののパフォーマンスと可用性を高められたので、結果的に大変“リーズナブル”だと考えています。そもそもマネージドイントラネットの仕組みがなければ、コンタクトセンターのアウトソースも難しかったでしょう」と評価する。

 現状、社員に支給するPCやソフトウェアなどの資産は、書類をもとに台帳管理しているプレジデント社だが、根岸氏は今後についても「マネージドイントラネットは、クラウド型サービスとして“IT資産管理”もラインアップする予定だと聞いています。そちらも具体的に検討するつもりです」と計画しているという。

株式会社プレジデント社

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株式会社プレジデント社

・所在地 東京都千代田区平河町2-13-12 ブリヂストン平河町ビル

・設立 2001年1月

・事業内容 雑誌・書籍の発行および販売


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提供:ソニービジネスソリューション株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年8月15日