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IBM Storage Reborn 2010 レポート:“真の”ストレージ仮想化が可能にするクラウドの世界

幅広い製品ラインナップと優れた機能性を武器に、ストレージ市場を席巻するIBM。「IBM Storage Reborn 2010」では、ストレージの仮想化やクラウド時代のストレージのあり方など、企業におけるこれからの情報管理基盤戦略の指針となるべき内容が紹介された。


 「情報大爆発時代」――。この言葉が示すように、世の中には無数のデータがあふれており、その量は年々増え続けている。IT調査会社のIDC Japanが2010年8月にプレス発表した調査によると、国内企業におけるストレージ投資の重点項目に関して、「データ量増大への対応」が1位に上っており、企業におけるデータ管理のあり方、それに伴うストレージ戦略に大きな注目が集まっている。

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は11月2日、企業のIT担当者などに向けたセミナーイベント「IBM Storage Reborn 2010」を開催。ストレージ関連の最新動向や製品動向、事例と幅広い内容のセッションを通じて、同社のストレージ事業に対する強い姿勢を示した。

ハイペースで増大するデータを「真の仮想化」で効率的に管理

 まず、「データ爆発を制する新時代のストレージ・ソリューション」というテーマで講演した日本IBM システム製品事業 ストレージ事業部 事業部長の山崎徹氏は、セッションの冒頭で、ヴイエムウェア社長の三木泰雄氏をゲストとして演台に招くとともに、両社の協力関係を改めてアピールした。

日本IBM システム製品事業 ストレージ事業部 事業部長の山崎徹氏 日本IBM システム製品事業 ストレージ事業部 事業部長の山崎徹氏

 登壇した三木氏は、「サーバ仮想化環境を構築する上でストレージの仮想化は実に重要で、それを安価で効率的に実現する(『Storwize V7000』など)IBMのストレージ製品群に期待を寄せています。当社では“IT as a Service”を標榜していろいろなレイヤーのソリューションスタックを提供しているものの、1社だけではすべてを網羅できません。IBMは、ストレージにおけるパートナーとして重要な存在なのです」と強調した。

 三木氏の言葉にあるように、ストレージ関連コストはサーバ関連コストと並んでIT部門にとって大きな負担となっている。しかし、そのコストを削減することは困難であり、多くのユーザーが増え続けるデータに頭を抱えている。

 こうした課題に対し、IBMはストレージ・ソリューションにおいて、(1)真のストレージ仮想化、(2)幅広いポートフォリオ、(3)安全・安心、という3本柱で対応している。

ヴイエムウェア社長の三木泰雄氏 ヴイエムウェア社長の三木泰雄氏

 真の仮想化については、RAID(Redundant Arrays of Independent Disks)を超えた物理分散ミラー配置を統合型ストレージ「IBM XIV Storage System」(XIV)で、他社ディスクを含む既存資産の仮想化・統合は「IBM System Storage SANボリューム・コントローラー(SVC)」で実現している。また、追記型ファイルレイアウトや仮想テープなどの技術を商品化しているほか、最先端ストレージ技術への投資を続けている。こうした技術群が、物理データ容量の削減やストレージ資源の使用率向上などを実現し、爆発的に増大するデータの効率的な管理を可能にするという。

 幅広いポートフォリオに関して、IBMは以前からFC/iSCSI、NAS(Network Attached Storage)、テープといった数多くのハードウェア製品や、多種多様な機能を持つソフトウェア製品を取りそろえている。加えて、特定目的に最適化された統合ソリューションや、スポットあるいは継続的に利用できるストレージ関連サービスも用意している。

 安全・安心も、ユーザーにとって重要だ。特に過去のデータは代替がきかないだけに、既存のデータや、システムが持つデータを将来に渡って活用していくための手段が常に求められる。

「既存環境からのデータ移行に関しては、XIVやSVCなどを用意しています。マルチベンダー環境の統合・仮想化を可能にする相互接続については、既に150種類を超えるストレージをサポートしていますが、それでも未検証の接続先が出てくることがあり、そのための投資は今後も継続していきます」(山崎氏)

プライベートクラウドを実現したレコチョクの取り組み

 本セミナーでは、IBMのストレージ製品を活用してビジネス改革に取り組む先進事例も紹介された。ユーザー企業として登壇したのは、レコチョクでシステム部長 兼 サービス推進部 担当部長を務める半田基実氏だ。

レコチョク システム部長 兼 サービス推進部 担当部長の半田基実氏 レコチョク システム部長 兼 サービス推進部 担当部長の半田基実氏

 同社は2001年に設立以来、携帯電話のキャリア公式サイトでの音楽配信を中心にエンタテインメント分野で多彩なサービスを手掛け、「日本の20代後半女性の70%以上が利用する、日本で一番のモバイルコンテンツ企業」(半田氏)の地位を築き上げている。その事業を支えているのが、XIVであり、自社内のプライベートクラウド基盤として活用しているという。

 同社がXIVを導入するきっかけとなったのが、2009年12月にスタートした無料会員サービス「クラブレコチョク」である。このサービスは、音楽などの購入に応じた「レコチョクポイント」の付与やメールマガジンの発行、メンバー限定のコンテンツ配信など、ユーザーがレコチョクサイトをより便利に利用できるために企画されたものだ。

 サービス開発にあたり、ユーザーの志向の変化が急速なモバイルコンテンツ市場の特性もあり、新サービスを迅速に立ち上げる必要があったのと、大多数ユーザーのアクセスにも耐え得るシステムが求められた。「開発の早さ」「導入の早さ」「処理の早さ」「システムとしての早さ」という条件でシステム選定を行った結果、XIVを採用した。

 「XIVは性能目標値以上のパフォーマンスがあり、結果的に導入スケジュールの短縮につながりました」と半田氏は振り返る。具体的には、1000万規模ユーザーに対応できる大規模システムを、2009年9月から12月までの3カ月という短期間で開発し、サービスのリリースに踏み切ったのである。

 実際の運用段階に入っても、XIVはレコチョクの予想を上回るパフォーマンスを発揮した。「クラブレコチョク」を支えるシステムの一部を形成しているASPで取り入れている外部サービスの処理が遅れていても、XIVの処理スピードでその遅延をカバーしてしまうほどだという。

「当社が仕様変更などを直接実施できないASP上での機能処理において、データ増に伴う処理遅延が発生し、その結果、DBのキャッシュヒット率が平均60%という状況に陥ったわけですが、通常ならシステム停止状態になるにもかかわらず、XIVではトランザクション処理にまったく影響が出ませんでした」(半田氏)

 こうした成果により、XIVを他システムにも活用することになった。XIVを今後の新サービスの共通基盤とし、仮想サーバ技術なども組み合わせることで、新サービスごとにハードウェアを用意しなくてもサービスを立ち上げられるようにしたのだ。いわゆるプライベートクラウド化である。

「これにより、サーバ準備に要する期間が2カ月から10日程度にまで短縮でき、ケースにもよりますが、新サービスの立ち上げも1カ月程度でできるようになりました。運用コストも基盤を共通化することで大きな削減につながりました」(半田氏)

キーワードは「プール化」「シンプロビジョニング」

 既に述べたように、IBMではディスク装置、テープ装置から仮想化製品と、幅広いストレージ製品のラインナップやシリーズを提供している。最後に行われたセッションでは、日本IBM ストレージ・テクニカル・セールス ソリューション担当部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの佐野正和氏が、膨大なストレージ関連製品の全貌を熱弁した。

日本IBM ストレージ・テクニカル・セールス ソリューション担当部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの佐野正和氏 日本IBM ストレージ・テクニカル・セールス ソリューション担当部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの佐野正和氏

 IBMのストレージ製品の中核と言えるのがXIVである。XIVはティアレス型ストレージとして、すべてのデータを全体のデータモジュール(ディスクとコントローラの組み合わせ)に分散、自動的に平準化する機能を備えている。かつストレージ全体を単一のプールとして管理(プール化)し、シンプロビジョニング機能によって各サーバに必要な分だけ容量を割り振る。シンプロビジョニングのポイントは、サーバに無限の容量があるように見せかけつつ、ディスク上に割り当てるのは実際に使っている容量だけだという点である。

 プール化とシンプロビジョニングは、ストレージ利用効率の面で大きな効果を発揮する。例えば、あるユーザーでは平均で48.3%のストレージ利用率だったが、一部のシステムで90%を超える利用率となっていたため、ストレージの増設を検討していた。しかし、プール化とシンプロビジョニングによって、空き容量の有効活用を可能にし、ストレージ増設のタイミングを大きく遅らせることが可能となった。さらに、投資を抑制するだけでなく、ディスクを増設した際にも自動的にデータの配置が平準化されるため、システムの管理負担も軽減されるというわけだ。

 XIVはSATAディスクを用いていながらも、高い可用性とパフォーマンスを実現できることも特徴だ。SATAディスクは容量単価やエネルギー効率は良いが、速度や耐久性はそれほど高くないため、これまでエンタープライズクラスのストレージにはあまり用いられてこなかった。しかしXIVは、多数のディスクに冗長性を持たせてデータを分散配置することで、ディスクの故障に強く、高いパフォーマンスを実現できる設計となっているのだ。「従来のデメリットをシステムのデザインで解決したため、SATAストレージでは困難とされてきた24時間365日運用に対応することができました」と佐野氏は説明する。

柔軟性の高い階層型ストレージ

 他方で、階層(ティア)型ストレージも存在する。その代表格がSVCだ。SVCは外部に別のストレージを接続し、他社製品を含む異機種混在ストレージを実現するストレージ仮想化装置。SVCがサポートするサーバやストレージは150種類以上で、各社の主要製品を網羅している。

 外部ストレージを含めて仮想化すれば、ストレージ間のデータ移行や異機種でのストレージ増設、階層型ストレージ管理が実現可能である。特性が異なるストレージをアプリケーション要件に応じて柔軟に提供できるからだ。

「SVCを通じて仮想化されているので、パフォーマンス要件が厳しくなったら高速ディスクにデータを移行して対応したり、一方で処理が遅くても構わないデータを低価格で大容量のディスクに移行するなど、効率的にストレージを活用できるようになります」(佐野氏)

良いとこ取りの「IBM Storwize V7000」

 そして、ミッドレンジながらXIVとSVCの両方の機能を備えたストレージ装置として新たに発表されたのが「Storwize V7000」(V7000)だ。最小構成は2Uラックマウントサイズと非常にコンパクトながらも、拡張性が高く最大9ユニットを増設できるという、ミッドレンジならではの柔軟性を有している。

 V7000には、XIVのプール化およびシンプロビジョニング機能と、SVCのストレージ仮想化機能だけでなく、エンタープライズストレージ「IBM System Storage DS8700」で実現した「Easy Tier機能」も盛り込んでいる。

 Easy Tier機能は、自動ILM(Information Lifecycle Management)機能とも呼ばれ、階層化されたストレージプールの中で自動的にデータを再配置していく機能だ。ストレージがアクセス状況を把握し、利用頻度の高いデータは高速ディスクに、低いものは低速ディスクに最小16メガバイトの細かな単位で移動する。

 しかも、V7000はSSD(Solid State Disk)から2.5インチHDD、3.5インチHDDまで多彩なディスクを搭載でき、さらに内部のキャッシュメモリや外部ストレージまで含めた複雑な階層のストレージを扱えるだけに、そのパフォーマンスを自動的に引き出せるEasy Tier機能は大きなポイントといえる。

 IBMでは、ほかにもNASやテープストレージ装置、ソフトウェア、サービスまで幅広いラインアップを取りそろえている。佐野氏は、こうしたストレージ製品群が今後、ユーザーがクラウドコンピューティングに取り組む際に役立つと語る。

「クラウドコンピューティングでは、すぐに新しいことにチャレンジできるし、止めたくなったらすぐに引き返せるのが特徴。資源再配分の最適化やデータ共用のためにもデータは外部に持った方が良く、ユーザーのニーズに合わせて豊富なストレージ・ソリューションを用意するのがIBMの強みと言えるでしょう」(佐野氏)

 企業規模や業種を問わず、データ管理や情報活用に対する顧客のニーズを最大限にくみ取ったストレージ製品、サービスを展開するIBM。本イベントを通して、データ大爆発時代に立ち向かう企業を力強く支援するという、同社の真摯な姿勢を垣間見ることができた。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年12月31日

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