SSDを2次キャッシュとして活用:“コスト低減”かつ“データ処理の高速化”を実証したCTCのストレージソリューション

伊藤忠テクノソリューションズは、データベースの性能向上を目的に、SSDをキャッシュとして利用できるEMCのユニファイド・ストレージを組み合わせたパフォーマンス検証を実施。その成果を発表するとともに、データ管理にまつわる顧客課題の解決策を提示していく。


SSDの採用でデータベースのボトルネックを解消する

 データベースの性能を阻害するさまざまなボトルネックは、常にデータベース管理者を悩ませている。その原因は、ハードウェアにおけるCPU性能やメモリ容量の不足、ネットワークにおけるアクセス負荷の集中や帯域不足、さらにはソフトウェアインフラやアプリケーションなどの場合もあり、ボトルネックはいくつも考えられる。しかし、データベースの高速化を阻害する最大の原因は、ハードディスクの読み書き動作である「ディスクI/O」にあるといわれている。

ctc_ph_01.jpg 伊藤忠テクノソリューションズ ミドルウェア技術部 DB技術課 課長 小林範昭氏

 ディスクI/Oを高速化するために、従来はディスクの数を横並びで増やしていき、データをストライピングするという方法を採用することが多かった。この方法は確実にディスクI/Oを高速化できるという利点がある反面、使用されていないディスク領域が増加するという課題が生まれてくる。消費電力、設置面積などのコスト削減や無駄の排除という観点から、容易には採用しにくい方法となりつつある。

 そこで考えられるのが、従来のハードディスクよりも高速なストレージデバイスにデータベースを格納する方法だ。そのソリューションとして注目されているのが、大容量化によって企業システムのストレージへ普及しつつあるSSD(Solid State Drive)である。SSDを採用すれば、ハードディスクでデータをストライピングするよりも圧倒的に少ないドライブだけで同等以上のパフォーマンスを得ることができる。

性能向上とコスト低減を両立するFAST Cache

ctc_ph_02.jpg 伊藤忠テクノソリューションズ ミドルウェア技術部 DB技術課 渡邉千里氏

 国内有数のシステムインテグレーターである伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、こうしたディスクI/Oに関するボトルネック解消を目指し、SSDの有効性に関する独自の検証実験を行った。その結果、ディスクI/Oに高負荷のかかるオンライントランザクション処理(OLTP)を実行した場合、ファイバチャネル(FC)のハードディスクに比べ、SSDは7〜15倍も高速に処理を実行できたという。

 また、データの読み書き時に先頭のデータから順番にアクセスする「シーケンシャルアクセス」に比べて、散らばった記録データを直接アクセスする「ランダムアクセス」が得意なSSDの特徴を引き出すために、パラレルクエリによる処理を組み合わせることで処理の待ち時間が30%未満になるという検証結果も得られた。

 このように、データベースのボトルネックを排除する解決策として、SSDは非常に有効であることが明らかになった。ところが、SSDを導入するには大きな壁がある。ハードディスクよりも容量単価が10倍以上も高いというコストの問題である。この課題を解決するために、データベースの一部だけをSSDに置くという方法も考えられるが、アクセス頻度の高いデータを選定したり、使用率に合わせてSSDとハードディスクの間の移動を繰り返したりすると、データベース管理の難易度は非常に高くなる。

ctc_ph_03.jpg SSDのパラレルクエリへの効果

 そこでCTCが着目したのが、ストレージ大手・EMCが提供する「FAST Cache」という技術である。これは、DRAMなどのメモリデバイスに比べると安価なストレージデバイス用のSSDを2次キャッシュとして使用することで、データベースの高速化とコストの低減を両立させようという技術だ。高速なレスポンスが必要なデータを2次キャッシュであるSSD上に自動的に配置し、アクセスが下がったデータは通常のハードディスクに戻すという方法により、ボトルネックだったディスクI/Oのアクセス数を減らせる。

 さらには、データをストライピングするための数多くのディスクドライブを減らすことで、購入、消費電力、設置というストレージシステムへの投資を削減できるようになった。

 CTCでは、データベースの高速化を実現するための手段として、FAST Cacheがどれだけの効果を発揮するのか検証することにした。

ctc_ph_04.jpg 購入コスト、消費電力、設置面積において高い効率化を実現

FAST Cacheを採用したEMCの最新ストレージ「VNX」の威力

 CTCがFAST Cacheの検証用プラットフォームとして利用したのは、EMCのユニファイド・ストレージ「EMC CLARiX」である。EMCでは、EMC CLARiXと「EMC Celerra」の2つの製品ラインナップを1つに統合したVNXシリーズを2011年2月に発表した。

ctc_ph_05.jpg EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネジャー 中野逸子氏

 VNXファミリには多くの特徴がある。まず、SSDを生かすための最新ハードウェアが採用されている点だ。インテルの5600番台のマルチコアCPUを採用し、SAS 6Gbpsのバックエンド、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)など、ストレージの処理能力を多方面から強化した。ハードディスク自体の性能はそれほど上がっていないため、大容量のデータ処理が求められるクラウド時代のストレージでは、半導体を活用したSSDを積極的に活用すべきであるとEMCは考えている。

 SSDは、ハードディスクに比べるとコストが高いものの、アクセス頻度が高いデータ処理のみに効率的に利用することによって、コストを抑えつつ性能を高められる。それを実現するための機能が、EMCユニファイド・ストレージのVNXファミリに搭載している、FAST Cacheと「FAST VP」なのである。

 ディスクの読み書きを高速化するためにストレージシステムは、DRAMをキャッシュとして搭載している。FAST Cacheは、DRAMに比べると安価なSSDを2次的なキャッシュとして活用することで、コストを抑えながら性能を向上できる。また、FAST Cacheにより、I/O性能に合わせて容易にSSDの機能を使い分けたり、増設したりできるのだ。なお、FAST Cacheは最大2テラバイトまで拡張できる(VNXファミリの機種によって異なる)ほか、ライトに対応している点も特長といえよう。

ctc_ph_06.jpg EMCジャパン パートナー事業本部 CTC事業部 アカウント・マネジャー 藤山智浩氏

 また、SSDのパフォーマンスを最適化するために、VNXファミリにはFAST VPという機能も搭載されている。これは、アクセスの多いデータをストレージが自動的に判別してそれをSSDに置いたり、アクセスのほとんどないデータを容量単価が安いニアラインのSASハードディスクに振り分けたりするものだ。変化するアクセスパターンに応じた性能の最適化は、従来は管理者に大きな負担をかけていた作業だったが、FAST VPによってストレージが自動的にデータを適材適所に再配置し、常にパフォーマンスを最適化するようになった。これらの機能により、ミッドレンジクラスのストレージでも、コストを抑えながら性能を最適化できるというわけだ。

 VNXファミリには仮想化向けに最適化された各種機能も搭載されている。サーバ仮想化と密に連携してストレージと仮想リソースを同時かつシームレスに管理する機能や、SANプラットフォームやNASプラットフォームを一元的に管理できるツール「Unisphere」の提供など、ミッドレンジストレージに求められる先進的な機能を備えている。

OLTPが5〜8倍高速化するという検証結果が出る

 CTCでは、FAST Cacheの効果を測定するために、オンラインショップを想定したOLTPのWebアプリケーションを用意。ストレージのバッファキャッシュサイズを超えるデータ(約200GB)により、パフォーマンスの検証実験を行った。

 データベースのキャッシュヒット率と1秒当たりのトランザクションを調べた結果が下図である。データベースのキャッシュヒット率が100%の場合、FCハードディスクでもSSDでも、処理できる量は変わらない。しかし、データベースのキャッシュヒット率が低下していくに従って、ストレージデバイスによる差が如実に表れている。SSD上に配置したデータベースの場合、データベースのキャッシュヒット率が95%になると、ハードディスク上のデータベースに比べて約7倍、同80%では約15倍も高速になる。

ctc_ph_07.jpg 「FAST Cache」のパフォーマンス検証結果

 FAST Cacheを利用した場合はどうか。データベースのキャッシュヒット率が95%のときはハードディスクに比べて約5倍、同80%では約8倍も高速化するという結果が出た。予想していた以上に大きな効果があったとCTCの担当者は述べる。

 この検証結果に基づき、CTCではデータベースの高速化が望まれるさまざまな業種業態向けに、EMCのVNXシリーズとFAST Cacheを採用したソリューションを提供していく予定だ。オンライントランザクション処理の性能が求められるインターネットでビジネスを展開するサービスプロバイダーなどの業種をはじめ、そのほかの業種でもオンライントランザクション処理とパラレル化が有効となる基幹業務システムのバッチ処理が共存しているシステムなど、FAST Cacheの効果が発揮できるシステムの領域は広範囲に及ぶ。

 さらに、CTCが運営するテクニカルソリューションセンターの施設を利用して、データベースのパフォーマンスに課題を抱える企業向けの検証実験を受け付けている。同センター内にあるPerformance Labは、各企業の担当者が自らFAST Cacheによるデータベース高速化ソリューションを活用して検証実験を行い、効果を検討できる場所となっている。

 今後さらに企業内データが増え続けていくのは疑いの余地がない。そうした中、効率的かつ効果的にデータ管理できるかどうかが、そのまま企業競争力の差として表れてくるだろう。ビジネスの遅延を許さず、“勝ち組”を目指す企業にとって、CTCの新たなソリューションは心強い助けとなるはずだ。

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提供:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年5月24日

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