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IBMのデータ管理ソリューションの魅力とは:複数拠点に分散したマスター・データを統合し利益を創出せよ

企業では無数に存在するシステムで情報が個別に管理されており、そのことが大きな課題となっている。これを解決するためのアプローチが、マスター・データ管理(MDM)だ。最新動向などを日本IBMのソリューション担当者に聞いた。


データの分散管理が招く難題

 企業では長年にわたって各種のシステムが整備され、情報が管理されてきた。その一方で、システムは業務ごとに特化したものであるが故に、情報管理における1つの難題も指摘されてきた。

 このことを「顧客管理」の視点から見てみよう。企業内には顧客に関連したデータを管理するシステムが存在する。契約情報や請求情報、コールセンターでの顧客との対応履歴、物流センターから顧客への商品発送履歴などを管理するシステムなど、その種類はさまざまだ。

 このように分断管理された情報を「顧客」の切り口から統合して扱えれば、顧客管理の質の大幅な向上が期待できるため、顧客といった特定の視点で関連情報を含めて把握するためのマスター・データ管理(MDM)に大企業を筆頭に多くの企業が取り組んできた。しかし、そのアプローチ方法はERP(統合業務パッケージ)にアドオン開発したり、営業支援に関わる顧客情報という視点でCRM(顧客情報管理)の拡張を試みたり、顧客・マーケティング分析という視点でDWH(データウェアハウス)に顧客データベースを構築するなど顧客情報に関連するシステムを拡張して対応するものだった。

 残念ながら実情ではその多くは期待されたほどの成果を挙げていない。その理由の1つにデータの構造上の問題がある。ERPやCRMなど各業務システムの目的はそれぞれ異なる。そのため、データとしての顧客のとらえ方や表現体系がバラバラで、かつ運用の過程でデータに変更が継続的に加えられるために、マスター・データの統合は技術的に一筋縄ではいかなかった。また、DWHにおいては、たとえデータ統合のハードルをクリアしたとしても、格納されたデータは加工された過去のものであり、現状を踏まえた最適な意思決定までは困難であった。

日本IBM ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部の徳澤丙午氏 日本IBM ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部の徳澤丙午氏

 一方で、MDMは社内のあらゆるシステムが対象となる。ただし、営業系であれば営業部門、請求系ならば経理部門といった具合に、各システムの主管部門がそれぞれ異なる。システム横断型のMDMプロジェクトを成功させるためには、各部門の役割や責任の範囲、プロジェクトの進め方、稼働後の運用規定の明確化などを欠かすことができないが、そうしたプロセス変革のための手法について、明確な方法論は今もって存在しないのが実情だ。

 日本IBMのソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部でMDMソリューションを担当する徳澤丙午氏は、「MDMは業務アプリケーションから独立した、中立的な存在でなくてはならない。それゆえに技術とプロジェクトの推進体制という2つの問題への適切な“解”を見いだせなければ、プロジェクトが頓挫する可能性は極めて高い」とMDMプロジェクトの難しさを説明する。

他拠点のデータも含めていかに統合管理するか

 IBMはこれまでグローバルで600社以上のMDMプロジェクトを手掛けるなど、同分野で数多くの経験とノウハウを蓄積。「InfoSphere Master Data Management Server」や「Initiate Master Data Service」など、MDM実現に必要とされる多様な製品と、ノウハウに裏打ちされたコンサルティングの提供を通じて企業のMDM実現を支援してきた。

 徳澤氏によると、MDMの導入企業は金融機関などを中心に国内でも徐々に増えており、新たな利益の創出にまでこぎつけた企業もあるという。事実、顧客とのあらゆる取引を洗い出し、企業の観点から優良顧客を新たな尺度で特定できれば、そのことを踏まえた施策を講じることも可能となる。

 では、MDMはどういった手法によって実現されるのか。日本IBMが提唱するアプローチは「物理MDM」と「仮想MDM」に大別される。前者はあらゆるマスター・データをMDM側で一元管理する方法、後者はこれまで通り各システムでマスター・データを管理したまま、データへのリンク情報をMDM側が提供する方法である。たとえMDM側でデータを管理しなくとも、後者の手法であれば前者と同様、リンクを使い横串検索した結果をユーザーに提供することができる。

 もちろん、両者はあくまで方法論であり、そこに優劣はない。徳澤氏も、「企業のMDMに対する目的や、既存システムとの兼ね合いなどから、どちらを選択すべきかが決まる。どちらを選んだのかはあくまでも結果論にすぎない」と断言する。

 ただし、企業活動のグローバル化を背景に、データの物理的な統合がさらに困難になりつつあるのは事実である。本社や関連会社に加え、地理的に離れた海外拠点の多数のマスター・データも統合する作業が必要で、さらに法制面の要請によって、マスター・データの中には社外への持ち出しが禁じられているものも少なくないからだ。だが、仮想MDMであれば理論的にデータの移動が発生せず、物理MDMよりもマスター・データ統合を容易に実施できる。ひいては、作業に必要とされる時間とコストの大幅な削減も見込まれるというわけだ。

 このことを踏まえ、日本IBMが今年5月から提供しているマスター・データ統合製品が「IBM Initiate Master Data Service(Initiate MDS)」である。その特徴は、仮想MDMによるマスター・データ統合と、継続的な見直しによりマスター・データの質を高く保持する機能を実装している点にある。

IBM Initiate Master Data Serviceの機能概要 IBM Initiate Master Data Serviceの機能概要

データモデルを活用し迅速にMDMを実現

 そもそもInitiate MDSは、医療業界向けのマスター・データ統合を目的としたものだ。医療業界では医療費の抑制と医療の質向上のために、医療用画像管理システムや電子カルテなどの各種システムを連携させ、過去の検査結果や投薬歴といった情報を一元的に把握できる仕組みの整備が10年以上も前から求められている。米国では医療情報連携の実現を目的にしたIHE(Integrating the Healthcare Enterprise)が設立されたほどだ。Initiate MDSはこのIHE テクニカルフレームワークに準拠したものであり、同製品を利用することでカルテや検査歴など機密性が極めて高く、いくつもの病院で受診したために、そこで分散管理されることになった情報でも仮想MDMのアプローチで統合できる。すでに同製品は世界中で2400以上の医療機関への導入実績を誇っている。

「Initiate MDSでは患者マスター・データを設計するためのデータモデルも併せて提供される。そのため、統一された視点から患者の記録を把握できる環境を極めて短期間に整備できる」(徳澤氏)

 ここで特筆されるのは、マスター・データ構築作業においてSOA(サービス指向アーキテクチャ)やJava、.NETなどにより外部からデータを取り込み、住所や電話番号といった“鍵”となる情報を基にプロファイルやクレンジングを実施したうえで、患者間の家族関係なども自動的に分析し、その情報をマスター・データに登録する点である。

「既存のMDM製品のほとんどは、関係性を分析するまでの機能は備えていない。しかし、Initiate MDSであれば、“家族”や“会社”というグループからもマスター・データ上の情報を管理でき、より高度な意思決定につなげられる」(徳澤氏)

 もちろん、マスター・データを継続的に利用するにあたって、自動化できない領域も存在する。結婚に伴う名前や住所の変更などがその代表的な例だ。それらに対しては「データ・スチュワード」と呼ばれるマスター・データ管理者がマスター・データを人手で修正することで対応する。または、ソースとなるシステムの利用者が、診察ごとに患者データを確認し、誤りが見つかった際にはデータソースを修正する。これを継続的に繰り返すことで、データ品質を向上させていく。

 事実、カナダで導入されたケースでは、当初、重複登録されたデータが9.7%も存在していたが、運用の過程でデータを修正することで2年後にその割合は0.4%にまで大きく減少している。

運用を通じてデータ品質を改善する

 また、Initiate MDSは医療業界だけに強みを持つわけではない。同製品は個人や法人のマスター・データモデルも用意しており、それらを利用することで企業でも大いに活用を見込むことができる。すでにある自動車メーカーはInitiate MDSを活用し、ディーラーが抱える顧客を管理している。プラットフォームの整備も、仮想MDM型のアプローチを採用しているため、物理MDM型と比べて短期間で完了する。物理MDM型が稼働を開始するまでに要する期間はおよそ12〜14カ月。対して、Initiate MDSであればわずか6〜8カ月しかかからない。

「MDMプロジェクトにおける課題の1つに、各データを調査しクレンジングする、いわゆる名寄せの作業がある。この作業は欠くことができないが、念を入れすぎるあまり時間がかかりすぎてしまう。Initiate MDSであれば、ある程度の段階で作業を完了し、運用フェーズでデータ品質を改善できる」(徳澤氏)

 あらゆるデータを集めてETLツールで加工することで、確かに人手でもデータの名寄せを行うことはできるだろう。だが、そのためにはアクセス制御やパフォーマンス管理、セキュリティログなどの仕組みも併せて整備しなければならない。その手間を考慮すれば、Initiate MDSのようなデータを容易に管理できるパッケージ製品の必要性が改めて理解できよう。さらに、指定したジョブを実行することで、データのマッチングや重複候補の洗い出し作業などを行う機能が同社の他製品でも実装され始めるなど、日本IBMのMDM製品は着実に進化を続けている。

 徳澤氏はMDMプロジェクトを成功させる条件を次のように述べる。

「MDMプロジェクトは目的が明確でなければ成功させることは難しい。MDMは会社の仕組みが変わるほどのインパクトを持つものであり、目標が明らかでなければモチベーションが持続しない。だが、導入できた暁には多大な恩恵を必ず受けることができる」

 そのメリットをいち早く享受する上で、Initiate MDSは有力な“解”と言えそうだ。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日


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