Special
» 2012年02月10日 10時00分 UPDATE

端末開発から参画:携帯型コミュニケーション端末で店舗運営ノウハウをグローバル展開――ユニクロ

「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングでは、店舗スタッフ用携帯端末として、カシオの「スマートコミュニケーター IT-300」の導入を進めている。店頭での接客サービスや業務効率の向上などといった効果だけでなく、日本のサービス品質を海外に展開する際の基盤としても期待されているという。

[PR/ITmedia]
PR
logo.jpg ユニクロ 東京ミッドタウン店

 日本発のアパレル小売店としてグローバルな展開を進めている「ユニクロ」では、カシオの「スマートコミュニケーター IT-300」が、店舗スタッフが常時携帯する端末として採用されている。そのきっかけとなったのは、同社が2009年に打ち出した「全員経営」というビジョンだという。

ユーザーの声を取り入れて端末を開発

 全員経営とは、「全員が顧客にとっての付加価値とは何かを徹底的に考え、即実行できる集団であること」と定義されている。言いかえれば、顧客と直接触れる従業員一人ひとりが、経営的な視点も持ちつつ活動をする、ということになるだろう。それを目指す上では、情報の活用も重要な要素である。ユニクロでは、これまでもWindowsCE端末を一部の店員に持たせ、在庫などの情報確認に使ってきたという。

okada.jpg ファーストリテイリング 業務情報システム部 部長 岡田章二氏

 しかし、その台数は店舗あたり2台ほどで、主にレジと試着室周辺で使うにとどまっていた。ほかの端末としてはバックヤードのPCしかなく、全てのスタッフが必要なときにすぐ情報にアクセスできる環境ではなかった。「全員経営」を実現する上では、台数を充実させ店頭で働く全員が端末を携帯するだけでなく、より使いやすく効率的なシステムを構築し、そのシステムをストレスなく使うことのできる高機能な端末が求められていた。

 「当初は、スマートフォンを端末として使えないかと、検討を進めていました」と話すのは、ファーストリテイリング 業務情報システム部の岡田章二部長である。

 「画面が大きく、動的な情報を活用でき、店頭で活用できるスタイルが求められていましたが、それらは市販端末を使えば容易に実現できるだろうと考えていたのです。しかし検討を進めるうちに、市販のスマートフォンで実現するのは厳しいと考えるようになりました」(岡田氏)

 適用しようとしている業務の幅が広く、例えば商品のバーコードを読み取る必要もある。これをスマートフォンで実現するにはバーコードスキャナを別に持たせる必要があるが、スタッフに持たせる機材が増えて、管理に手間がかかる。また、店頭で商品を扱いながら端末を操作することになるため、落下時などにも壊れない堅牢さも求められる。多くの台数を導入するため、故障率はできるだけ低く抑えたい――これらの理由から、必要な機能を1台に集約し、かつ堅牢な業務用端末を使うのが望ましいという結論となり、ファーストリテイリングでは端末メーカーをいくつかに絞り込んだうえで、機種選定を進めていった。

 「各社の技術や考え方の違いを見極め、我々が思っているものを製品化してくれるメーカーを選ぼうと考えました。とはいえ独自仕様で作ってもらうオーダー製品ではなく、アパレルに限らず世界中の小売業にも役立つよう、我々のニーズを取り入れて汎用性の高い製品を作ってほしいと考えていました。そうした観点で選んだのが、カシオでした。以前から業務用端末を手掛けており、機能はもちろん堅牢性や操作性、デザイン性など、さまざまな強みを併せ持つのがカシオだと判断しました」(岡田氏)

 ファーストリテイリングは当初から、自社での導入を前提として端末開発に参画した。そのため、「スケジュール感や価格なども含めて責任が伴う」(岡田氏)姿勢で、カシオに対しては仕様やデザインに対して様々な要求を行うと同時に、カシオのデザイン担当者を店舗に招くなど、ユーザーの利用実態を理解してもらうために相当な努力を払ったという。

 「このような手法は当社だけでなく、カシオにとっても初めてのことだと聞いています。ユニクロのビジネスモデルは仕入販売型の小売りから製造小売りへ移行してきましたが、こうして端末開発にコミットするのも、同様の流れだと考えています」(岡田氏)

staff.jpg スキャナーはレーザー方式を採用

 機能の取捨選択の一例をみてみよう。例えばIT-300ではカメラ機能を備えていない。汎用性の高い端末を開発しようとした場合、メーカーはカメラ機能を搭載したいと考えるのが普通だが、ファーストリテイリングはあえて搭載しないことを求めた。これは同社の業務の実態に即したリクエストだと岡田氏は話す。

 「以前使っていた端末はカメラを搭載しており、それで売場などの様子を撮影してサーバにアップロードするといった使い方を考えていましたが、カメラは店ごとに1台あれば十分。それは普通のデジカメでまかなえます。考えられる機能を全て入れれば、端末は大きく重くコスト高となり、部品数が増えれば故障も増えがちです。こうした割り切りをすることで、コストや故障率、電池の消費を抑え、現場での使いやすさが高まると考えたのです」(岡田氏)

 他方、こだわった点もある。例えばバーコードスキャナは、効率的な作業を行えるよう高性能なレーザー方式とした。画面も、端末に表示した商品カタログを顧客に見せることも想定して、高品質な液晶を採用している。携帯時にも扱いやすいよう、専用ポシェットも作り込んだ。同社営業支援統括部の高田雄啓氏は、「前の端末と比べると画面もスペックも全て良くなっている」と評価している。

業務の流れに沿って徹底して作り込んだ新システム

takada.jpg ファーストリテイリング 営業支援統括部 高田雄啓氏

 そして、IT-300上で使うシステムも、内容は従来のものから大きく刷新された。以前のシステムは各機能が異なる画面となっていて、連携ができていなかったという。それが今回のシステムでは、新たに盛り込まれた「商品ハンドブック」を起点として、自店在庫の確認、さらには販売計画画面へと移行し、発注することもできる。

 「この連携は、我々がこだわったところです。営業課題を解決するために作ったのだから、その一連の流れを網羅できないといけません。これまでの端末・システムは業務そのものにフォーカスしていたのに対し、今回の端末やシステムは、商売そのもののあり方を変えるべく開発したのです。ボタンを押していけばユニクロの仕事を知っている者ならすぐ分かる画面構成で、トレーニングもかなり短期間で習得でき、いろいろな店舗にヒアリングして現場の意見をもらうことで実現した、自信作でもあります」(高田氏)

 商品ハンドブックとは、これまで紙の資料で各店舗に提供されていた商品情報を、システム上で配信するようにした、いわば電子カタログだ。店員が商品知識を覚える際に使うのはもちろん、検索機能を生かして接客しつつ商品バリエーションを紹介するといった、新たな使い方も想定されている。岡田氏は、IT-300が導入された店を客として訪れたときのエピソードを、次のように説明する。

monitor.jpg 端末で商品を検索しバリエーションを紹介することも

 「チノパンを買おうと思っていたところ、腰回りのサイズが76のオリーブ色と79の茶色の商品がありました。試着してみるとサイズは76が合うけど、色は茶の方が気に入ったので、76の茶色があるかどうか店員に聞いてみたのです。IT-300で在庫を調べたところ、バックヤードに在庫があると分かり、すぐに取りに行ってくれました。在庫があるかどうか分からないまま待つのとは、大いに違います」(岡田氏)

 また、従業員向けの通達も端末上で見るようにしてペーパーレス化されたほか、店舗のセール目標や最新の売上高なども画面で確認できるようになっている。売場から離れることなく、ちょっとした空き時間に売れ行き状況をチェックしつつ、先手を打って商品を出すといった取り組みが可能になった。もちろん在庫不足の商品を発注したり、他店から取り寄せたりする処理も、全て店頭で行える。

 「例えば、これまでは在庫切れの商品に気付いたとしても、とりあえずメモをしておいて、後でバックヤードに戻ったときに発注していました。全ての店員にIT-300を持たせることで、そのタイムラグも減ります。店頭にいる時間をできるだけ長くすることで、より接客に重点を置けるのです。特に忙しい週末などは、店頭の業務が変わってきたのを実感します。売上の大きい店でも、売場の広い店でも、生産性が上がっています」(高田氏)

全世界で段階的に導入しグローバル展開を図る

 こうした端末およびシステムの移行は、全店舗一斉ではなく、大都市の店やエリアのキー店舗を先行導入店として選び、段階的に進められている。国内では、2011年末時点で156店舗に数千台が導入されており、2012年度中には国内全店舗に行き渡る計画だ。IT-300の導入総数は1万数千台にのぼる。

 「無理に導入を急ぐのでなく、現場での使いこなしを確認しながら展開します。部分的に導入すれば、未導入の店との間で導入効果を比較できます。そして、先行導入した店で成果を上げれば、他の店も導入したがるでしょう。また、現場での実際の使われ方を確認して、今後の導入台数や運用スタイルを変えるなど、計画に修正を加えられます」(岡田氏)

 高田氏は、この段階的な導入を通じて、店長などからのシステム活用案を集約しているという。例えば他店からの取り寄せや発注にも活用したり、店に入ってきた新商品をきちんと店頭に出せているかを確認したりする、といった使い方が生じているとのことだ。

 「しかし、『全員経営』の目標に対しては、現状では50%くらいの達成度でしょうね。今後このシステムをどれだけ使いこなしていくか、それが店長たちにとっての課題です。『全員経営』は、店長クラスだけでなくスタッフ全員、今日入ったばかりの新人も含めて、行えるようにするのが目標ですから。もちろん手応えはあります。理解している人は効果を考えて活用しようとしてくれているのです。今後、このシステムを使って売上や顧客満足度を高め、さらに商売を変えていくには、我々の施策も重要な鍵になってきます」と高田氏は話す。それは、今後の横展開を進めていくための課題でもある。海外でも基本的に同じシステム、同じ端末で展開を進めているのだ。

 「このシステムを日本で成功させて、成功モデルとして海外に広げていく計画です。既にニューヨーク、台湾、タイなどの店舗で導入が始まっています。成長率でみれば海外市場の方が高いのですが、日本でのビジネスモデルがしっかりしているからこそ、その市場に進出できている、というのが我々の考えです。日本企業ならではのサービスの良さを大切に、他地域でも提供していくためのシステムでもあるのです」(岡田氏)

 日本のスタッフであれば半ば常識的に判断し、行動しているパターンを、システムに取り込んでいるのだと岡田氏は説明する。つまり日本の店舗運営ノウハウを、システムを通じてグローバルに適用するという考え方だ。

 「国により、スタッフへの教育やコミュニケーションの仕方が異なります。できるだけマニュアルを見ずに使える業務システムであることが求められますし、『このようなときは何を見るべきか』『どのようなアクションを取るべきか』、さらにいえば『この時間帯に売れている上位5品目の店頭在庫を切らさぬようにする』などといった具体的なノウハウをシステム化していくことが重要です。そうしてこそ、人材は現地化しつつも、ローカライズするのではなく、ユニクロのグローバルなスタンダードとしてサービスを提供できるようになるといえるでしょう」(岡田氏)

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:カシオ計算機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年2月23日