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» 2012年02月29日 20時00分 UPDATE

なぜ完全なペーパーレスは実現しないのか?:Wacom Allwriteであらゆる業務の「紙からの解放」を目指すワコムの思い

クリエイティブ分野で強力なブランドを確立しているワコムの液晶ペンタブレット。同社では、新たに「Wacom Allwrite」と呼ばれるソフトウェアを開発し、クリエイティブだけでなく、あらゆるビジネス分野における、液晶ペンタブレットの導入とペーパーレス化を推進していくという。

[PR/ITmedia]
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 グラフィックや映像制作の現場で急速に普及が進む入力デバイスである「液晶ペンタブレット」。画面を表示するディスプレイと、そこに直接書き込む感覚で情報を入力できるペンタブレットとの組み合わせは、クリエイティブな作業の効率を劇的に向上させる。ワコムはその開発ベンダーとして、プロフェッショナルからホビーユーザーに至るまで、クリエイターの中で確固としたブランドを築いている。

 同社では「ユーザーインターフェースとしての使いやすさ」を追求した液晶ペンタブレットを、クリエイティブな分野のみならずあらゆるビジネスの現場で活用するためのソリューションの提供にも注力している。

 従来は、医療や教育、金融、流通サービスといった業種特化型のソリューションを、それぞれの業界ニーズに通じたパートナーと共同で提供していたが、今回ワコムでは、ビジネスでの液晶ペンタブレットの適用範囲を大幅に拡大すべく、自ら新たなソフトウェアの開発に乗り出した。

 「Wacom Allwrite」と呼ばれるこのソフトウェアは、どのようなコンセプトで開発が進められているのか。また、どのような業務のプロセスを変革する可能性を秘めているのか。ワコム ジャパン・アジアパシフィック統括本部タブレット営業本部ソリューション営業部ジェネラルマネージャーの飯嶋睦氏に話を伺った。

 また、今回はITmedia オルタナティブ・ブログ「むささびの視点」筆者の谷川耕一氏と、「平凡でもフルーツでもなく、、、」筆者の佐々木康彦氏に、Wacom Allwriteを実際に体験して、それぞれの立場から同製品の持つ可能性についてコメントを述べてもらった。

wacomallw01.jpg

「自由に書き込める」紙の利便性をデジタルで提供するWacom Allwrite

 飯嶋氏はワコムのビジネス向けソリューションについて、「直感的なユーザーインターフェース(UI)を通じて、従来の“紙”の置き換えによる業務のペーパーレス化をはじめとした、さまざまな課題を解決することを目指している」と、そのコンセプトを説明する。従来の業界別ソリューションでは、ソフトウェアはパートナーによる開発が主で、そこにワコムの液晶ペンタブレットというハードウェアを組み合わせることでバーチカルなマーケットに対して投入するという戦略をとってきた。

wacomallw07.jpg まるで紙にペンで書いているように書き込みできる

 そこで今回、自社でWacom Allwriteを開発するに当たって、これまで以上に「紙の置き換え」を進め、より幅広い業界におけるドキュメンテーション分野での活用を進めたいという意図があるそうだ。

 「以前からITによる業務のペーパーレス化は叫ばれているものの、なかなかそれが進まないという現実があります。紙には、紛失しやすかったり、検索性が低かったり、大量に蓄積された場合の保管コストが高いという弱点がある一方で、可搬性がよかったり、ひと目での視認性が高かったり、付随する情報の書き込みが容易といった点での利便性があり、それが全面的な電子化に至らない原因のひとつにもなっています」(飯嶋氏)

 Wacom Allwriteでは「紙の利便性を損なわずにデジタルの付加価値を提供する」ことを目指し、多様な形式のビジネスドキュメントに、手書きで情報を付加するための「インク機能」を主に提供する。

 あえて自社開発にこだわった理由は、ソフトウェアとしてのユーザーインターフェースを統一することで、一貫性のあるユーザー体験(UX)を実現したかったためだという。従来のビジネスソリューションでは、ソフトウェアについてはすべてをパートナーの手に委ねており、業種ごとの協力パートナーそれぞれが提供するソフトのUI、UXは異なったものになっていた。ワコムでは今回、手書きにかかわるUXを一貫して演出するための基盤を作ることを、強く意識して開発に臨んだという。

 Wacom Allwriteとして提供するソフトウェアは「ペンアノテーションアプリケーション」と「インク機能SDK」の2種。前者では、OfficeドキュメントやPDF、画像などを読み込んで、手書きでアノテーションをつけるためのシンプルな機能を提供する。後者は、開発者がビジネスアプリケーションに対して、Wacom Allwriteの持つ高度なインク機能を組み込むための開発キットとなっている。

徹底的にこだわった「ユーザビリティ」

 ここからは、実際に谷川氏と佐々木氏にWacom Allwriteのペンアノテーションアプリを使ってもらいながら、その機能を解説してもらった。

 ペンアノテーションアプリは、読み込んだファイルを表示してペンで書き込むことに加え、それを拡大、縮小したり、しおりを挟んだり、付せんを添付してアノテーションを付けたりといった基本的な機能が提供されている。グラフィックソフトのように、ペンの種類や色を選択したり、消しゴムツールを使って書き込んだものを消したりといった操作が可能だ。

 説明を受けながら操作を行っていた両氏は、数分のうちに基本操作に慣れてきたようだ。

wacomallw03.jpg ITmedia オルタナティブ・ブログ「平凡でもフルーツでもなく、、、」佐々木康彦氏

 「最初はペンタブレット独自の操作に少し戸惑ったのですが、もう慣れてきました。学習のしやすさは、ユーザビリティの基本。UIに細かい気配りがされていると感じます」(佐々木氏)

 ワコムは「紙の置きかえ」を目指すに当たって、UIの作成にはUIデザインの専門家の意見を取り入れるなどして、十分な吟味を行ったという。

 「大画面のディスプレイで文書をフルスクリーン表示した状態でも使いやすいUIを目指しました。この状態に慣れてくると、機能を呼び出すためにツールバー上に手を伸ばすことも面倒になってきます。そのため、ペン先の操作ひとつで全機能を呼び出せるクイックメニューも用意しています」(飯嶋氏)

 またWacom Allwriteでは、ツールバーのボタンアイコンが、一般的なWindowsアプリケーションよりも大きくデザインされている。これも理由があるという。

 「これも、紙の置きかえを強く意識した結果です。現状の液晶ペンタブレットでは、ペンでしか操作ができませんが、今後の製品にはタッチ機能を実装していく予定です。そのため、アイコンはタッチでの操作を考慮した大きさでデザインしてあります」(飯嶋氏)

 アイコンはウィンドウサイズによる自動配列によって、利用頻度の高いものが優先して表示されるように調整されている。また、メニューの内容自体も吟味し、カスタマイズの必要性をなくすことで、あわせて習熟のしやすさも高めたという。

「レイヤー機能」が文書ベースのコラボレーションに革新を起こす?

 谷川、佐々木両氏が注目したWacom Allwriteの機能のひとつは「レイヤー」機能だ。これは、ベースとなるドキュメントに対して、多層のペンレイヤーを重ねて表示し、それぞれを任意にロック、オンオフできるもの。執筆やWeb制作といった分野で仕事をしている両氏にとって、このレイヤー機能によって実現できるコラボレーション環境は極めて魅力的に映ったようだ。

wacomallw05.jpg Wacom Allwriteを体験する佐々木氏、谷川氏 直感的に操作できるので、説明書がなくてもすぐに使いこなした

 ベースとなるドキュメントに対して、複数の人間がコメントや修正を加え、最終的にそれをとりまとめて仕上げるというワークフローは、多くのビジネスの現場で行われている。現状、それはOffice WordやPDFといった電子文書フォーマット、あるいはプリンタで打ち出した紙の上で行われているわけだが、いまだ効率的、かつ作業がしやすい「決定版」が存在しない作業分野でもある。

 「紙に直接書きこむ感覚で、修正点を指摘できるのはとても便利。ただ、そこに訂正する文章を入れる場合には、手書きではなくテキストデータとして入れたいのだけれど……」と言う谷川氏に対し、飯嶋氏は、付せん紙を「テキストモード」で挿入することで、テキストデータの入力が可能になることを教える。

 佐々木氏も「修正を付せん紙や注釈として付けて、それを最終的にとりまとめる作業は多くの現場で発生する。そこに実際のテキストデータが入っていると、修正間違いなどを減らすために役立つだろう」と話す。現在はテキストデータの入力はキーボードから行う形であるが、谷川氏は「ソフトウェアキーボードで、液晶ペンタブレットから直接文字が入力できると便利だ」とアイデアを述べた。

 Webサイト制作の案件を多く手掛ける佐々木氏は「PCの画面でキャプチャした画像をそのままWacom Allwriteに取り込む機能はありますか?」と質問。

 飯嶋氏は「スニッピング」と呼ばれる機能を説明する。建築や製造向けのCADソフトなど、専用アプリケーションを使う現場での利用を想定したもので、Windowsアプリケーション上で表示されている画面をキャプチャして、Wacom Allwriteのベースドキュメントとして取り込む機能だ。佐々木氏は「この機能は、公開前のウェブページのチェックにも使えるだろう」と話す。

 「Web制作業務では、スクロールが必要な縦長の画面を扱うこともある。現状だと、スクロールキャプチャなどのソフトを使って対応しているけれど、そうした画像を一発で取り込めるようになると業務効率はさらに良くなる」という佐々木氏に対し、飯嶋氏は「今後の課題として、WebURLの指定で、HTMLページそのものをレンダリングして取り込むような機能も検討しています」と話す。

 Wacom Allwriteのレイヤー機能では、複数のファイルに対して個別に追加されたレイヤーをひとまとめにする機能が実装される。目を通すべき人々に一斉にドキュメントを配布して、同時並行的に修正やコメントを入れてもらい、それを最終的にひとつにまとめることができることになる。作業の効率化に加えて、「誰がいつ校正した内容かが、レイヤーベースで分かりやすく管理できる」という点で、極めて有効な機能になるだろう。

 「この機能を使えば、会議の場でプレゼンの資料に対して出席者が同時にコメントを書き込むような環境や、クリエイターがネットに下絵をあげて、世界中の人々からペン入れしたレイヤーを集めるようなコラボレーションが実現できるかもしれませんね」(佐々木氏)

 「将来的には、クラウドサービスとWacom Allwriteのレイヤを組み合わせてコラボレーションができる環境を実現したいという構想もあります。これが実現すれば、例えば、通信教育ビジネスにおける問題添削などの作業も、クラウド上で完結できるでしょう」(飯嶋氏)

「私は電子書籍の製作なども行っているのですが、例えば電子書籍や電子雑誌のレイアウトをベースに、多くのユーザーから注視点に関する情報を集めて、より読んでもらいやすいデザインを実現するための分析を行うといった使い方もできるかもしれないと感じました」(谷川氏)

 Wacom Allwriteでは開発キットが提供されており、ペンアノテーションアプリの基本機能をベースとして、さまざまな業務現場にマッチした機能の開発が可能となっている。このレイヤー機能を核としたコラボレーション環境には、従来のドキュメントワークフローのプロセスを大きく変革する可能性が秘められていそうだ。

スレートPCとの組み合わせで日常業務から紙とペンをなくせる?

 Wacom Allwriteによって触発されたオルタナブロガー両氏のイメージは、液晶ペンタブレットだけでなく「スレートPC」への対応による「ノートの置きかえ」にまで広がった。現場には実際に、大型の液晶ペンタブレットだけでなく、Wacom製のペン&タッチセンサーを搭載したスレートPC上で動作するWacom Allwriteも参考として用意されていた。日ごろの業務や取材活動の中で発生する「多くの紙資料」に不便さを感じていた両氏には、「スレートPC+Wacom Allwrite」の環境が魅力的に感じられたようだ。

wacomallw04.jpg ITmedia オルタナティブ・ブログ「むささびの視点」谷川耕一氏

 「近ごろは仕事関連のセミナーでも、紙資料はなくネットでデータを配布するというケースが増えている。そのデータの資料に、直接書き込みができるのはありがたい。レイヤーで書き込みが管理されるので、資料を別の人に渡すときに書き込んだ内容を消して渡せるのもいい。また、取材時のメモは紙のノートでとっているが、資料がデジタルデータとして取り込めて、そこに並べる形でメモもデジタルにとれるようになれば、現在の仕事から紙とペンをなくすことができそうだ」(谷川氏)

 「これまでもタッチパネルによるUIはことあるごとに話題になったが、実際に情報を書き込むためのツールとしては、良いものがなかった印象がある。ワコムの製品であればその点での品質は担保されているし、今回のWacom AllwriteはUIの使い勝手や入力時の反応も十分に研究され、洗練されていると感じた」(佐々木氏)

 これを受けて飯嶋氏は「開発チームも“ノートからの解放”という思いを強く持っており、それは製品の中にも反映されている。夢の実現に向けて、今後バージョンアップやSDKの強化を図っていくつもりでいる。今後Wacom Allwriteを、そのためのプラットフォームとして広く定着させていきたい」と応じた。

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提供:株式会社ワコム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年3月30日

製品紹介

書き込み、マーカー付け、付箋貼り付けなどの紙で行ってきた作業をデジタルに置き換えるサービス。書き込み管理やコラボレーションも可能になるレイヤー機能も装備。