PureSystemsはビッグデータ時代に不可欠なITインフラとなるか?

従来では思いもよらない企業経営の武器を手に入れる手段として、多くの企業が注目するビッグデータ。もっとも、ビッグデータの価値を最大限に引き出すためにはシステム環境の見直しが不可欠だ。IBMはその実現に向け、ビッグデータ時代に対応した新たなシステムのビジョンとして「Smarter Computing」を掲げる。このビジョンを具現化する初の製品が「IBM PureSystems」である。

» 2012年05月17日 10時00分 公開
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既存システムのあり方を見直す時期が来た

 経営層のミッションの1つに、他社との差別化につながるビジネスモデルの確立がある。その実現のために今、注目を集めているのが膨大かつ多様なデータのリアルタイム分析を可能にするビックデータソリューションである。センサー技術の発達やSNSといった新コミュニケーションツールの普及によってデータが爆発的な勢いで増加する中、ビッグデータの活用を通じて、従来では思いもつかなかった企業経営の武器を手に入れられることに企業は気付き始めているのだ。事実、ビッグデータのメリットを享受すべく情報基盤の刷新に取り組む企業は少なくない。

 ただし、ビッグデータを活用するまでの道のりが険しいことは、現在のシステムが抱える課題からも明らかだ。システム構造が複雑さを増す中にあって、システム整備に要する期間は長期化し、コストも肥大化し続けている。また、データの急増に対応するには、より多くのサーバの導入が避けられないものの、その場合には、企業が負担する運用コストも増えざるを得ない。

 その解決策として仮想化技術が急速に普及しつつあるが、増え続ける仮想サーバの管理はより複雑になり、運用コストの増加には歯止めがかかっていない。日本IBM システム製品事業テクニカル・セールス システム・ソフトウェア・ソリューション 担当 部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの緒方正暢氏は以下のように解説する。

「ビッグデータ時代には企業が扱うデータは飛躍的に増加する。しかし、現状の企業システムにおいては、ビッグデータの活用につながるアプリケーションの効率的な実装と管理のための仕組みが十分に整備されていない。技術革新がこれほど進み、情報の価値を引き出すとともに、経営においてITを真の意味で活用するためにも、現状のシステムのあり方を根本的に見直す必要がある。すでに米国では数年後の自社のITインフラ像さえ正確に描くことは困難で、この点に強い危機感を抱く企業も少なくないのだ」(緒方氏)

IBMが歴史的な発表と位置付ける「PureSystems」 IBMが歴史的な発表と位置付ける「PureSystems」

 この問題を解決するためにIBMが掲げるビジョンが、「Smarter Computing」だ。Smarter Computingでは、クラウドなどの活用を通じてシステムの整備期間が抜本的に短期化され、システムの最適化を通じて運用コストも大幅に削減される。併せて、多様な技術を駆使することで、データ活用の基盤も整えられる。

 その実現に向けIBMは、汎用機やアプライアンス、クラウドなどの強みを“いいとこ取り”した新分野のコンピューティングシステムとして「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を発表。第1弾となる製品が「IBM PureSystems」である。

 この新たな製品の価値は、システムのパフォーマンス向上という側面に特化するというよりも、今、多くの企業が直面するシステムの「運用管理」という真の顧客課題を解決するものなのだ。

“パターン”の活用で人手作業から解放

 PureSystemsは、「企業の目的に最適化されたシステム環境を自律整備すること」(緒方氏)を目的に、システムのあらゆる構成要素を一体化することで誕生した製品だ。サーバやストレージ、ネットワーク資源といったハードウェアに加え、OSや仮想化などのソフトウェアも統合した形で提供される。

 一番の特徴はIT要員の職人的な知見や経験を“パターン”として実装することで、システム整備における作業の抜本的な効率化、作業期間の短期化を実現した点にある。システム整備にあたっては、従来、専門のシステム要員による高度で煩雑な作業が必要とされ、そのことがシステム構築の長期化と、それに伴う運用管理コストの増加につながっていた。対してPureSystemsでは統合管理ツールの「IBM Flex System Manager」を利用することで、わずか4度のクリック操作だけでシステムの論理設計から物理実装までがパターンを基に自動的に実施できる。

「クラスタやDB接続といったシステムのトポロジーはもちろん、OSやミドルウェアのパラメータ、各種ポリシーなど、システムのあらゆる設定項目がパターンに含まれている。パターンを選択することで、深い知識を備えていない技術者でも高度なシステムを短期間に整備することが可能。実際、仮想環境における新システムの立ち上げはわずか4時間ほど。人手による工数や整備コストが大幅に削減されるのだ」(緒方氏)

あるべきシステム像を実現するPureSystems

日本IBM システム製品事業テクニカル・セールス システム・ソフトウェア・ソリューション 担当 部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの緒方正暢氏 日本IBM システム製品事業テクニカル・セールス システム・ソフトウェア・ソリューション 担当 部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの緒方正暢氏

 システム構成が複雑さを増し、サーバの台数が増え続ける中、企業のIT投資支出に占める運用管理コストの割合は、今では約7割にも達するという。これは、“攻め”のIT投資のための予算が、運用に割かれていることを意味する。ITを経営の武器とするためにも、運用コストの抜本的な削減が不可欠なのである。

 PureSystemsはネットワークからハードウェア、仮想マシンなど、従来は専用ツールで個別管理していた各種の構成要素をFlex System Managerで一元管理。事前に定義した標準環境を基にFlex System Managerが必要な更新を自動検出し、わずか1回のクリック操作でファームウェアやソフトウェア、Flex System Manager自体の更新が完了する。構成管理の手間が大幅に軽減するのだ。

「PureSystemsの利用によって、計画から導入、運用までの煩雑な作業から解放され、新技術を迅速にビジネスで活用可能な、本来あるべきシステムの姿が具現化する。同時に、ITによる他社との差別化にもつながる。経営層にとってこのインパクトは決して小さくないはずだ」(緒方氏)

 PureSystemsにより、自社のノウハウをパターンに埋め込むことで、情報システム子会社などではシステム販売という新ビジネスの創出も見込むことができると緒方氏。これらのメリットに着目し、PureSystemsの導入を予算に組み入れる企業もすでに現れているという。

ハードとソフトのゆるやかな統合に強み

 PureSystemsで用意されるモデルは、ハードウェアに仮想化アプリケーションまで含めて統合した「IBM PureFlex System」と、ミドルウェアまで組み込んだ「IBM PureApplication System」の2種類。「アプリケーションの基盤となるミドルウェアは自社で選択したいとのニーズに対応を図った」と緒方氏は製品構成の狙いを説明する。CPUにはIntel系プロセッサとPOWER7、OSにはAIX、IBM i、Linux、Windows、仮想化ハイパーバイザにはVMware、Hyper-V、PowerVM、KVMなど、いずれも業界標準の技術を採用。システム整備の“要”となるパターンはユーザー自身で作成できるほか、すでに100社を超えるISVが提供を表明しており、ユーザーはIBMと認定パートナーとのコミュニティサイト「IBM PureSystems Centre」からパターンのダウンロードなどが可能だ。

 ITコストの削減策としてクラウドは数年前から脚光を浴び、すでに業務で利用している企業も数多い。「そこでの経験が、PureSystemsの普及拡大に向けた追い風になるはず」と緒方氏は強調する。

「クラウドに実際に触れ、その可用性の高さを理解したことで、仮想化によるサーバ統合への抵抗感も確実に薄らいでいる。この点を踏まえ、まずは既存システムのマイグレーションを切り口に提案を進めたい。施策をさらに推し進めれば、あらゆるシステムのPureSystems上へ移行も決して不可能でないはず」(緒方氏)

 マイグレーションを提案するにあたってのPureSystemsの強みが、ハードウェアとソフトウェアがいわば“ゆるやかに”統合されており、ハードウェア側のアップグレードなどに柔軟に対応できる点である。これは、実装可能なアプリケーションが極めて多岐にわたることを意味する。

 また、PureSystemsにより保守運用のあり方も大きく変わるという。従来環境ではハードウェア障害の発生時に、システム復旧に向けた迅速な交換作業が必要とされた。だが、PureSystemsでは、障害発生時に仮想サーバを別の区画に移動させる自律予防機能によってシステムダウンを回避することが可能である。そのため、これまでのように厳格な管理が求められず、システム部門の負荷を軽減できるのだ。

「PureFlexのシステム構成はRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks:複数の外部記憶装置をまとめて1台の装置として管理する技術)に近い。余剰リソースでアプリケーションの信頼性を担保でき、万一のデータ喪失のリスクも払拭されている。可用性が極めて高いPureSystemsは、重要なデータを取り扱う基幹システムにも適したプラットフォームなのだ」(緒方氏)

ビッグデータの価値を現実のものとするために

 ITの技術革新が企業にもたらす価値は大きい。IBMは25万台のスマートメーターを活用することで、マルタ共和国の送配電網のリアルタイムでの最適化を実現。また、スウェーデンのストックホルム市では道路を走る自動車のナンバーをカメラで読み取り、ナンバーごとに登録された銀行口座から料金を引き落とす仕組みを整備することで、渋滞緩和とCO2削減に成功している。これらはいずれも、冒頭のビッグデータの活用によって実現したものだ。

「従来であればごく限られた組織でしか実現できなかった高度な情報活用が、技術革新により一般企業でも可能な時代に差し掛かりつつある。もちろん、その仕組みは複雑なものの、PureSystemsを用いれば統合IT環境をごく短期間に構築できる。PureSystemsはビッグデータのメリットを享受するための製品と言えるわけだ」(緒方氏)

 PureSystemsの発表に併せて、日本IBMはハードウェアとソフトウェアにそれぞれ精通したスタッフから成る専門部隊を組織。製品の見直しや提案活動に加え、箱崎本社のIBMソリューションセンター内に「IBM PureSystemsブリーフィングセンター」を新設し、企業での活用法に関する周知活動にも取り組んでいる。

 ビッグデータの活用が今後、あらゆる分野で進むと予想される中で、PureSystemsの存在感はますます増していきそうだ。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年6月16日

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