世界中のネットワーク基盤が強み M2Mビジネスに注力する英ボーダフォン

ネットワークにつながるマシンは全世界で90億台、これが2020年には240億台に達するといわれる。このような急成長を遂げるM2M市場において、高い品質管理や強固なインフラ基盤などを武器にビジネス拡大を押し進めているのがボーダフォンだ。

» 2012年11月14日 10時00分 公開
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 1984年に英国で創業したボーダフォンは、移動体通信事業者として現在、世界70カ国以上で事業を展開し、4億3900万人のユーザーを抱えている。自社ネットワーク網を持つ国は、欧米やアジア太平洋地域などを中心に世界30カ国にも及び、さまざまな国で50社以上の通信事業者とパートナーシップを結んでいる。パートナー関係にあるのは、ロシアのMobile TeleSystemsや韓国のKT、そして日本のNTTドコモなどだ。

ボーダフォン・グローバル・エンタープライズ M2Mビジネス開発部門長のマーク・ザウター氏 ボーダフォン・グローバル・エンタープライズ M2Mビジネス開発部門長のマーク・ザウター氏

 そのボーダフォンが今、注力する事業の1つがM2M(Machine To Machine)ビジネスである。M2Mとは、機械やデバイスなどに取り付けられたセンサーがネットワークを介して情報のやりとりをするシステムのことで、「Internet of Things」、「Internet of Objects」、「Telemetry」などと呼ばれることもある。ボーダフォンでは20年以上にわたってこの事業に取り組んできたが、約5年前、M2M事業を戦略的成長分野の1つと位置付け、積極的に投資を行うという判断を下した。この方針が決まって以来、同社ではM2Mに関連する組織や製品、サービスはもちろんのこと、人材やスキルにも投資している。

 現在ボーダフォンでM2M事業を担当する人員数は、世界で約360人に上り、うち250人はセールスとマーケティングを担当している。アジアにもM2M事業部門が置かれており、その本部は日本にある。日本にM2M事業部門が設置されたのは2年前のことで、現在の担当者は10人。今後もビジネスの状況を見て事業拡大を見込んでおり、「数年のうちに日本チームは今の2倍の規模になる」と、ボーダフォン・グローバル・エンタープライズでM2Mビジネス開発部門長を務めるマーク・ザウター氏は述べる。

潜在的市場価値の高いM2M

 ザウター氏は、「M2Mの可能性は無限で、市場はとてつもなく大きなものだ」と語る。同氏は、移動体通信事業者による業界団体であるGSMアソシエーションと調査会社Machina Researchによる予測値を引き合いに出し、「ネットワークにつながるマシンの数は現時点で90億台。2020年には240億台に上ると予測されている。業界別の市場の大きさも、2020年には公共部門で360億ドル、医療業界で690億ドル、自動車業界で2020億ドル、家電業界で4450億ドルになるといわれるほどだ」と述べ、M2M市場の潜在的価値を強調した。

 なぜこれほどまでに成長の可能性があるのか。ザウター氏は、「建設機器や自動車、家電、自動販売機などはもちろん、電気、水道、ガスなどの光熱量測量器におけるスマートメーター、健康器具、監視カメラなど、あらゆるマシンにSIMカードを搭載し、さまざまなアプリケーションで活用できるからだ」と説明する。

 M2Mでは、マシンやデバイスに搭載されたコミュニケーションデバイスとなるSIMカードがネットワークを介してデータをM2Mサービスプラットフォームに転送する。そのデータには、場所、温度、湿度、速度、使用電力量など、さまざまな情報が含まれている。データを受け取ったM2Mサービスプラットフォームは、そのデータを保存、分析し、結果をアプリケーション側に送信する。こうして得た情報を基に、企業は状態を把握し、異常があればそれをいち早く検知することもできるのだ。ボーダフォンでは同事業にて、SIMカードとネットワーク、そしてM2Mサービスプラットフォームをセットにしたソリューションを提供している。

 「例えば、東京の建設現場にあるはずの建設機器が横浜にあるとすれば、それは盗難にあったことを示している。建設機器に搭載されたSIMカードが場所を認識し、M2Mサービスプラットフォームに情報を送信、アプリケーションの設定によって機器が異なる場所にある場合はアラートを出すこともできる。また、自動販売機に搭載されたSIMカードから、自動販売機の管理会社に在庫情報を送ることも可能だ。必要に応じて在庫が補充できるため、無駄な荷物を運ぶ必要がない」(ザウター氏)

 ボーダフォンの顧客には、ドイツの自動車メーカー・BMWや、米国の医療機器メーカー・Boston Scientific、オランダのパーソナルナビゲーションデバイスメーカー・TomTomなどがいる。Boston Scientificでは、ボーダフォンのM2Mソリューションを活用した心臓病患者の遠隔モニターサービスを提供しているほか、TomTomは複数デバイスの情報から道路の渋滞情報をいち早く検知し、ドライバーが渋滞した道路を避けるよう支援している。また、公共事業では、英国のBritish GasがボーダフォンのM2Mソリューションによるスマートメーターを採用しているほか、ニュージーランドのAuckland Savings Bankではボーダフォンのソリューションでビルのエネルギー消費量を27%削減したという。

M2Mが企業にもたらすメリット

 ザウター氏は、M2Mソリューションが企業にさまざまなメリットをもたらすとしている。ビジネスの効率性向上やエネルギーコストの削減につながることはこれまでに挙げた例からも明らかだが、「電子書籍リーダーでネットワークを介した書籍のダウンロードが可能となったのもM2Mサービスあってのことだ」とザウター氏。このように、M2Mを利用した新しいビジネスモデルが構築できるという点も、M2M事業が伸びている一因だとザウター氏は述べている。

 また、M2Mを使って顧客満足度の向上につながった例もあるという。「われわれの顧客にフォークリフトのメーカーがいる。M2Mソリューションでフォークリフトの電池容量をモニタリングし、容量が一定以下になるとアラートを出してフォークリフトのダウンタイムを削減するようにしている」とザウター氏は話す。

 さらに、法規制順守などにM2Mを活用することもできる。ヨーロッパでは、e-Callと呼ばれ、販売される自動車のすべてにコミュニケーションデバイスの搭載を義務付けようとする動きがあるのだという。つまり、すべての車にM2Mセンサーが搭載され、追突事故などが起こると自動で緊急電話に呼び出しがかかり、車から発せられた位置情報を基に救急車が事故現場に駆けつけるという仕組みが導入されようとしているのだ。「この動きは自動車メーカーにとって大きなマイルストーンとなる。われわれの顧客には自動車メーカーも多いため、彼らを全力で支援していきたい」とザウター氏は力を込める。

ボーダフォンのM2Mへの取り組み

 ザウター氏によると、M2M事業は通常の携帯電話事業とは大きく異なるという。例えば、携帯電話事業の場合、ユーザーの解約率は約15%だが、M2M事業の場合はほぼゼロだという。また、契約期間も携帯電話であれば通常24カ月だが、M2Mの場合、スマートメーターをはじめ10年以上の契約が結ばれることも珍しくない。

 「われわれは顧客の声に耳を傾け、柔軟な料金プランを提供している。また、M2Mは複雑なため、顧客はできるだけシンプルに導入し、運用したいと考えている。そのための導入サポートや管理プラットフォームなどを提供し、巨大なM2M市場を支えている」(ザウター氏)

 デバイスの管理にあたっては、遠隔から設定やプロビジョニングができるようなM2M専用デバイス管理プラットフォームを開発した。同プラットフォーム上では、SIMカードのアクティベーションや無効化も可能だ。あるデバイスからの情報はもう必要ないとなった場合、遠隔操作でSIMカードを無効化し、無駄な通信料の発生を防ぐことができる。M2MでのSIMカードの利用は、常にデバイスが手元にあるとは限らないため、遠隔管理できることが重要なのだ。

ボーダフォンのM2M戦略の特色 ボーダフォンのM2M戦略の特色

 また、管理プラットフォーム上では、SIMカードのデータ使用量をモニターすることが可能だ。一定のデータ量に達した場合に警告を出すよう設定すれば、通信コストの明確な管理が可能で、ユーザーの悩みの種も減るといえよう。

 M2M専用のSIMカードも開発した。技術的には携帯電話で使われているものと変わりないが、「M2Mで使われるSIMカードは、通常の携帯電話の使用環境とは全く異なる。例えば、自動車に搭載されるSIMカードは、湿度や揺れ、ホコリなどにも強い必要がある。車の寿命が10年以上あることを考えると、劣悪な環境下でも10年以上耐え得る堅牢性の高いSIMカードが必要だ」とザウター氏は説明する。このM2M専用SIMカードは、携帯電話用のSIMカード同様、全世界のボーダフォンネットワーク環境下で利用可能だという。

 M2M事業においては、「SLA(サービスレベルに関する合意)が非常に重要だ」とザウター氏は主張する。それは、ボーダフォンが顧客に提供するSIMカードとサービスが、顧客の製品の中に完全に組み込まれてしまうためだ。

 「例えば、われわれのSIMカードが組み込まれた自動車でSIMカードがうまく動作しない場合、自動車メーカーのブランドに傷がついてしまう。我々が顧客に提供する製品とサービスが正しく稼働するということがいかに大切か分かるだろう。責任は重大なので、顧客の我々に対するSLAの要件はとても厳しい」(ザウター氏)

 そのため、品質管理には細心の注意を払っているという。特に日本の顧客は品質に対する要求が高いと明かすが、これまでのところ日本の顧客も満足しているとしている。

 なお、日本では「大手SI企業やグローバル機械メーカー、自動車産業、家電メーカーなどとビジネスを進めている」と、ボーダフォン・グローバル・エンタープライズのM2M APACリージョナルビジネスディレクターを務めるニクラス・エカーブ氏は述べる。例えば、ソニーの携帯ゲーム機「PlayStation Vita」がヨーロッパ全土でボーダフォンのM2Mソリューションを活用しているという。今後日本で注力したい分野は、家電と重工業だとしている。

 このように、ボーダフォンのM2M事業は順調に成長している。今年の売り上げ目標も達成し、シェアも増加しているという。「Analysys Mason、Beecham Research、Machina Research、Strategy Analytics、Frost & Sullivanといった調査会社のアナリストも、ボーダフォンをM2M市場のリーダーだと認めている」と、ザウター氏は自信を見せる。

 「ボーダフォンのミッションは、生活とビジネスを変革させるためにすべてのマシンを接続させること。M2Mが普及することで、例えば、自宅にいながら主治医の診察を受けることも可能になるし、CO2削減にも貢献できる。M2Mは生活の質を向上させることに直結しているのだ」(ザウター氏)

 世界中に張り巡らされたネットワーク基盤という強みを生かして、今後もボーダフォンはグローバル市場へ展開する日本企業を支援していく。

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提供:Vodafone Global Enterprise Inc.
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年12月13日