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» 2013年04月22日 00時00分 UPDATE

サーバ新時代の幕開け:「アプリケーションに最適化したサーバ」という逆転の発想が新しい市場を切り拓く

サーバの設置スペースや熱量は悩ましい問題だ。右肩上がりのデータ増大とともに、データセンターのサーバ台数は増加の一途を辿っている。その結果、上述する2つの問題が原因でサーバリソースの拡充が困難な事態に見舞われかねない。この問題を抜本的に解決すべく、ヒューレットパッカード(HP)は「HP Moonshot System」を発表。その具体的な戦略を探る。

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深刻さを増す2つの問題に立ち向かうために

photo インテル® Atom™ プロセッサー

 データセンター(DC)で稼働するサーバの台数は増加する一方だ。その理由は明らかだろう。いまや多様なコンピューティングデバイスが社会に広く浸透し、スマートデバイス向けゲームやコミュニケーションサービス、業務の高度化に向けた新領域での情報システム活用など、多様な用途開拓が進められている。そうした取り組みを背景に、社会全体で必要とされるサーバリソースが増加の一途を辿っているのである。DCにおける数千台規模のサーバのスケールアウトも、米国ではもはや珍しいものではない。

 こうした中、今まで以上に深刻さを増しているのが、サーバの“設置スペース”と“電力・熱”の問題だ。

 ベンダー各社はこれまで、限られた設置スペースにより多くのサーバを収容すべく、サーバの高密度化を進めてきた。だが、現状の設計アプローチでは小型化に限界もある。“ビッグデータ”という言葉が登場するほど日々、膨大なデータが生成され、データ量の加速度的な増加が見込まれる中で、近い将来、設置スペースがサーバリソースの確保に向けた障壁になる可能性はさらに強まるだろう。

 一方で、より多くのサーバが稼働すれば、DC内におけるサーバの総発熱量もそれだけ増す。そのため、冷却により多くの電力を消費することになるものの、利用可能な電力に限りがあるのは説明するまでもない。

 この2つの問題を克服すべく、ヒューレット・パッカード(HP)が2011年末から取り組んできたプロジェクトが「HP Project Moonshot」である。そして2013年4月、同社はその成果である新サーバ製品「HP Moonshot System」を発表した。

特定のソフトウェアにあわせたハードウェア仕様を提供

 HP Moonshot Systemの特徴としてまず挙げられるのが、本体サイズのコンパクトさである。単一コンポーネント、各種コントローラなどを集積する回路設計手法「SoC(System on Chip)」を採用することで、16.4センチ×17.8センチ×2.0センチの本体サイズを実現。本体は専用筐体に差し込んで利用する「カートリッジ」として提供され、その小型さから1筐体当たり45カートリッジまで収容可能だ。

 加えて見逃せないのが、エンタープライズ用途の従来からのx86系CPUの代わりにサーバではこれまで利用されることのなかった超低消費電力CPUを採用したことだ。これによって熱放出量を大幅に抑えている。この2つの新たなアプローチによって開発されたHP Moonshot Systemは、“設置スペース”と“電力・熱”の問題に抜本的な対策が講じられ、ビッグデータ時代の次世代サーバと位置付けられるのである。なお、第1弾となる「HP ProLiant Moonshot Server」は、インテルの超低消費電力プロセッサ「インテル® Atom™ プロセッサー S1200製品ファミリー」(Atom S1200)を採用。Atom S1200は、周辺インタフェースをプロセッサコアに統合した「SoC(System on Chip)」である点が特徴。消費電力が少なく、軽量なワークロードをスケールアウト型で分散処理する用途に適している。また、将来的には他の超低消費電力CPUの搭載も計画されている。

 ただし、HP Moonshot Systemは単なる小型の省エネサーバではない。そのことは、HPがHP Moonshot Systemを「Software Defined Server(SDS)」と定義していることからも容易に理解できるだろう。では、SDSとは何なのか。その疑問を解く鍵はアプリケーションの導入方法にあるという。

 これまで企業ではサーバを調達し、そこに各種ソフトウェアを導入してアプリケーションの利用環境を整えてきた。「しかし、SDSの考え方ではアプローチがまったく逆転する」と解説するのは、日本HP サーバー&ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 インダストリスタンダードサーバー製品企画部の岡野家和氏だ。

 「SDSではアプリケーションごとに最適な構成のサーバが用意される。それらを目的に応じて使い分けることで、従来よりも迅速かつ容易にアプリケーションの利用環境が整備される。アプリケーションに専用サーバを用意するというこのまったく新しい発想に基づくHP Moonshot Systemは、いわばサーバに変革の波をもたらすはずだ」(岡野氏)

 サーバは増加を続ける一方だが、ことCPU使用率に目を転じると、「Webのフロントエンドサーバなどでは半分にも達していない」(岡野氏)ことも多い。また、汎用的なサーバでは余剰な機能が付加されてしまうことが避けられない。それらはすべて、本体価格や放出熱量に跳ね返るわけだが、HP Moonshot Systemではそれらの無駄が徹底的に排除されているのである。

HPが提供するSoftware Defined Server(SDS)とは HPが提供するSoftware Defined Server(SDS)とは

ビッグデータ向けカートリッジの投入も視野

 国内のサーバ総出荷台数に占める省電力サーバの割合は、2015年にかけて急速に増加していくとHPでは見込んでいる。

 「HP Moonshot Systemは今後の急伸が見込める省電力サーバ市場を、SDSのアプローチによって開拓するための戦略製品。その拡販を通じて国内でも、省電力サーバの市場を牽引していく」と岡野氏。その実現のためにHPが今、注力しているのが、他ベンダーとのアライアンスの強化だ。

 「通信やグラフィック、ネットワークなど、特定分野で名の通ったベンダーにはすでに提携を打診済み。アプリケーションごとに最適化されたカートリッジ群の拡充に向け、外部企業のテクノロジーの活用が鍵を握る」(岡野氏)

 HPの要請に応え、すでに少なからぬベンダーがHPとアライアンスを締結。各種カートリッジの開発が共同で進められている。製品ロードマップを見ると、2013年4月の「Leap1」で提供されるカートリッジこそ、専用ホスティングや、Webフロント向けの1種類にとどまるが、今後は、さらなる高集積型モデルなどもラインナップに追加される計画だ。さらに、ビッグデータ処理のために大容量ストレージを搭載したり、リモートデスクトップなどの処理に特化したカードリッジの提供も予定されているという。

 ただし、HP Moonshot Systemは従来からのサーバと性格が大きく異なるだけに、あらゆるサーバ用途の置き換えを想定したものではない。「HP Moonshot Systemは、分散型ではない、プロセッサ処理能力のみを重視するような用途や、サーバー単体の管理性を重視する既存サーバのリプレースには不向き」(岡野氏)

研究所やビッグデータ関連で相次ぐ引き合い

 その一方で、HP Moonshot Systemに関心を示す企業や組織も存在する。実際に、基礎研究やビッグデータの基盤として、学術機関やメーカーの研究所などから、いくつもの問い合わせが寄せられているという。

「従来のx86サーバで構わないユーザーには、あえて我々はHP Moonshot Systemを提案しない。我々がターゲットとするのは、あくまでも未開の新市場。その掘り起こしのために、ベンダーに加え顧客とも手を組む考えだ」(岡野氏)

 そこで重要となるのがカートリッジの拡充だが、その開発にあたっては、各種ハードウェアやソフトウェアも含めた検証を欠かすことができない。そこで日本HPが2013年1月に開設したのが、ソリューション検証用の「ハイパースケールラボ」だ。検証には日本HPも参画し、その結果をパートナーや顧客に広く開示することで、開発を幅広く支援する。場合によっては米国・ヒューストン本社のDiscovery Labも顧客やパートナーに開放する計画という。本格的な提案活動はこれからが本番だが、プリセールス活動を通じて岡野氏は確かな手応えを感じているという。

 「ある企業にHP Moonshot Systemを提案したところ、我々のソリューション以外の使用法について提案をもらった。これはすなわち、我々自身も気付いていない用途がまだ多く残されているということ。顧客の声を丹念に拾い上げ、カートリッジの拡充につなげられれば、将来的に想定以上の売り上げを達成できる可能性も十分にある」(岡野氏)

 HPは2011年11月、社外に対して超低消費電力サーバの開発プロジェクト「HP Project Moonshot」を表明した。HP Moonshot Systemはいわば、人や金、さらに約1年という時間を費やしてコンセプトモデルで検証を重ねてきた成果の賜物と言える。

 HP Moonshot Systemの登場により、サーバ製品の新時代の幕がいよいよ開きつつあるのだ。

※ Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Intel Atom、Intel Atom Inside、は、アメリカ合衆国およびその他の国におけるIntel Corporation の商標です。

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2013年6月7日

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