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» 2014年02月24日 10時00分 UPDATE

アナリストが解説! 中小企業のバックアップ対策は「保険」と「業務の利便性」の両輪で

「製品やサービスの価格が高くて手が届かない」「大規模システム向けの高機能なソリューションばかりで自社には無関係」――。多くの中小企業にとってバックアップ対策はこうした懸念や疑問が付きまとう。しかし、果たしてそうなのだろうか。中小企業にとってもシステムのバックアップは不可欠であり、最適なソリューションがあるはずだ。本稿では、IT調査会社・ノークリサーチの岩上由高シニアアナリストに、中小企業の障害/災害対策の現状を解説いただくとともに、専門ベンダーの立場から、ストレージクラフト ジャパン ジェネラル マネージャーの岡出明紀氏に、中小企業が抱えるバックアップ対策の具体的な課題解決法を示してもらった。

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データ整合性を考えたバックアップまで考えるべき

――中小企業におけるITシステムの管理・保守に関して、特に障害/災害対策の現状を教えてください。

岩上氏 中小企業はITシステムの管理や運用に投資できる予算が限られます。そのため、常に全体を俯瞰する視点を持つことが大切です。以下のグラフは従業員数300人未満の中小企業に対して、「サーバ管理の課題」を尋ねた結果です。

サーバ管理の課題(出典:ノークリサーチ) サーバ管理の課題(出典:ノークリサーチ)

 さまざまな課題が挙げられていますが、ここで注目すべきなのは、「サーバ障害発生時の対応」と「サーバに格納されたデータの保全」の回答割合に5ポイント程度の差がある点です。

ノークリサーチ 岩上由高シニアアナリスト ノークリサーチ 岩上由高シニアアナリスト

 サーバの障害には、(1)ハードディスク故障などのハードウェア障害(2)OSやアプリケーションなどのソフトウェア障害、の大きく2つが考えられます。通常、ユーザー企業が考える「バックアップが必要となる場面」は前者に相当します。ですが、データの整合性が取れなくなる事態は後者においても発生する可能性が十分あります。にもかかわらず、後者では「とりあえず、サーバを再起動する」といった対処で済ませてしまうケースも少なくありません。本来、「サーバ障害発生時の対応」と「サーバに格納されたデータの保全」は両者が同じくらい重視される課題であるべきなのです。

 スマートフォンからのeコマース活用なども今後は進むと予想され、中小企業にも「データ処理の整合性」を踏まえたシステムの構築、運用が求められてきます。

 以下のグラフは、サーバに接続されたストレージ(DAS)など、重要度の高いストレージ機器のバックアップ方針を尋ねた結果です。

最も重要なストレージ機器のバックアップ方針(出典:ノークリサーチ) 最も重要なストレージ機器のバックアップ方針(出典:ノークリサーチ)

 この結果からも分かるように、従業員数300人未満の中小企業は「データ整合性も考慮したバックアップ」に対する意識がまだ十分ではないといえます。顧客が購入の手続きをしている最中にシステムが止まり、お金は払われたが商品は届かないといったことが起きては大変です。単なるデータ保存ではない、もう一歩進んだバックアップの取り組みが中小企業にも求められてきているといえるでしょう。

万が一のときの保険だけではない

――例えば、東日本大震災を経験したことで、企業のバックアップのあり方に変化は生じたのでしょうか。

岩上氏 東日本大震災は、被害が非常に広範囲に渡ったことが、これまでと大きく異なる点でした。交通網が麻痺したことによって、帰宅困難となった方々も多かったと思います。震災前の障害/災害対策は「とりあえずデータをバックアップしておく」というものでした。ですが、震災を経て「データだけでなく、システム全体を安全な場所に逃がす方法が必要」「従業員が遠隔でデータにアクセスできなければ、業務は継続できない」といった認識に変わってきました。さらに震災から3年弱を経た現在では、「障害/災害対策と日々の業務の利便性を両立させる」という方向に進みつつあります。

 分かりやすい例としてファイルサーバを挙げます。以下のグラフは従業員数300人未満の中小企業に対して、「ファイルサーバに必要と考える付加価値(複数回答可)」を尋ねた結果です。

ファイルサーバに必要と考える付加価値(出典:ノークリサーチ) ファイルサーバに必要と考える付加価値(出典:ノークリサーチ)

 ファイルサーバは単なる文書の置き場所ではなく、さまざまな役割が求められていることが分かるでしょう。このうち、障害/災害対策に該当するのは、遠隔地にデータを複製する「レプリケーション機能」や、社員がオフィスにたどり着けなくてもデータを参照できる「リモートアクセス機能」です。

 ですが、これらは障害や災害が発生したときだけでなく、日々の業務においてもメリットをもたらします。東京と大阪にオフィスがある場合、双方の間でレプリケーション機能を活用すれば、日々のファイルアクセスの速度を向上させることができます。また、外出先からスマートフォンで契約書を確認したいといった場合には、リモートアクセス機能が役立つでしょう。オフィスが1カ所のみの場合には「クラウドバックアップ機能」で堅牢なデータセンターにデータを保存することもできますし、データがクラウドにあれば、「モバイル対応機能」も利用しやすくなります。

 このように、昨今の障害/災害対策は、「万が一のときに備える保険」ではなく、「日々の業務の利便性と両立させる」ものへと変わってきているのです。

サーバ仮想化を生かしたディザスタリカバリ対策を

――ディザスタリカバリに対するニーズの範囲にも変化があるのでしょうか。

岩上氏 先に挙げたファイルサーバの例は、オフィス文書などのデータに着目した障害/災害対策でした。東日本大震災では「棚に置いていたタワー型サーバが激しい揺れで飛び出してきて、ディスクだけでなく筐体全体が壊れてしまった」というケースも多々ありました。こうした場合にはデータだけでなく、OSやアプリケーション、各種のドライバなども含むシステム全体を復旧させる必要があります。つまり、システム全体のバックアップを日ごろから作成しておかなければならないわけです。

 この点についても、日々の業務の利便性と両立させるという動きが見られます。そのカギとなるのがサーバ仮想化です。サーバ仮想化は、実は中小企業においても着実に普及しつつあります。サーバ仮想化ではOSやアプリケーションも含めたシステム全体を「仮想サーバ」といういわば1つのファイルにまとめ、物理サーバ間を移動できるようにします。

 ですので、システム全体のバックアップとサーバ仮想化はとても相性が良いのです。社内のサーバ環境を仮想化しておけば、いざというときにはシステム全体をクラウド上に移動して稼働させることもできるわけです。

 こうしたサーバ仮想化によるディザスタリカバリ対策のメリットはそれだけではありません。以下のグラフは従業員数300人未満の中小企業に対して、「今後検討しているクラウド関連の取り組み(複数回答可)」のうち、ディザスタリカバリに関連する項目をピックアップしたものです。

今後検討しているクラウド関連の取り組み(出典:ノークリサーチ) 今後検討しているクラウド関連の取り組み(出典:ノークリサーチ)

 例えば、「普段よりも高い処理能力が必要となった場合に部分的にクラウド上で処理を実行する」は、仮想サーバを一時的にクラウドへ移して、CPUやメモリが必要な処理を実行させるというものです。従来であれば、一時的な負荷上昇のためにスペックの高いサーバを購入すべきかを悩まなければなりませんでした。

 また、「各種の業務システムを仮想化し、クラウド環境への出し入れを容易にする」は、初期のシステム検証段階ではクラウド上でテストや開発を行い、本番環境になったら自社内に戻す、さらにシステムが成熟して他社とのデータ連携なども行うようになったら再びクラウドへ移す、などといったようにシステムの“年齢”に応じて置き場所を柔軟に変えられるというものです。

 注目すべきなのは、こういった新しい取り組みと「障害/災害が発生したときの待機システムの置き場所としてクラウドを活用する」という項目を挙げる割合がほぼ同じくらいだという点です。回答割合そのものは1割弱とまだ少ないですが、サーバ仮想化を生かしたディザスタリカバリ対策を検討するユーザー企業は、万が一のときに備える保険だけではなく、負荷増大やシステムの年齢なども踏まえて日々の業務の利便性と両立させることを考えているわけです。

ストレージクラフト ジャパン ジェネラル マネージャーの岡出明紀氏 ストレージクラフト ジャパン ジェネラル マネージャーの岡出明紀氏

岡出氏 日ごろいろいろな顧客企業を訪問していて感じているのは、確かに日本でも中堅規模以上の企業だと、実際にレプリケーション機能などを導入してバックアップ対策に取り組んでいることが多いですが、中小企業となると、スタンバイ環境はおろか、遠隔地にデータを退避させることすら検討していない会社が少なくありません。

 例えば、本社以外の他拠点がなかったり、平常時の業務に直接役立つものではないのでバックアップ対策に予算をつけるところまでいってなかったりと、その理由はさまざまです。また、仮にバックアップしていても、多くの中小企業が夜間や休日を利用して1日1回が限度というのが現状です。これではリカバリポイントが少な過ぎるといえるでしょう。特に先ほども話に出たeコマースのような業態では、できるだけリカバリポイントを数多く設けて、何かあったときにデータの消失を最小限に食い止める必要があります。

 しかしながら、中小企業にとって、クラスタリングやスタンバイ環境というバックアップソリューションは高価なイメージがあり、自社には関係ないと思っている節があります。その点、ストレージクラフトが提供する、バックアップ・リカバリソフトウェア製品「ShadowProtect」シリーズは、スタンバイ環境を提供する追加オプション「HeadStart Restore(HSR)」を用意しており、本格的なフェールオーバーの環境をハードウェア含めて45万円程度で構築できます。もはや中小企業にとっても非現実的なソリューションではないはずです。リカバリポイントも、最短15分間隔で作成することができます。

バックアップとリカバリの精度の高さに信頼感

――中小企業のディザスタリカバリ対策に最適なイメージバックアップと、それに関する製品・ソリューション選定のポイントについて教えてください。

岩上氏 ここまで見てきたように、バックアップやディザスタリカバリ対策は、万が一の保険ではなく、日々の業務の利便性と両立させる方向へと変化してきています。

 上述したことをまとめると、一挙両得を実現するバックアップやディザスタリカバリ対策を実現するためには、以下のようなポイントを考慮して製品/ソリューションを選ぶと良いでしょう。

  • データ整合性を考慮したバックアップができること(スナップショット機能など)
  • データだけでなくシステム全体をバックアップできること(イメージバックアップ)
  • サーバ仮想化に対応した機能が備わっていること(仮想サーバのバックアップなど)

 繰り返しになりますが、バックアップ=万が一に備えたデータの保全ではなく、バックアップ=システムの保全+システムの柔軟な配置や運用を実現する手段という認識を持つことが非常に大切です。そのためには物理サーバ、仮想サーバ、クラウドといったさまざまな環境を往来できるシステム全体のバックアップが重要となります。「物理サーバでも、仮想サーバでも、クラウドでも同じようにバックアップできます」とベンダーから言われた場合、単にデータのバックアップを指すのか、個々のハードウェアに依存するドライバも含めたシステム全体のバックアップを指すのかを見極めることが大切です。

岡出氏 そうした中、ストレージクラフトが提供するバックアップソリューションの特徴は、「信頼性」「使いやすさ」「高速性」というキーワードに集約されます。特に日本企業の顧客からは、信頼性と高速性の評価が高いです。

 信頼性については、独自の「Volume Shadow Copy Service(VSS)」プロバイダーによって、元データと整合性のとれたバックアップを非常に高い確率で実施するだけでなく、整合性をチェックするためのベリファイ機能やImageReady機能により、リカバリの失敗確率を低く抑えることが可能です。

 高速性に関しては、バックアップとリストアの処理速度が速いということに加えて、システムのマイグレーション時のダウンタイムを縮めることができる仕組みも提供しています。通常、システムマイグレーションしようとすると、システムを停止してバックアップをとり、新しい環境でリストアするといった作業が発生します。その間にシステムは止まっているためダウンタイムが長くなるわけです。しかし、先にお話ししたHSR機能の応用である「Manual HSR」と呼ばれるもの適用すれば、長時間サービスを停止できないシステムでも、15分程度でマイグレーションすることが可能になります。

 また、イメージバックアップや仮想化サーバのバックアップに対しても、有効なソリューションを用意しています。ShadowProtectはHIR(Hardware Independent Restore)機能を標準で備えていて、異なるマシンに対してリストアすることもできるのです。具体的には、異なるハードウェアへの復元(P2P)、物理環境から仮想環境への復元(P2V)、仮想環境から異なる仮想環境への復元(V2V)、仮想環境から物理環境への復元(V2P)のすべてに対応しているほか、データだけでなくシステム全体を復元することが可能です。Manual HSRと合わせて、岩上さんがおっしゃられる、「システムの年齢に応じて置き場所を柔軟に変える」ことが容易になるわけです。

 このように、トータル的な障害/災害対策が安価かつ迅速、容易にでき、物理環境と仮想環境の間の簡単かつ短時間のマイグレーションをサポートしていることは、中小企業においては、“守り”の面だけでなく、業務効率化やビジネス成長に向けた“攻め”の面でも大きなメリットとなることは間違いありません。

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提供:ストレージクラフト ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年3月23日