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» 2014年07月11日 10時00分 UPDATE

JR東日本のSDN導入事例、高い信頼性とスピードを両立した東京駅の新たなネットワーク

JR東日本ではSDNを活用して必要なネットワークを即座に用意し、快適な駅の利用を支える新サービスの実現を加速させています。

[PR/ITmedia]
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JR
業種 運輸・サービス業
業務 経営企画、人事・総務、共通業務
製品 UNIVERGE製品(LAN/IPテレフォニー)
ソリューション・サービス プラットフォームサービス、SDN

 東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は現在、快適に鉄道を利用してもらうための様々な施策を進めています。しかし、新ネットワークの敷設に1年かかる場合もあるなど、複雑化した駅舎内のネットワークが足かせとなり、企画したサービスを開始するまでに多大な時間がかかっていました。そこで、東京駅に導入したのがNECのSDNソリューションです。これにより、個別最適化したネットワークの集約を図りつつ、必要なネットワークの変更や追加を即座に行える柔軟な「駅構内共通ネットワーク」を実現。国が推し進めている観光立国の実現に向けて、また、将来の大型国際イベントの開催も見据え、様々な新サービスの開発を加速しています。

事例のポイント

課題

 東京駅には、用途ごとに数十種類の独立したネットワークが混在しており、配線が複雑化していました。駅舎の改良工事やシステム追加・変更のたびに対象となる配線を“探し当て”、ネットワーク機器にも設定変更を行わねばならず、作業工数が増大していました。

 列車の運行情報などの伝達の役割も担う東京駅のネットワークには、堅牢性の高い「止まらないネットワーク」が求められていました。

 将来、大型国際イベントが開催されれば、地方からの観光客、海外からの訪日観光客など、多様な利用者が東京駅を訪れることが予想されます。駅の利便性を向上する新サービスを速やかに実現できる環境を構築したいと考えていました。

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成果

 SDNは、ソフトウェアによるネットワークの統合・集中制御が可能。物理構成やネットワーク機器に手を加えることなく、論理的に独立した仮想ネットワークを用意することで、迅速に追加・変更作業を行え、工期の短縮、作業負荷の軽減に貢献します。

 新たに構築した「駅構内共通ネットワーク」は、SDNの特性を活かした冗長構成により、高い堅牢性を実現しています。

 「駅構内共通ネットワーク」の構築によって、企画した新サービスを素早く具現化できるようになりました。無線LANによる快適なスマートデバイス利用環境を提供したり、各種情報をタイムリーに提供する「JR東日本アプリ」を提供するなど、すでに様々なサービスが稼働中です。

導入前の背景や課題

複雑化したネットワークが新サービス実現の障壁に

山田肇氏 東日本旅客鉄道 鉄道事業本部 電気ネットワーク部 担当部長(情報ネットワーク) 山田肇氏

 東日本の鉄道の大動脈を支えるJR東日本。近年、同社は安全・安心な鉄道の運行はもちろん、快適に鉄道を利用してもらうための様々な施策を進めています。

 例えば、主要駅ではデジタルサイネージを通じてリアルタイムな運行情報などを掲示したりするほか、スイーツをはじめとする様々な専門店の入居を誘致。土産物選びや待ち時間の楽しい過ごし方を提案するなど、駅を中心に付加価値の高いサービスの創出に取り組んでいます。

 企画した新サービスを素早く具現化するには、様々な準備を進めなければなりません。ITインフラもその1つですが、通信を担うネットワークには大きな課題がありました。

 駅構内には、様々なネットワークが敷設されています。東京駅を例に取ると、列車運行情報の配信、エスカレーターや各種機械の状況を管理するカメラ、防犯カメラ、そして、デジタルサイネージや自動販売機、キオスクおよびテナント店舗向けの事業系システムなど、数十種類ものネットワークが敷設されています。「必要に迫られるたびに、それぞれを個別に構築してきたため、バックヤードは配線が入り乱れ、複雑化を極めていました」と同社の山田肇氏は説明します。

 この複雑化が招いたのは、ネットワークの追加や変更作業時の負荷と期間の肥大化です。駅は頻繁に改良工事が発生します。そのたびに各ネットワーク機器に設定変更作業を行わなければなりません。仮に大幅なレイアウト変更で、スイッチを移設したり、取り外すような作業が発生すると、構築業者に依頼してトポロジーそのものを見直さなければならず、大変な手間がかかります。

曽根一郎氏 東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 電気ネットワーク部 課長 鉄道ICTソリューションプロジェクト グループリーダー 曽根一郎氏

 「複雑に配線が入り乱れ、全体像を把握するのが困難な状況では、どれがどの機器につながっているケーブルかを判別するのさえままなりません。工事業者や担当者が会議室と現場を何度も往復し、確認作業を繰り返さねばなりませんでした」と同社の曽根一郎氏は課題を述べます。

 しかも、駅舎内で工事が行えるのは、利用客のいない終電と始発の間の3時間だけ。「工事のたびに、数カ月の工期と多額のコストがかかっていました。例えば2011年の「ecute上野」全面開業に向けて大規模な工事を行った上野駅のケースでは、1年近く徹夜工事が続きました」と同社の安本光浩氏は話します。

 こうした状況では、新サービスを企画しても、具現化するのは容易ではありません。

選択のポイント

柔軟な変更と追加が可能な「駅構内共通ネットワーク」をSDNで構築

 ネットワークの課題を解消し、今後のサービス拡充に向けた基盤を整備するために同社が計画したのが、東京駅における「駅構内共通ネットワーク(JR-STnet)」の構築です。東京駅構内に張り巡らされた多種多様なネットワークを統合し、管理までを集約。その上で、必要に応じて、即座にネットワークの追加や変更が行える環境を目指したのです。

 そのために採用したのがNECのSDNソリューションです。具体的には、SDN(Software-Defined Networking)を実現するNECの「UNIVERGE PFシリーズ」によるネットワーク刷新を決めました。ソフトウェアによる制御でネットワークを仮想化するNECのSDNソリューションは、用途に応じて、論理的に独立した仮想ネットワーク「VTN(Virtual Tenant Network)」を迅速に用意することが可能。同社が直面していた課題を解決できると考えたのです。「ネットワークの追加や変更の際に、物理構成に手を加えたり、1台ずつの機器に個別に再設定作業を行わずとも柔軟に対応できます。改良工事やシステム追加のたびにネットワークで苦労している私たちにとって、最適な技術だと感じました」と曽根氏は話します。鉄道業界でのSDN導入は世界で初めての事例です(※)。

 NECの実績も高く評価しました。「社会インフラを担う私たちは、信頼性をなによりも重要視しています。SDNという新しい概念を導入する不安は当然ありました。その点、NECは、既に大手企業や団体などにSDNソリューションを提供した経験を持っており、多数の実績に基づくノウハウの提供が期待できます。以前から評価していた持ち前の技術力も考慮し、最終的にはNECに任せれば安心だと判断しました」(山田氏)

※NEC調べ

導入ソリューション

既存のIPアドレスを継承しつつ、段階的な拡張と移行が可能

 段階的な移行に適しているのもNECのSDNソリューションの特長です。

 前述した通り、1日に3時間しか作業が行えない東京駅構内のネットワークを一気に刷新するのは現実的ではありません。また、東京駅は現在も改良工事が進行中であり、京葉エリア、丸の内エリア、八重洲エリア、グランルーフなどと、順番に作業を進める必要がありました。

 従来のネットワークは、こうした段階的な工事においても大きな手間がかかっていました。工事が進み、ネットワークの適用エリアが拡張するたびに、作業量が増大。何回も設定変更作業を行わなければならなかったのです。

 一方、UNIVERGE PFシリーズは、物理構成を気にすることなく、論理的に独立したVTNを構築できることから、すでに稼働させているシステムに影響を与えることなくネットワークを拡張していけます。

 物理的に独立させたネットワークで運用してきたシステムを1つに集約する場合、通常はIPアドレスを再び割り当て直さなければなりませんが、VTNの特性を活かせば、仮にIPアドレスの重複があったとしても気にする必要がありません。物理ネットワークを統合しつつも、各機器は異なるVTNに接続されるため、同じIPアドレスの共存が可能になるからです。

SDN活用イメージ JR東日本によるSDN活用イメージ(クリックで拡大)

導入後の成果

東京駅の利便性を向上する新サービスが稼働を開始

 既に駅構内共通ネットワークは稼働を開始。同社は、タイミングを見ながら、駅構内にある様々なシステムの集約を進める予定ですが、現在は主要キャリアと連携した「無線LAN」のバックボーン用、東京駅構内のロッカーの空き状況がわかる「Suicaロッカー」用のVTNを構築し、駅構内共通ネットワーク上で稼働させています。

 特に東京駅構内全体をカバーする公衆無線LANサービスは、「さくさくスマホを使いたいときは東京駅へ行こう!」との声が聞かれるほど、多くの利用者に好評。同社も無線LANを通じて運行情報や駅構内情報などをタイムリーに提供するスマートフォン向けの「JR東日本アプリ」を提供しています。

 「ネットワークを追加する際も、駅舎の工事によって移設や変更を行う際も、従来のような手間は不要になりました。工期や工数を大幅に削減できる上、新サービスも迅速に展開でき、戦略的なIT活用の原動力として期待しています」と安本氏は満足感を示します。

 また、こうした柔軟性だけでなく、高い堅牢性も同時に実現しています。

 「ネットワークがダウンすると、列車の運行情報の提供が滞るなど、様々な支障が生じます。駅のネットワークは決して止まってはならないのです。そこで駅構内共通ネットワークは機器の冗長化に加え、最低でも2方向の迂回ルートを確保し、高い可用性を実現しています。さらに万が一トラブルが起きた場合も、分かりやすいGUIですぐに原因を究明可能。万全の環境が整いました」と曽根氏は語ります。

今後の展望

将来の大型国際イベントも見据え、様々な新サービスを構想中

安本光浩氏 東日本旅客鉄道 鉄道事業本部 電気ネットワーク部 鉄道ICTソリューションプロジェクト 安本光浩氏

 今後も同社は、駅構内共通ネットワークを活用し、様々なサービスを提供していく計画です。

 「現在、日本は、観光立国の実現を目指しており、国内だけでなく、海外からも多くの観光客が訪日することが予想されます。また将来の大型国際イベントの開催も見据え、サービス品質の向上を図るのは公共交通機関としての重要な責務と考えています」と山田氏。例えば、無線LANとタブレットを生かし、駅員の業務支援サービスの拡充を目指すのも、その1つ。指令室から駅事務室に伝達される列車遅延などの運行情報を駅員の持つタブレットに直接配信すれば、駅員の業務に役立つだけでなく、駅利用者に向けても、よりきめ細かな情報提供や案内を行えます。

 「自分で情報を確認したいお客さまにはアプリをご利用いただく。それが難しいお客さまには駅員を通じて、同等の情報をご提供する。多言語に対応した翻訳アプリを組み合わせるなどして、海外からのお客さまにも手厚いサービスを提供したいですね」(安本氏)。

 ほかにも、旅客流動のIPカメラ画像を活用したコンコースやホームの混雑状況の検知・把握、必要な場所に移動させて、運行情報などを表示できる「可搬型ディスプレイ」など、様々な新サービスの可能性を検討しています。

 SDNソリューションを活用して、東京の表玄関ともいえる東京駅のサービス品質向上に成功したJR東日本様。今回の成功をベースに、同じような事情を抱える新宿駅や池袋駅などでも駅構内共通ネットワークの実現に前向きに取り組む考えです。

 NECも鉄道サービスはもちろん、様々な社会インフラシステムの構築を通じて、よりより社会の実現に貢献。そのためにも、SDNソリューションをはじめとするITソリューションの強化をさらに加速する構えです。


 人々の毎日の暮らしを支え、日本の大動脈を担う鉄道には、極めて高いレベルの安全・信頼が求められています。その基盤を支えるITのネットワークにも同様の品質が求められます。SDNという新しい技術がJR東日本に採用されたことは、SDNがこの厳しい要件を充分に満たすことのできるものであることを証明する、画期的な事例と言えるでしょう。

お客様プロフィール

東日本旅客鉄道(JR東日本)

所在地 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号
設立 1987年4月1日
資本金 2000億円
売上高 単独 1兆9108億円、連結 2兆6718億円(2013年3月期)
社員数 5万9370人(2013年4月1日現在)
概要 旅客鉄道事業、貨物鉄道事業、旅客自動車運送事業、旅行業などを展開する。近年は駅ビルや「エキナカ」と言われる駅構内の店舗拡充など、鉄道輸送事業以外の新規事業展開にも力を入れている。
URL http://www.jreast.co.jp

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年8月10日