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» 2014年08月18日 10時00分 UPDATE

ITをビジネスの武器として駆使するあきんどスシローがクラウドERPを選択した理由

クラウドファーストをIT戦略として掲げ、早期から業務・分析系のシステムのクラウド移行を進めてきたあきんどスシロー。顧客の需要を予測する“ビッグデータ”分析など、店舗でのIT活用を原動力に急成長を遂げてきた。そうした中、欧米、アジアなど世界各国におけるすしの需要拡大を見込み、海外への店舗展開を見据えた国際会計基準(IFRS)への対応に着手した。これまでオンプレミスで運用していた既存の会計システムを捨て、グローバルの会計基準に対応し、かつ、膨大な数の企業業務を研究して製品に組み込んだ「業務のいいとこどり」であるベストプラクティスを持つ「SAP ERP」をクラウドで稼働させた。その狙いとは――。

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スシローの成長の陰にクラウドファースト

 関西圏を中心に、全国で372店舗(2014年8月時点)の回転すし店「スシロー」をチェーン展開するあきんどスシロー。同社は1984年の開業以来、「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」を経営理念に、事業を右肩上がりで成長させてきた。2013年9月実績で連結売上高は約1193億円に達するほどである。

 その成長の一翼を担ってきたのが、すし皿にICタグを取り付けることで、人の勘や経験に頼ってきたレーン上のすしの廃棄を自動化したり、顧客の需要を予測し最適なタイミングでレーンへすしを投入するといった店舗のIT武装である。

あきんどスシロー 情報システム部長の田中覚氏 あきんどスシロー 情報システム部長の田中覚氏

 その上で、同社が2012年から取り組んでいるのが、ICタグによって得られる年間10億件もの各種データをデータウェアハウス(DWH)に格納し、BIツールにより可視化を図ることで、“売れ筋”の見極めなどに役立てる店舗の需要予測などの分析活動である。そして、それらのシステム基盤に採用されているのが、クラウドサービスの「アマゾンウェブサービス(AWS)」である。

 あきんどスシローで情報システム部長を務める田中覚氏は、「データを分析する際、サーバをハイピークに合わせて自社購入するのは大変高コストになります。また、ITスタッフが5人と限られていることを考えると、運用負荷も決して小さくありませんでした。だが、クラウドであれば、それらの課題を抜本的に解決できる」と採用の狙いを説明する。

 以来、同社ではクラウドファーストをIT戦略の中心に掲げクラウドの活用を推進。分析システムに加え、さまざまなシステムのクラウド移行に取り組んできた。

海外展開に伴い異なる会計制度への対応が必須に

 一方で、あきんどスシローは、海外出店は成功のチャンスがあるとの考えから、事業のグローバル化に積極的に取り組んでおり、2011年には韓国に初出店を果たしている。だが、これにより同社が直面することになった課題が、異なる会計制度への対応である。

 これまであきんどスシローでは、国内製パッケージをオンプレミスで導入し、会計業務に活用してきた。しかし、同パッケージは韓国の会計基準には対応していないことから、同社ではこれまで韓国と日本の会計を手作業でつなぐことで対応を図ってきた。

 「しかし、人手による処理では二重入力の手間やミスの発生は免れませんでした。そこで、業務効率化に加えて会計の透明化を図るためにも、日本と韓国の会計基準に対応した、会計業務の自動化が可能な仕組みの整備が強く求められるようになりました」(田中氏)

 多数の店舗を抱える同社では、什器など、管理すべき固定資産は少なくない。だが、既存の国内製パッケージの固定資産管理機能は使い勝手が悪く、表計算ソフトによって別途、固定資産を管理していたなど業務効率の面で問題があった。また、既存パッケージは導入にあたり各種のカスタマイズが行われていたが、それらは「当時の担当者の考え方を基にした属人的なもの」(田中氏)であり、そのことが会計処理を煩雑化させる一因にもなっていた。

 これらの問題を打開すべく、あきんどスシローでは2013年6月に会計システムの刷新を決意。そのための最適な製品や手法の見極めに着手することになったのである。

ERPもクラウド上で稼働

 会計システムの刷新にあたり、あきんどスシローが掲げた方針。それが、グローバル会計への対応とBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の実現である。その狙いについて、田中氏は「我々はすし店として業務を継続的に見直し、業務効率と顧客サービスの向上を実現してきました。とはいえ、会計業務に関しては、我々の手法が優れているか否かの判断が難しい部分も存在しました。であれば、国際会計基準であるIFRSなど、グローバル標準に対応したパッケージに業務を合わせることで、今後のグローバル展開への足場を固めるべきとの判断に至ったのです」と強調する。

 その上で同社は、複数パッケージを比較検討し、最終的にシステム構築パートナー企業のNTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL)から提案のあった「SAP ERP」の財務会計(FI)および管理会計(CO)モジュールの採用を決断する。加えて、同社は開発・運用環境も一工夫した。具体的には、イニシャルコストやサイジングの手間を抑えるために、クラウド上でのSAP ERPの稼働を決断したのである。

 会計は企業にとって基幹業務の1つであり、セキュリティなどの点からシステムのクラウド移行に躊躇する企業も少なくない。そうした中、同社がクラウド化に踏み出せた背景には、AWSはSAPが運用環境として認定しており、SAPを導入する場合の推奨構成がSAPから公開されていたことがあった。

「グローバル展開のための業務の見直しには、豊富なベストプラクティスを内包するSAP ERPが最適でしたが、問題は導入コストでした。しかし、開発環境・運用環境としてAWSを採用することにより大幅なコストダウンを実現しました。AWSはSAPの本番環境として既に実績があることと、セキュアな環境としても信頼でき、極めて信頼性の高い稼働環境をオンプレミスよりはるかに安価に整備できると確信を持てました。しかもクラウドであればリソースを必要に応じて容易に調達でき、事前の面倒なサイジングの労力は一切不要。既にDWHなどでクラウドを活用してきた我々にとって、まさに“必然”とでも呼べる選択だったのです」(田中氏)

 あきんどスシローはSAP ERPの導入にあたり、将来的な拡張性などを考慮し、ノン・カスタマイズでの導入を決意する。ただし、SAP ERPがいくらグローバル標準に則っているとはいえ、日本の商慣習に合致しない部分も存在する。その溝を埋める役割を担ったのが、NTTデータGSLの提供する独自テンプレートと導入サービスである。

 「NTTデータGSLは日本企業に合致するテンプレートを豊富に取り揃えており、それらを活用したり、運用でカバーしたりすることでカスタマイズなしのSAPの導入を実現できることが分かりました。しかも、同社のコンサルタントは会計についても精通していたほか、操作マニュアルの作成や安定稼働までの確実な支援が見込めたため、安心して導入支援を任せられると思いました」(田中氏)

約5カ月の短期導入を実現できた理由

 あきんどスシローがERP導入に着手したのは2013年10月のこと。以後、導入作業はNTTデータGSLの主導により「振り返るとほとんど記憶に残らないほど」(田中氏)順調に進み、2014年3月には本番稼働を開始した。

 田中氏が短期導入を実現できた理由の1つに挙げるのが、財務会計部門の協力である。一般に、既存の仕組みの見直しにあたっては現場からの抵抗を受けがちだ。だが、同社では財務責任者がSAP ERPでの会計システム刷新の必要性を強く認識していたこともあり、「財務会計部門がシステムに歩み寄り、運用を見直すことで業務プロセスを改善できました。その結果、余計な開発が抑えられ、導入コストもそれだけ削減できたのです」と田中氏は振り返る。

 もっとも、導入の過程では、思わぬ課題にも直面したという。同社では従来、DWHなどほかのシステムをAWSのパブリッククラウド上に構築してきたが、SAPの推奨構成では、プライベートクラウドでの運用が求められていた。また、会計業務の自動化に伴い、これまで手作業だからこそ対応できた処理のシステムへの取り込みも必須とされた。

 「セュリティ強化のため、AWSのバーチャルプライベートクラウドという機能を利用し、他システムもすべてプライベートネットワーク空間に移動させました。また、会計処理を見直すために、プロジェクト中盤の2013年12月に新たに追加された要件もあり、急遽インタフェースの機能に反映させるようなこともありました。このような問題に直面しながらも、当初予定通りプロジェクトを完了させることができたのは、一重にNTTデータGSLのプロジェクトマネジメント力と開発力の賜物なのです」(田中氏)

あきんどスシローのクラウドシステム構成 あきんどスシローのクラウドシステム構成

IT統制とセキュリティ確保も「SAPとクラウド」の組み合わせで

 SAP ERPの導入効果は、会計業務がグローバル対応を果たすことに加え、業務が大幅に効率化されたことである。

 「固定資産管理機能が新たに利用できるようになり、各種業務が自動化されることで、財務会計部門の残業時間が大幅に削減されるなど業務は確実に効率化されています。また、恣意的な処理の入る余地がなくなることで、IT統制も大幅に強化できました。さらに、業務をSAP ERPに合わせたことで、マニュアルを参考に誰でも各種処理を行うことが可能になるなど、業務の生産性も飛躍的に高まったのです。SAP ERPでは現在、IFRSとJ-GAAP(日本の会計基準)の2本立てで会計データが管理されており、グローバル展開に向けた確固とした足場を築けています。安定運用が確認されたことで、今後、韓国での利用にも本腰を入れる考えです」(田中氏)

 カスタマイズを行わなかったことは、セキュリティの向上に確実に寄与しているという。パッチを当てる際の事前検証が一切不要であるため、より迅速な対応が可能になるからだ。

 AWSではシンガポールのDR(災害対策環境)サイトにデータが自動的にバックアップされるが、運用管理ツールを新たに導入することで、日次でフルバックアップするほか、1時間ごとにトランザクションログの差分バックアップをAmazon S3に対して行う。別途、DRサイトにもデータを転送している。これにより、事業継続性がさらに高められているという。

今後は購買発注やマスタ管理の導入も視野

 あきんどスシローは今後、SAP ERPの活用領域を拡大させる考えだ。既にNTTデータGSLやSAPジャパンとの相談の下、購買発注機能の追加を検討しているほか、在庫・購買、マスタ管理の導入も視野に入れている。もちろん、機能拡張にあたってはクラウドの活用もさらに進むことになる。

 「これまで店舗側に比べて、本部側のシステム導入は、あまり積極的に行われてきませんでした。しかし、食材周りのマスタ管理の徹底などが業務課題として浮上しています。ただし、そのために無駄なコストを負担するのであれば、その分、顧客サービスに直結する食材などに還元すべきというのが基本方針。SAPとクラウドの組み合わせは、この考えの下でIT化を進めるための“現実解”なのです」(田中氏)

 今回のプロジェクトにより、次なる成長に向けた確固たる基盤を手に入れたあきんどスシロー。SAPは同社の成長をまさに下支えしているのだ。

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提供:SAPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年9月30日

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