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» 2014年11月10日 10時00分 UPDATE

西日本の高速道路網を支えるネットワークをSDNで構築、NEXCO西日本の導入事例

NEXCO西日本では西日本全域を結ぶ高速道路のさらなる安全・安心を目指し、全長約4000キロの広域ネットワークをSDNで構築しています。

[PR/ITmedia]
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NEXCO
業種 運輸・サービス業
業務 共通業務、その他業務
製品 UNIVERGE製品(LAN/IPテレフォニー)
ソリューション・サービス プラットフォームサービス、SDN

 西日本高速道路(以下、NEXCO西日本)は、全45拠点を多様なルートで結んだ全長約4000キロの広域ネットワークをSDNで構築しました。主な目的は、交通管制システムのディザスタリカバリです。同社は、関西、中国、四国、九州の各地域に高速道路の司令塔である道路管制センターを設置していますが、災害などによりいずれかの地域の道路管制センターの機能が停止した際には、SDNを利用して、即座に他のセンターにて管制機能を代行して、速やかな情報提供、災害支援のための輸送ルート確保など、災害発生時にも安定した高速道路サービスの継続を実現します。現在は交通管制システムの共通化などを進めており、近く「災害に強い交通管制システム」の本格運用が開始される予定です。

事例のポイント

課題

 災害発生時にも速やかな情報提供、災害支援のための輸送ルート確保などを実現するには、道路管制センターによる管制業務の継続が必須。関西、中国、四国、九州の4地域のセンターの機能を相互に補完し合うバックアップ体制が求められていました。

 既存のネットワークでは、道路管制センターと交通量計測設備や情報提供設備などの高速道路本線上の設備が4つの地域ごとに個別に接続されていました。各本線設備からの情報を他エリアの道路管制センターに送信するには、膨大な設定変更作業を行わなければならず、接続先の切り替えが非常に困難でした。

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成果

 道路管制センター、高速道路事務所の全45拠点を複数ルートで結び、全長約4000キロにもおよぶ広域ネットワークをSDNで構築。災害発生時には、本線設備の接続先の変更を行い、即座に他の道路管制センターにて管制機能を代行します。これにより、災害発生時にも安定した高速道路サービスの継続を実現します。

 集中制御が可能なSDNにより、緊急時にも柔軟なネットワークの経路変更や構成変更などが迅速に実行できます。また、常にネットワークの状況を監視できることによって障害対応も迅速化できます。

導入前の背景や課題

交通管制システムのバックアップを実現し、「災害対応力の強化」を推進

竹本氏 西日本高速道路株式会社 保全サービス事業本部 保全サービス事業部 危機管理防災担当部長 竹本勝典氏

 滋賀県以西の西日本地域の高速道路を運営・管理しているNEXCO西日本。円滑な交通の確保と顧客満足度の向上に努め、「未来に続く信頼の道づくり」を推進しています。「高速道路はスピーディで快適な移動や物流を支える重要な社会インフラ。会社設立以来『100%の安全・安心』を追求しています」と同社の竹本勝典氏は述べます。

 中でも近年、同社が特に注力しているのが災害対応力の強化です。災害発生時、高速道路には救援のための物資や人員を被災地に届けるという重要な使命があります。「特に西日本地域は、東南海・南海地震の被害想定エリア。災害発生時には、緊急輸送路の確保のために交通機能を継続させなければなりません」と竹本氏は話します。

 そのために、現在、同社は道路本体の耐震対策や、地域・他機関と連携した防災訓練などに取り組んでいますが、同時に道路管制センターの機能強化にも着手しました。具体的には、センターを支える交通管制システムのバックアップ体制と、そのための広域ネットワーク基盤の構築です。

山本氏 西日本高速道路株式会社 保全サービス事業本部 保全サービス事業部 施設保全課長 山本和人氏

 道路管制センターは、非常電話、交通量計測設備、気象観測設備などの本線設備から寄せられる情報をもとに、交通事故や渋滞、気象状況といった事象を察知し、いち早く利用者に情報を提供したり、現場を担当する高速道路事務所や交通管理隊、高速道路交通警察隊と連携して交通規制や事故処理などをコントロールしたりする、いわば高速道路の「司令塔」。「関西、中国、四国、九州それぞれの地域に設置しており、24時間365日体制で、高速道路の安全な通行を支えています」と同社の山本和人氏は説明します。

 災害対応力を強化するには、この道路管制センターによる管制業務をいかなる場合でも継続できる体制が必要不可欠。これまでも交通管制システムの冗長化や、各エリアの交通管制システムをネットワークで接続するなどして信頼性向上を進めてきました。

 しかし、道路管制センターと本線設備を結ぶネットワークは、地域ごとに個別に構築されており、当該地域内でしか情報のやり取りができません。仮に管内の道路管制センターが停止すれば、その地域の高速道路の監視や制御が困難になり、安全な通行が不可能となってしまいます。

 「例えば、九州で災害が発生し、道路管制センターが停止に陥った場合には、九州地区の本線設備からの情報を被災していない中国地区の道路管制センターに集約し、管制機能を継続できるような体制を求めていたのです」と竹本氏は語ります。

選択のポイント

技術とコスト面の優位性に加え、実績に基づく安心感があった

枝廣氏 西日本高速道路株式会社 保全サービス事業本部 保全サービス事業部 施設保全課 枝廣篤氏

 そのために、同社が着目したのがソフトウェアによる集中制御で柔軟かつ迅速なネットワークの構成変更を可能にするSDN(Software-Defined Networking)でした。

 エリアやシステムごとにネットワークが構築されていた従来の環境では、本線設備のデータ転送先を変更するためには、膨大な数のネットワーク機器一つひとつに対して設定変更作業を行わなければならず、地区をまたいで管制機能を代行させることは困難です。しかし、集中制御によって柔軟な経路変更や転送先変更が行えるSDNを導入すれば、素早くネットワークを変更することが可能。災害発生時にも、すぐに遠隔地の道路管制センターに転送先を切り替え、他のセンターにて管制機能を代行できます。

 そこで、同社はSDNに関する情報収集を開始。比較検討の結果、OpenFlow方式のSDNを導入することを決定しました。「OpenFlowは、コントローラと呼ばれる制御装置が複数の伝送装置(スイッチ)を一括管理するネットワーク。他の技術でも、複数の製品を組み合わせれば同様のことができたかもしれませんが、OpenFlowは構成がシンプルで運用しやすい。また、標準化も進んでいることから、今後の発展も期待できると判断しました」と同社の枝廣 篤氏は説明します。

 具体的なソリューションとしては、競争入札の結果、NECの「UNIVERGE PFシリーズ」を採用。「技術面、コスト面などを総合的に判断した結果です」と山本氏は語ります。また、枝廣氏も「NECは長年、NEXCO西日本のシステムを構築してきた経験がある上、ほかにも数多くの社会インフラの構築・運用を手がけています。SDN分野でも実績が豊富で安心感がありました」と続けます。

導入ソリューション

既存ネットワークと併用し、より強固な運用体制を実現

 NEXCO西日本は、エリアごとの既存ネットワークを交通管制システムの現用ネットワークとして継承しつつ、SDNを非常時のバックアップ回線として併用しています。

 通常時、情報板や交通量計測設備や気象観測設備など数千カ所にもおよぶ本線設備の情報は高速道路事務所を経由して、所管の道路管制センターに転送されます。一方、災害発生時には、SDNコントローラで制御を行い、高速道路事務所の接続先を他エリアの道路管制センターに迅速に切り替え、管制機能を継続させるのです。

 既存のネットワークと、集中制御によって柔軟な経路変更や通信先変更を可能とするSDNによるディザスタリカバリ、二つの方法を備えておくことで、同社は極めて強固な道路管制センターの運用体制を実現しています。

SDN活用イメージ SDNによる管制センターのバックアップイメージ(クリックで拡大)。九州で災害が発生し、道路管制センターが停止に陥った場合には、九州地区の本線設備の情報を被災していない中国地区の道路管制センターに集約し、管制機能を継続する

導入後の成果

接続先の切り替えやネットワーク構成変更は数分で可能。管制機能の“空白”を解消

 NEXCO西日本は、4台の「OpenFlowコントローラ」と136台の「OpenFlowスイッチ」を導入。道路管制センターおよび高速道路事務所など全45カ所の拠点を多様なルートで結んだ全長約4000キロにおよぶ広域ネットワークのSDN化を実現しています。

 これにより、高速道路サービスの安定性が大幅に強化されました。「非常時には、SDNを活用してネットワークの接続先を迅速に切り替え、本線設備の情報を他の道路管制センターに転送して、管制機能をそのまま継続できます」と山本氏。常に道路の状況を監視し、適切な対応を行えるほか、各種情報板などを通じて、高速道路の利用者に適切な情報をタイムリーに提供。災害時でも混乱の少ない安全な道路サービスを継続できます。

 加えて、同社は他の面でもSDNのメリットを実感しています。

 「UNIVERGE PFシリーズ」を利用すれば、簡単に独立したセキュアな仮想テナントネットワーク「VTN:Virtual Tenant Network」を構築可能。この特長を活かし、業務用LANや各サービス用の自営ネットワークも用途ごとに独立させ、セキュアな状態でSDNに統合。設備の有効活用を実現しています。

 また、ネットワークの変更作業も分かりやすいGUI画面で簡単に行えます。「従来、新システム導入時などにネットワークの追加・変更を行うには、専門業者の手を借りねばならず、半年くらいかかることもありました。現在は、画面上で『こことここを結ぶ』と、構成を視覚的にイメージしながら、自分の手でスムーズに作業でき、ネットワーク工事のリードタイムを大幅に短縮しています」と枝廣氏は語ります。

 さらに既存のネットワークでは、現状の通信経路を詳細に把握できないという課題がありましたが、SDNはGUIで各サービスの通信状態を把握でき、きめ細かい運用が可能。メンテナンスを行う際も、事前に経路変更をしておくことができます。「あらかじめ通信の停止を見込んでおく必要がなく、サービスに影響を与えることもありません。メンテナンス作業の効率化に加え、障害発生時の迅速な復旧も可能になります」(枝廣氏)。

 新しい試みであるSDNの導入は手探りの部分もあったと言いますが、NECのサポートによって、そうしたハードルもクリアできました。「多くの時間を割いて技術特性の説明などを行ってくれました。提供してもらった運用ドキュメントも分かりやすくまとめられており助かっています」と枝廣氏はNECの対応を評価します。

今後の展望

付加価値の高い顧客サービスの早期実現など、SDNの可能性に大きな期待

 現在、同社はSDNを活用した道路管制センターのバックアップ体制を早期に実現すべく、各システムの共通化などを進めています。「『災害に強い交通管制システム』の本格運用はまもなくです」と竹本氏は強調します。

 また、SDNを他の用途に利用することも考えています。例えば近年、同社では利用者に高速道路で快適に過ごしてもらうための様々な施策を実施しています。「SDNのネットワークを仮想化する機能を活用して、企画する新サービスを素早く実現するなど、様々な用途が考えられますね」と山本氏は、SDNの可能性について語ります。

 SDNにより、重要な社会インフラである高速道路の災害対応力を強化し、インフラ基盤の革新を進めるNEXCO西日本。この強みを最大限に発揮し、西日本地域のさらなる発展に貢献していく構えです。


 自動車交通の大動脈を担う高速道路の安全・安心を支えるICTに、極めて高い信頼性が求められるのはいうまでもありません。そのネットワークに先進的なSDNが採用されたことは、SDNがユーザーからの厳しい要件に応えることができることの証明となるでしょう。日本の社会インフラを支えるICTでのSDNの採用がますます広がっていくと期待されます。

お客様プロフィール

西日本高速道路株式会社

所在地 大阪府大阪市北区堂島1-6-20 堂島アバンザ18F
設立 2005年10月1日
資本金 475億円
社員数 2352人(2014年3月末現在)
概要 関西・中国・四国・九州地方の24府県にまたがる西日本地域の高速道路の建設・運営管理、SA・PAの運営管理を行っている。会社設立以来「100%の安全・安心」を追求し、道路保全や交通安全対策を積極的に推進する。さらに災害対応力と地域連携の強化、顧客満足度の向上などに取り組み、グループ全体で総力を挙げて、西日本地域の発展に寄与する。
URL http://corp.w-nexco.co.jp/

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年12月14日