鹿児島ターミナルビルが導入した最新デジタルサイネージの舞台裏「高い」「難しい」のイメージはもう古い

街中で目にする機会が増えたデジタルサイネージは、映像や画像を駆使した魅力的な表現を通じて、紙媒体では難しい多様な情報を提供できる手段として注目を集める。だが、豊富な機能を備える専用システムは高額で、自前で機器を導入するのも、運用・管理するのも大変だ。この点がデジタルサイネージの普及の障壁になってしまう。2014年9月にオープンした「アミュプラザ鹿児島プレミアム館」に導入されている最新鋭のクラウド型デジタルサイネージシステムは、従来のデジタルサイネージにまつわる問題を解決している。

» 2015年03月04日 10時00分 公開
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2020年は4倍の規模に 期待高まるデジタルサイネージ

 駅や商業施設、オフィスビルなど様々な場所でデジタルサイネージを活用した情報発信が身近な存在になりつつある。デジタルサイネージ市場は東京五輪が開催される2020年に現在の4倍の規模に急拡大するともいわれ、人々に魅力的で多様な情報を提供するシステムとして注目される存在だ。しかし、デジタルサイネージシステムは「高額で使いにくい」といったイメージを持つ人も多いのではないだろうか。

 鹿児島県の陸の玄関口・九州新幹線の鹿児島中央駅に2014年9月26日、大型商業施設「アミュプラザ鹿児島プレミアム館」(以下、プレミアム館)がオープンした。同施設を運営する鹿児島ターミナルビル株式会社は、デジタルサイネージに対する従来のイメージを打ち破る最新鋭のシステムを導入している。この構築を支援しているのが「スマート光戦略」を掲げるNTT西日本グループである。

「スマート光戦略」とは?

NTT西日本はICTによる新たな価値創造を目指して、様々なパートナーと連携したソリューションを提供。家庭や生活(ライフ)、職場や仕事(ビジネス)、地域活性・まちづくり(タウン)の3つの分野で、新しい価値やライフスタイルの創造に取り組んでおり、その取り組みをそれぞれスマート光ライフ、スマート光ビジネス、スマート光タウンと呼んでいる。

コストを抑え、表現の多様性を提供する新システム

アミュプラザ鹿児島プレミアム館 2014年9月にオープンしたアミュプラザ鹿児島プレミアム館

 鹿児島ターミナルビルは、プレミアム館と2004年の九州新幹線の部分開業に合わせて先にオープンした「アミュプラザ鹿児島」(以下、本館)を運営する。本館南側に建設されたプレミアム館は7階建てのビルで、鹿児島県に初進出したファッションや雑貨など多くの店舗が入居している。

 同社では来館者への情報提供はポスターやチラシ、情報誌を主に利用していたが、2009年にデジタルサイネージを本館にオンプレミス型で部分導入し、ディスプレイを通じて、館内の案内やWebサイトの情報発信を開始した。

川越敏氏 鹿児島ターミナルビル株式会社 総務部担当部長兼設備運営課長 川越敏氏

 鹿児島ターミナルビル株式会社 総務部担当部長兼設備運営課 課長の川越敏氏は、「従来のポスターやチラシ、情報誌など紙による広告は、媒体に合わせてコンテンツを加工する必要があり、多くの部数を印刷して手作業で掲示や設置を行うことから、コストがかかります。その点、来館者に見せたい情報を具体的かつタイムリーに提供できるデジタルサイネージの効果に大きな期待を寄せています。制作したコンテンツの利用形態も広がるので、広告制作費の削減につながります。しかし、デジタルサイネージシステムをオンプレミス型で本館へ導入した際の経験から、費用が高いと感じていました」と話す。

 一般的にデジタルサイネージのシステムは、コンテンツの登録や配信、管理などを行うコンテンツ管理システム(CMS)とそのためのサーバー機器やソフトウェア、コンテンツを表示するディスプレイ、CMSと接続してディスプレイを制御するセットトップボックス(STB)、ネットワークなどから構成される。これらの構成によるシステムを自前で構築するとなると、その費用は高額になりがちだ。特にSTBは1台あたり十数万円になることから、設置台数に応じてコストが膨らんでしまう。

 また、運用面でも、複数のディスプレイで同時に異なる映像や画像を表示させる等の多様な情報発信のための機能を数多く搭載するシステムでは、機能を使いこなせない場合もある。複雑な構成になれば、保守やメンテナンスの費用も高くなってしまう。

 2013年11月、鹿児島ターミナルビルでは、本館に部分導入したデジタルサイネージの効果を踏まえ、プレミアム館への本格導入をスタート。プレミアム館に導入する新しいシステムは、本館導入時のように費用が高額にならぬよう、「余分な機能は求めず、シンプルで使いやすく、安価であることを求めました」(川越氏)といい、最終的にNTT西日本グループの提供する「光BOX」を活用したクラウド利用型のデジタルサイネージシステムを採用した。

サイネージ プレミアム館に導入されたデジタルサイネージシステム

 このデジタルサイネージシステムは、NTT西日本が提供する「光BOX」をデジタルサイネージのSTBとして活用し、インターネットを介してクラウドサービスのデジタルサイネージ配信/管理サーバーから利用する仕組み。STBに使用する光BOXは、従来のデジタルサイネージ専用のSTBに比べて10分の1程度と非常に安価だ。

 CMSの機能や光BOXのファームウェア更新などの機能もクラウド上のデジタルサイネージ配信/管理サーバーからサービスとして提供される。一般的なデジタルサイネージシステムのように、ユーザーがオンプレミス環境に自前でサーバーなどを構築したり管理したりする必要がない。

 また、インターネットに接続して光BOXとディスプレイを設置できる場所なら、どこにでも情報を発信することができる。設置場所の増減や変更にも容易に対応でき、ユーザーの手元にある端末からクラウド上のデジタルサイネージ配信/管理サーバーを介し、場所に応じて異なる情報を手軽に提供できる、使い勝手の良さも特徴だ。

 デジタルサイネージ配信/管理サーバーのCMS機能では、ユーザーグループごとに権限を設定して編集や配信などの操作を制限できる。CMSにアップロードしたりSTBへ配信したりされるコンテンツも暗号化でセキュリティが確保されているので安心だ。

 機器の故障など万一の場合にも、フリーダイヤルへ連絡すればNTT西日本グループがワンストップでサポートを提供する。今回の導入について、川越氏は、「サイネージの提案内容、仕組みはもちろんですが、困った時でもすぐに駆けつけてくれるNTT西日本グループへの信頼も大きな決め手になりました」と話している。

長野氏 NTT西日本 ビジネス営業本部 クラウドソリューション部の長野翔一氏

 デジタルサイネージシステムに対するニーズは、川越氏が語るように「シンプルで使いやすいもの」から、「大画面や高画質による様々な表現ができるもの」まで実に幅広い。NTT西日本 ビジネス営業本部 クラウドソリューション部の長野翔一氏は、「お客様のニーズに合わせてご提案できるように、複数のサービスタイプをご用意しています。クラウド型のデジタルサイネージは1台からでも利用が可能ですので、自治体や公共、商業施設だけでなく、中小規模の小売店や医療機関でもご利用いただけます。今回の光BOXを利用するタイプは、簡単でシンプルかつ安価に導入できる点がお客様のニーズに合致しました」と話す。

 プレミアム館には合計16台の光BOXのSTBと同数のディスプレイが各階のエレベータホールや下りエスカレータの天井部、エントランス付近に設置されている。各フロアのSTBは館内に敷設された「フレッツ・VPNワイド」で接続、インターネット経由で配信/管理サーバーから一元的に管理する構成となる。このような最新の仕組みにより、プレミアム館におけるデジタルサイネージシステムの設置費用は、「オンプレミス型の約3分の1に抑えることができました」(川越氏)という。

システム概要 プレミアム館におけるシステムの概要

 プレミアム館へのデジタルサイネージの導入プロジェクトは、同館の建設工事が本格化した2013年11月にスタートした。この時点でオープンまで1年にも満たない短期構築を実現させなくてはならなかったが、システムの提案から構築、保守サービスまでを手がけるNTT西日本鹿児島支店は、鹿児島ターミナルビルや建設会社と密接に連携しながらスムーズに構築作業を進め、導入を成功に導いた。川越氏は、「デジタルサイネージをどこに設置すれば来館者へ的確に情報発信ができるのかといったアドバイスを含めて、NTT西日本にはきめ細かく対応していただきました」とその対応を高く評価する。

 現在、プレミアム館のデジタルサイネージでは、各種イベントやサービス、店舗独自のキャンペーンなど様々な情報を来館者へ発信している。広告制作のコスト削減に加え、情報のデジタル化により、デジタルソースから画像や映像を交えた多様なコンテンツを容易に制作でき、ネットワークを通じて各所に設置したSTBとディスプレイに手軽かつタイムリーに配信が可能となるデジタルサイネージシステム。鹿児島ターミナルビルは、このシステムをさらに活用した新しいスタイルの情報発信にも期待を寄せている。今後は、プレミアム館への導入効果を見極めながら本館全体への導入も検討していきたいとの意向だ。

お客様の期待にワンストップで応える

 NTT西日本鹿児島支店がプレミアム館へのデジタルサイネージ導入を手掛けることになったきっかけは、本館のシステムで発生した通信インフラ系のトラブルを解決したことだった。本館のシステム構築には複数の企業が関わり、サポートも各社が対応する形だったため、問題の切り分けや連絡などが煩雑だったという。これをNTT西日本が一元窓口となりワンストップで対応、トラブルを無事解決したことが鹿児島ターミナルビルに評価された。

 鹿児島ターミナルビルからプレミアム館へのデジタルサイネージ導入の相談を受けてNTT西日本鹿児島支店では当初、オンプレミス型システムを中心に検討を開始したが、機能要件とコストをふまえ、最終的にSTBに「光BOX」を活用したクラウド型のデジタルサイネージシステムを提案した。

 新システムはプレミアム館への導入に先立って、まず本館2階のエントランスに試験導入され、約1カ月にわたって信頼性や使い勝手などが検証された。鹿児島ターミナルビルは、新システムでありながらこれまでのノウハウを活かしてスムーズに利用できる点などの効果を確認し、採用を決めたという。

 NTT西日本鹿児島支店 ビジネス営業部 営業担当 担当課長の藤元幸人氏は、「新しく建設されるプレミアム館に向けてNTT西日本グループとしても新しい形で協力したいと考えていました。新システムの構築は『作品を作ろう』という気概で臨み、システムエンジニアと二人三脚で構築にあたりました」と話す。

 プレミアム館でのシステム構築はオープンが迫る夏場に行われた。連日の猛暑の中で重さが70kgにもなるディスプレイ装置を時には手作業で運ばなければならないなど過酷なものだったが、作業を担当したNTT西日本鹿児島支店 ビジネス営業部 SE担当主査の瑞穂剛史氏と同担当の田中裕之氏は、工事各社と詳細なスケジュールを調整しながら、新システムをオープンに遅れることなく完成させた。

鹿児島支店 NTT西日本鹿児島支店 ビジネス営業部 営業担当 藤元幸人担当課長、SE担当 瑞穂剛史主査、SE担当 田中裕之氏(左から)

 「新しいプレミアム館のための作品を作る」という藤元氏、瑞穂氏、田中氏の想いは、新システムの随所に反映されている。

 例えば、各階の下りエスカレータ向けに設置されたディスプレイは、当初ディスプレイと天井裏のSTBをつなぐケーブルがエスカレータを利用するお客様から見えてしまう状況だった。これに気が付いた瑞穂氏と田中氏はケーブルを収容する金具を急遽探したが、市販品では見つからない。そこで、今回の設置構造にあわせた特注品を制作し、プレミアム館のイメージを損なわない美しい外観を確保した。さらに、来館者がエスカレータで下る際にフロアの案内板をきちんと確認できるよう、来館者の視線を意識したディスプレイの配置にも細心の注意を払ったとのことだ。瑞穂氏と田中氏の強い信念と作業をサポートした藤元氏の想いが、まさに実を結んだ格好だ。

エスカレータ金具 下りエスカレータに設置されたディスプレイ(写真左)、ディスプレイ背面と天井内に設置されたSTBをつなぐ配線を隠す独自の工夫も(写真右)

 プレミアム館のデジタルサイネージは、光BOXを活用した最新のデジタルサイネージシステムの最初の導入事例となったが、現在に至るまで大きなトラブルはなく、安定稼働を続けている。信頼と安心を第一にワンストップでお客様と向き合うNTT西日本グループの強みが表れているといえよう。

さらに広がるデジタルサイネージの可能性

 このように、鹿児島ターミナルビルが導入した光BOXを活用する最新のデジタルサイネージシステムは、オンプレミス型システムにまつわる「高い」「複雑」といった課題を払しょくし、優れたコストパフォーマンスと、導入のしやすさを実現している。

 本システムは、光BOXをSTBとして利用するタイプのほかに、Wi-Fiとタブレット端末を用いた手軽な情報発信が可能なタイプから、4Kの高精細データを表示可能な大型ディスプレイを用いた本格的なタイプまでを用意しており、幅広いユーザーニーズに対応できる柔軟性も特徴だ。手軽に導入できるだけでなく、情報を提供する場所や内容などをユーザーが必要に応じて容易に操作できる点もクラウドサービスならではのメリットだといえる。

 デジタルサイネージを活用した情報発信は、今後様々な業種や規模の店舗での販促活動、街頭やイベントでの情報伝達など多様なシーンにおいて、ますます不可欠かつ重要な手段となっていくのは間違いないだろう。さらには、ネットワークを介してシステム側で利用者の求める情報を把握し、的確な情報を利用者へタイムリーに提供したり、O2Oサービス等との連携により映像や音声なども交えた利用者とのインタラクティブなコミュニケーションを図ったりすることで、利用者にとってより満足度の高いサービスも可能になる。都市や街に新たな価値を創造してくれるスマート光戦略を推進するNTT西日本グループのソリューションのこれからにぜひ注目したい。

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提供:西日本電信電話株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年3月17日