Special
» 2015年03月13日 13時00分 UPDATE

富士通「ETERNUS」が対応:仮想化環境のストレージ運用の課題を解決する「VVOL」とは何か?

多数の仮想サーバを運用する企業ではストレージの制約から、期待通りのパフォーマンスを得られない、あるいはバックアップなどの運用が煩雑だといった課題を抱えている。その解決として注目されるのが、ヴイエムウェアの「vSphere Virtual Volumes」(VVOL)だ。ITmedia エンタープライズ主催の勉強会ではVVOLへの対応をいち早く表明した富士通をはじめ、ストレージの最新動向やVVOLが提供する価値、ユーザーによる先行検証の結果などが紹介された。

[PR/ITmedia]
PR

 ITmedia エンタープライズ編集部主催の勉強会「VMwareの“ボリューム仮想化技術”を使った最新ストレージ運用術とは」が行われた。この勉強会は、仮想化環境のストレージ運用を取り巻く様々な課題の解決に向けてヴイエムウェアが新たに提供する「vSphere Virtual Volumes(VVOL)」にフォーカスしたものだ。

 これまでSANストレージを用いた仮想化環境の運用では、バックアップの難しさやパフォーマンスの低下といった問題が付きまとっていた。VVOLは、ストレージシステムが仮想マシンを認識してアプリケーションの視点による運用の自動化を実現する。勉強会ではVVOLへの対応をいち早く表明した富士通や、VVOLの評価検証に取り組むBSNアイネット、また、IDC Japanおよびヴイエムウェアから、VVOLがもたらすメリットや検証結果、ストレージの最新動向や今後の方向性が紹介された。

仮想化/クラウド時代に合致したストレージ投資とは?

森山氏 IDC Japan ストレージ/サーバー/IPDS/PCsグループディレクター 森山正秋氏

 まずIDC Japan グループディレクターの森山正秋氏が、仮想化とクラウド環境における国内のストレージ市場の動向やユーザーが抱える運用管理での課題を総括した。

 IDC Japanの調査によると、ストレージの投資額は仮想化/クラウド基盤整備のために2010年から一貫して高止まりを続け、2013〜2018年までの平均市場成長率はクラウド向けストレージで24.5%に到達、仮想サーバ台数は既に物理サーバ台数を上回っており、今後は仮想化環境の管理が重要な課題になる。

 こうした状況を受けて森山氏は、サーバ仮想化や仮想デスクトップ基盤を利用する企業の多くが「I/Oボトルネック」「災害対策」「データ保護」「データ量の増大」などをストレージ管理の課題に挙げていると指摘する。その対処において同氏は、「新技術の採用」が必要となることを強調した。「ストレージ環境の抜本的な改善、さらに既存資産の延命を両立するためにも、従来とは一線を画す新技術の活用が求められている」(森山氏)

 新技術の代表例が、フラッシュストレージやSoftware-Defined Storage(ソフトウェア定義のストレージ)である。フラッシュストレージに対する期待はI/O性能の飛躍的な向上、Software-Defined Storageでは新たなストレージの提供形態による運用管理/ハードウェアコストの大幅削減が見込まれている。IDCの調査でも両技術を採用した製品市場は立ち上がり始めており、今後の普及も確実視されている。

 これらの新技術を取り込む上で森山氏がポイントに挙げるのは、「判断基準の見直し」だ。単なるTCOでは捉えきれないビジネスへの貢献度、また、コストあたりのIOPSなどが新たな判断基準の候補になるという。

 「技術革新によって、今後はハイブリッドクラウドやSoftware-Defined Data Centerなどへの対応が求められてくるだろう。IT投資の効率性を高めるためにも、将来的なロードマップを基に判断していただきたい」と森山氏。将来を正しく展望できれば、選択した新技術がもたらす成果もそれだけ大きくすることが可能なのだという。

ポリシーでストレージの配備が簡単に

荒木氏 富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 シニアディレクター 荒木純隆氏

 富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 シニアディレクターの荒木純隆氏は、VVOLの具体的な機能とその利用を通じたメリットを解説した。

 荒木氏によれば、VVOLの最大の特徴は、1つのストレージボリュームに複数のVMDK(Virtual Machine Disk)を配置しなければならないという複雑な設計やそれに紐付く煩雑な従来の運用を大幅に簡略化できることだという。具体的には、VVOLでは1つのVMDKに対して1つのストレージボリュームを割り当てていく。設計が非常にシンプルになり、運用ポリシーについても仮想マシンごとに必要な機能を定義するだけで済む。

 そのメリットは明らかだ。仮想マシンの運用では、従来はバックアップなどのサービスレベルがボリュームごとに決まるため、性能やバックアップ要件に照らして複雑なボリュームの配置設計が必須だった。だが、VVOLではその縛りから解放される。「VVOLによってストレージ構造が論理的に簡略化される。設計の手間が大幅に削減できるようになった」(荒木氏)

 その結果、導入時の作業負荷も大幅に軽減される。ストレージを配備する時に必要な作業は、ストレージプールを作成するのみで、ボリュームの分割といった手間が一掃される。LUNのマスキング作成も、プール作成時の1回だけで済む。このように作業が簡素化されるため、VMwareの管理者はvCenterから仮想マシンを作成するのと同時にストレージポリシーを設定するだけで、必要なシステム環境をすぐに展開できる。運用面でもこれまでボリュームごとに行っていたバックアップも、ポリシーに基づいて仮想マシン単位できめ細かく行えるようになり、リストアの手間も削減される。

 富士通ではストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX S3」シリーズなど、VVOLの運用に最適な製品をラインアップしており、独自の工夫も取り入れるとのこと。例えば、物理障害におけるデータの保全性を高めるべく、仮想マシンのスナップショット取得以外にクローン(完全な複製)を取得する機能も提供、万一の事態にも瞬時にリストアも可能だ。

 荒木氏は、「仮想化の普及で基幹系システムも稼働させたいとのニーズが着実に高まっており、ここでもVVOLは非常に有効な技術だ。従来型の運用の壁を打破する“切り札”とも言える」と述べている。

検証からみたVVOLの可能性

坂田氏 BSNアイネット データセンター事業部 マネージャー 坂田源彦氏

 VVOLの有用性を示してくれたのは、BNSアイネット データセンター事業部 マネージャーの坂田源彦氏だ。

 同社は中越地震や豪雨などの自然災害に直面してきた新潟県に本拠を置く。そのため災害を意識したデータセンター間連携などに取り組んできた。

 同氏によれば、データセンターをまたぐレプリケーションにおいては「時間」が課題になっていたという。そのため同社では、富士通と共同で2014年8月からVVOLの効果について実証を進めている。

 バックアップでの効果を把握できるよう、実証ではvSphere 2015βとvSphere 2015RC を利用し、VVOLのデータストアと従来のVirtual Machine File System 5(VMFS5)のデータストアを用いて検証している。

 坂田氏によれば、まずスループットに関しては最新のファームウェアを適応するごとに、VVOLがVMFS-5とほぼ同じか、それ以上のレベルに向上していることを確認した。「中でも『スナップショットあり』の条件での優位性が認められた」(坂田氏)という。

 また、VVOL環境での仮想マシンの性能やリソース状況などを確かめるべく、vRealize Operations 6(vR Ops 6)も検証している。その結果、VVOLではストレージの状況がより可視化され、操作性の面でVMFS-5とほぼ変わらないことも確認された。

 「VVOLによってユーザーは、新たな知識の習得が必要になるが、ストレージ管理の手間が削減されることによるメリットは大きい。今後はSANに加えてiSCSIへの対応も予定していると聞く。仮想マシン別のQoSやバックアップ機能を注目しており、今後Site Recover ManagerなどのDRソリューション製品と連動するようになれば、さらに使い勝手が向上するだろうと期待している」(坂田氏)

仮想化の先にある世界とは?

桂島氏 ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 桂島航氏

 セッションの最後は、ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャの桂島航氏が、同社が提唱するアーキテクチャ「Software-Defined Data Center(SDDC)」によるITシステムの未来像を示してくれた。

 桂島氏は、SDDCを提供する狙いを「サーバやストレージ、ネットワークを含めた仮想化によるプライベートやパブリックを問わない『One Cloud』の実現」と解説した。そのSDDCの中核となるコンポーネントが、2月に発表したVMware vSphere 6であり、650以上の新機能が追加されている。中でも「Software-Defined Storage」を実現する新機能の目玉の1つが、VVOLというわけだ。

 VVOLは「T10標準」に準拠することで、FCやiSCSI、NFSなどのストレージI/Oのプロトコルを利用できるようにしており、既存環境との極めて高い親和性が実現できている。

 「VVOLは29社のパートナー企業による業界全体の取り組みになる。ネットワーク仮想化のVMware NSXや、vRealize Automationなどを含め、ポリシーによるオンデマンド型のサービス提供を可能にするSoftware-Defined時代のプロビジョニングを実現していく」(桂島氏)

 また、VMware vSphere 6では、ミッションクリティカルな業務アプリケーションやデスクトップ仮想化のほか、ビッグデータ分析のようなスケールアウト型のアプリケーションやOpenStackなど、広範なアプリケーションのプラットフォームとしてvSphereを利用できるようになった。

 このほかにも「Long-Distance vMotion」では、応答時間が最大100ミリ秒までの長距離でライブマイグレーションを可能にしている。これは東京とシンガポール間に匹敵し、海外のデータセンターに仮想マシンを移動させてビジネスを継続させることが実現する。

 桂島氏は、「ITの運用効率化に向けたセルフサービスの実現を目指しており、Software-Defined Storageはそのために必須なもの。パートナー企業とのエコシステムを通じて、今後も継続して企業を支援していきたい」と締めくくった。


 VVOLは2月に正式発表されたばかりだが、ストレージの運用に日々携わるIT部門からの期待は非常に大きく、平日午後6時のスタートにもかかわらず、会場を埋め尽くす参加者が集まり、最後まで講演内容に聞き入っていた。VVOLに対応したストレージはパートナー29社から順次リリースされる予定だ。中でも富士通の取り組みは非常に早く、VVOLのメリットをいち早く提供しようとしている同社の取り組みに注目したい。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日