ビジネスを取り巻く環境がめまぐるしく変化し、企業はIoTやビッグデータ、人工知能といった新たなトレンドへの対応を迫られている。プロジェクトにスピードと品質が求められる中、プロジェクト管理は今までの方法では通用しなくなっている。
ビジネスの世界は今、めまぐるしい変化の中にある。IoTやビッグデータ、人工知能といった新たなトレンドが次々と登場し、企業が“いち早く対応しよう”としのぎを削っている。
こうした競争に勝ち抜くため、業務の現場に求められているのは、変化に即応できる「スピード」でプロジェクトを動かすことだ。しかし、実際のプロジェクトの現場は、こうした時代の変化に対応できているだろうか。
プロジェクトの理想は「短期間で質の高い成果を上げる」ことだが、いまだ“表計算ソフトによる管理”と“メールを使った情報共有”に足をとられている企業が多いのが実情だ。
プロジェクトには予算や工数、スケジュール、タスク、品質など管理すべき項目がとても多い。これらの要素を表計算ソフトとメールで管理しようとして、こんな状態に陥ったことはないだろうか。
定例会議でプロジェクトの変更が起こるたびにメンバーの予定と作業の進捗を確認し(半日から1日つぶれる)、必要な情報を膨大なメールの中から探し出し(2〜3時間がつぶれる)、変更を反映させるために表計算ソフトのガントチャートと格闘し(半日から1日つぶれる)、変更が伝わったかどうかを確認する(半日から1日がつぶれる)。
そんなフローがプロジェクトの終了まで延々と繰り返され、本来、注力すべき“品質の向上”のための施策に手が回らなくなってしまった――。
プロジェクトマネジャーの経験者なら、一度や二度はこんな状況に陥ったことがあるはず。いかに多くの時間が情報伝達や共有、合意、状況把握のために“ムダに”費やされているかが分かるだろう。これでは急な変更が起こった時、素早く対応できるはずもない。
プロジェクトマネジャーが無駄な作業に追われていると、品質チェックがおろそかになるのも大きな問題だ。それがプロジェクトの質の低下を招き、手戻りの頻発でスケジュールの遅延につながり、ひいては赤字プロジェクトになる――という悪循環に陥ってしまう。
こうした、従来型のプロジェクト管理がもたらす課題の解決策として注目を集めているのが、専用のプロジェクト管理ツールを使う方法。世の中には多種多様なプロジェクト管理ツールがあるが、「高価な商用ツールは導入が難しい」「RedmineやTracのようなオープンソースは使いこなす自信がない」という企業にお勧めなのが、豪アトラシアンのプロジェクト管理ツール「JIRA」だ。
JIRAは、プロジェクトのメンバーや工数、スケジュール、タスク、資料、進捗、品質などの情報を1カ所に集約することで、情報の修正や共有に掛かる時間や手間を大幅に軽減できるソリューションだ。
特徴は「チケット駆動」というアプローチ。これは、プロジェクトで発生する課題をチケットに起こしてから作業することを原則とし、チケットを中心にプロジェクトを管理するという考え方に基づいている。
JIRAのダッシュボードを開くと、「未解決チケット」が目に入る。これは、プロジェクト内の未着手、あるいは進行中の残課題を示すものだ。メンバー別、ステータス別などでフィルタでき、プロジェクトマネジャーはさまざまな角度からプロジェクトの状況をチェックできる。メンバー間の情報共有もダッシュボードを通じて行えるので、プロジェクトマネジャーは逐一報告を受けなくても最新の状況を確認することが可能だ。
アトラシアンは、プロジェクトについてメンバーが議論しながらコンテンツを深化させ、ナレッジとして蓄積する手助けをするツール「Confluence」も提供している。
ワープロソフトと同じ感覚でコンテンツを作成でき、そのコンテンツには「いつ、誰がどこを編集したか」が分かるよう、全ての編集履歴が残る。コメントを残して議論したり、添付ファイルのバージョンを管理したり、添付ファイルの内容も含めて全文検索したり――といったことが可能だ。
時短や効率化につながるプロジェクト管理法として、アトラシアン製品の販売を手掛けるリックソフトが推奨するのが、「進捗・運用管理にJIRA、情報共有にConfluenceを組み合わせて使う」方法だ。
JIRAでチケットを更新すると、JIRAのダッシュボードやWBSガントチャート上の情報も連動して変わるとともに、Confluenceのコンテンツにも自動で反映される。
例えば、チケットのステータスを「解決済」にすると、WBSガントチャートの進捗率は100%になってJIRAのダッシュボードの未解決チケット一覧から消え、Confluenceのコンテンツも連動してステータスが更新される――といった具合だ。
実際にJIRAとConfluenceを導入することで、コミュニケーションのムダが減り、意思決定のスピードが上がった企業も多い。
旅行誌「じゃらん」やクーポン誌「HOT PEPPER」などの出版・コンテンツ事業を運営するリクルートライフスタイル。同社でAtlassianツールの管理者をしている梶原成親さんは、意思決定の迅速化とコンテンツの正確性・信頼性の向上を目指してJIRAとConfluenceを導入。プロジェクト内でのメールのやりとりを禁止し、全ての情報をJIRAとConfluenceに集約することで、会議に費やす時間が8分の1に減り、プロジェクトメンバーの生産性を大幅に向上させることに成功した。
不動産・住宅情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーは、プロジェクトに参加する営業、企画、Webデザイナー、コーディング担当者の意思統一ができず、合意形成までに手間と時間がかかるという課題を抱えていた。開発基盤担当である山下芳生さんと吉田拓真さんはJIRAとConfluenceを導入することでコミュニケーション基盤や開発基盤を標準化し、開発の生産性を高めることに成功した。
プロジェクト管理専用ツールの導入は、企業にとってハードルが高い面がある。コスト削減が叫ばれる中、新たなツールを導入するよりも、いつも身近にあってすぐ使える「表計算ソフト」や「メール」を使い続けてしまうのは無理からぬことだ。
しかし、考えてみてほしい。これまでのツールを使い続けることで、どれだけ“プロジェクトの本筋と関係ない”作業に時間やリソースを取られているか、を。こうした作業にかかるリソースや時間、手間をコストに換算すると、どうなるだろう。
“意識しないと見えない”ムダの数々は、チームを疲弊させ、プロジェクトに悪影響を及ぼす。企業間の競争が激化している今だからこそ、企業にはプロジェクト管理フローの見直しと運用の改革が求められている。
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提供:リックソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年12月15日