今、EDIが転換期を迎えている。ビジネス環境や技術に変化の波が押し寄せ、対応を迫られつつあるのだ。SaaS型EDIを提供するTISは、サービス刷新を決断。直面していた課題を解決したのは、無停止稼働を実現するデータ・アプリケーションの最新エンタープライズ・データ連携基盤「ACMS Apex(エイシーエムエス エイペックス)」だった。
EDI(Electronic Data Interchange、電子商取引)は、電子化されたビジネスデータの交換手段である。一定の取引ボリュームが恒常的に発生する企業にとって欠かせないテクノロジーだが、ここに来て大きな変化の波が幾つも同時並行的に押し寄せていた。
1つ目はビジネス環境の変化だ。中でも緊急性の高いのは、セキュリティ要件の高度化である。近年、標的型攻撃などセキュリティ脅威が急激に増大しており、企業は警戒心を高めていた。
また、多くの企業がDR(Disaster Recovery、災害復旧)対策に敏感になっている。実際、日本では東日本大震災、熊本地震など大規模な自然災害が発生しているだけに、EDIのみならず、重要なシステムには強力な冗長化を求めるようになっていた。
2つ目は、データ交換環境の変化である。これまでEDIではCMT(cartridge Magnetic Tape)と呼ばれる磁気テープも活用されてきた。しかし、ベンダーがサポート終了を発表しており、迅速にその代替手段を確保しなければならない。
3つ目としては、EDI環境そのものの変化がある。主流だった通信機能の一つが消滅してしまうのだ。2020年度後半、NTTのINSネット(ISDN)ディジタル通信モード終了が予定されており、これを利用する全銀プロトコルが使えなくなる。
インターネットEDIは、このような変化に包括的に対応できる有力な回答というわけだ。
EDIサービスの第一人者的存在であるTISは、こうしたEDIの変化にいち早く対応してきた一社だ。2011年からSaaS型EDIサービス「TIS EDI Ondemand Service by ACMS」(以下、TEDIOS:テディオス)をリリースし、これまでに製造、金融、流通、自動車、石油などの業種で大規模なEDI案件を幾つも軌道に載せてきた。
同社のEDIエンジンは、国内市場で約4割のマーケットシェアを持つデータ・アプリケーション(以下、DAL)の「ACMSシリーズ」で、TEDIOSの採用を検討する企業にとって大きな安心材料だった。今日、SaaS型EDIのニーズは着実に増加しており、今後さらにビジネスの裾野を広げるためにも、今こそTEDIOSを刷新すべきだと同社は判断した。
TISが日々、TEDIOSを運用する中で、また導入企業からの声を聞きながら、実感していた要件には以下のようなものがあった。
無停止メンテナンスとは、サーバを止めることなく、ソフトウェアにパッチを当てたり、バージョンアップを施すことだ。TIS プラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 プラットフォームサービス第2部 主査 棚田俊之氏は次のように語る。
「多くの企業にTEDIOSが採用されるにつれ、サーバの計画停止が困難になっていました。機能向上のためソフトウェアのバージョンを上げたいと思っても、一社でも利用されている企業があれば止められません。今後さらに顧客ボリュームが増えることを考えれば、サーバを止めずにメンテナンスできることは必須でした」
一方、TIS プラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 プラットフォームサービス第2部 主査 木村真氏は、次のように語る。
「さらなる性能強化も重要なポイントでした。CMTのサポート終了で今後はこれを当てにすることができなくなります。EDI基盤上で大容量データ伝送、リアルタイムデータ連携を実現する必要がありました」
これらの要件を満たしたのは、DALの最新エンタープライズ・データ連携基盤である「ACMS Apex」の新機能の数々だった。
ACMS Apexは、管理ノードおよび分散ノードに必要な機能ブロックを柔軟に分散配置できる仕組みになっている。そのため、サーバを全停止することなく、バージョンのアップグレードやサーバ切替を容易に行える。
また、管理ノードに障害が発生したとしても、代替ノードへの自動切替によって稼働継続が可能である(図1)。
データ保護対策の観点では、PCI DSSに準拠している。これはクレジットカードに関する、グローバルで最高水準のセキュリティ標準で、この標準に準拠することで高セキュリティ機能を実現している。
さらにACMS Apexは、アーキテクチャを大きく変革しながらも、既存のACMSシリーズを大きく上回る処理性能を実現していた。
インターネットEDI対応という点でも、この新製品は国内外の主要なEDI標準通信プロトコルを提供。Web、メール、HTTP、サービスなど非定形のデータ連携にも対応予定で、ワンパッケージで実現できるため、全銀プロトコル終了を十分にカバーすることができる。
TEDIOSの後継サービスを企画検討中にACMS Apexの機能を検証したTISは、これを高く評価。新しいEDIエンジンとして採用することを決定した。
「TEDIOS-II」と名付けられたTISの次世代SaaS型EDIサービスは、「ACMS Apex」による機能強化が奏功し、正式リリースを待たずに大手企業での新規採用が決定した。現在、同社のデータセンターに基盤が整えられ、利用に向けた接続テストが始まっている。
この企業が利用で期待しているのは、大幅なコスト削減、大容量データ伝送、インターネットEDI対応。ビジネス、IT両面のニーズに応えられる点が評価され、導入に至った。この企業以外にも営業要員が足りないほど多数の引き合いが寄せられているといい、文字通りビジネスが加速している。TIS プラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 プラットフォームサービス第2部 シニアエキスパート 仲矢靖之氏はこう語る。
「『ACMS Apex』は、日本のEDIを知りぬいた製品です。日本の企業には、例えば高度なSCMに必要な時間厳守の概念などがあり、新機能のみならず、それらが設計思想に組み込まれているという点で、外資系を含め、この領域でわれわれに追随できる陣営はないと自負しています」
同社では今後、既存のEDI市場のみならずIoT、クラウドサービス間連携など新たな市場開拓も視野に入れており、直近3年間で10億円の売り上げ拡大を見込む。まさにACMS Apexの採用が、サービスのさらなる発展の大きな一手となったのである。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年6月24日