日本で普及が遅れるIoT、ソフトバンク流「成功の方程式」とは?

既存のビジネスモデルを大きく変革する可能性として、IoTへの関心が急速に高まっている。しかし、国内企業の大半は足踏みを続けており、活用に成功している企業は少数だ。IoTの導入に企業が苦労しているのはなぜなのか。そして課題克服に向け、果たしてどんな対策が求められているのか。

» 2016年11月30日 10時00分 公開
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政府の成長戦略にも盛り込まれた「IoT」

 あらゆるモノがインターネットにつながることで、産業や社会に大きなイノベーションをもたらすと期待されている「IoT(Internet of Things)」。政府の成長戦略の柱である「第4次産業革命」にIoTの活用が重点項目として盛り込まれたこともあり、普及に向けた機運は盛り上がる一方だ。

 IoTは、センサーなどのIoTデバイスから収集したデータを活用することで、企業のビジネスモデルを劇的に変える可能性を秘めている。画期的な取り組みが成功すれば、多大な先行者利益を得られる可能性も高い。しかし、IoTは現段階では多くの企業にとってなじみが薄く、切迫感を持って受け止められていないのが現実だ。だからこそ、IoTのメリットやビジネスに与える影響をしっかりと把握しておくことが重要だろう。

 リックテレコムが11月8日に開催した「IoTビジネスカンファレンス」は、IoTのビジネス活用に焦点を当てたカンファレンスだ。そこに登壇したソフトバンクの法人事業統括 法人事業開発本部 事業開発第1統括部 IoTコンサルティング1部で部長を務める鴻池大介氏は、講演の冒頭でこう訴えた。

 「IoTの本質は、各種デバイスやセンサーなどから収集されるデータの、いわば“掛け合わせ”による新たな価値創造にあります。その実現の道のりは決して平たんではありませんが、苦労の見返りは決して小さくないのです」(鴻池氏)

可視化から「予測」「自動化」の段階へ

photo ソフトバンク 法人事業統括 法人事業開発本部 事業開発第1統括部 IoTコンサルティング1部 部長 鴻池大介氏

 鴻池氏によると、IoTへの取り込みで成功を収めた企業は、国内でも少ないながら登場し始めているという。その例として、自動配車を実現したタクシー会社を挙げた。

 同社では従来、顧客から電話を受け、センターから各ドライバーに人手で配車を指示していた。それが現在は、気象データとGPSによるタクシーの位置情報を組み合わせて分析し、天候に応じて最も多く乗客が見込める場所を特定するとともに、最寄りのタクシーに移動の指示を出すようになった。“需要の先取り”ともいえるこの取り組みで、同社の売り上げは確実に増加しているという。

 また、ソフトバンク自身も南アフリカの保険会社であるディスカバリーや住友生命保険相互会社と協業し、保険業における新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる。体組成計やウェアラブル端末で収集した個人の生体データと活動量データなどを、健康診断データを突き合わせて分析した結果を基に、日々の生活習慣や健康状態に応じた生命保険を的確に提供するというものだ。

photo ソフトバンクも住友生命やディスカバリーと協業し、健康状態に連動した生命保険商品を開発しているという

 「自動販売機やガスメーターなどでは、以前から売り上げや異常の有無などの可視化を目的とする、機器のオンライン化が進められてきました。ただし、IoTがそれらと一線を画すのは、特定の目的で収集したデータを、他の社内外のデータと交えて分析して予測を導き出し、各種の最適化や自動化にまで段階的につなげられる点にあります。しかも、IoTの活用法はアイデアの数だけ存在するのです」(鴻池氏)

 製造工程の最適化や、提供した装置の利用状況の可視化、自動販売機によるおすすめ商品のレコメンドなどを通じたビジネス・トランスフォーメーション――。これらの裏にIoTがあるという。

IoTの活用を阻む数多くの“壁”

 その一方で、IoTの企業利用は大企業でもまだ本格化していないのが現実だ。IDC Japanが従業員1000人以上の企業に行った調査でも、「IoTの導入を検討中」もしくは「検討に未着手」と答えた割合は合わせて約半数を占め、「部分導入」という企業も約3割に上った。本格的な活用にまで進んだ企業は、わずか1割強にとどまる。

 それはなぜか。理由の1つが、データ活用の視点が欠けたまま、必要なデータを整備しきれていない状況があると鴻池氏は説明する。製造業など、業務を通じて生まれる多様なデータの蓄積を継続して進めている企業は多いが、より高度なデータ活用を進めるためには、既存のデータでは不十分なことがほとんどだという。

 例えば、産業機器の故障予測を行うには、ヒンジの摩耗や連続稼働時間といったデータが必要となるが、「事前に明確な目的を持っていなければ、そうした細かなデータの収集は、手間やコストの点で一般には行われません。その結果、一見すると社内に膨大なデータがありながら、活用まで至らないことが大半なのです」(鴻池氏)

 また、サンクコストの問題もあるという。既存の仕組みのIoT化はシステム刷新に直結する。そのため、過去の投資保護を目的とした社内の反対によって、プロジェクトが頓挫するリスクも高いそうだ。

 さらに、技術的な難関も待ち受けている。IoTの仕組みは、IoT機器やネットワーク、サーバ、クラウドといった広範な要素で構成され、それらの間でデータが循環するよう、各要素の技術要件を厳格に満たす必要がある。ただし、それらの中には無線センサーやIoT向けネットワークなど、これまで扱った経験のないものも多く、「自社単独による取り組みでは、最適な仕組みの整備と維持が極めて困難なのです」と鴻池氏は指摘する。

photo IoTの導入にはさまざまな技術的な課題もある

ビジネス開発からIT運用までを支援する「IoT as a Service

 IoTの円滑な普及に向け、これらの課題への対応は不可欠だが、通信キャリアであるソフトバンクは「IoT as a Service」という戦略を掲げている。そこに込めた思いは、ネットワークからデバイス、サービスまで、IoTを構成するあらゆる要素を一貫して提供することで、個々の企業に最適化されたIoTソリューションを実現することである。

 「IoT化に着手するには、付き合いのなかった製品ベンダーの発掘や交渉が求められますが、手間や時間などの調整コストは決して無視できる金額ではありません。その点を踏まえ、当社が窓口としてSIerやベンダーとの調整役を果たすことで、いわばIoTソリューションの完成品をサービスとして迅速にお届けするわけです」(鴻池氏)

 「IoT as a Service」では、まず、ソフトバンクのコンサルティングによる企業ニーズの顕在化を起点に、企業と二人三脚でIoTビジネスの開発を目指す。そこでのソフトバンクの強みは、1990年代から積み重ねてきたM2M/IoTシステムの豊富な導入経験である。

 「当社の提案はテレマティクスやスマートグリッド、スマートメーター、医療などの幅広い分野で受け入れられてきました。その間に獲得したノウハウは、ビジネス開発を支援する上で役立ちます」(鴻池氏)

photo ソフトバンクはユーザー企業とSIer、アプリベンダー、デバイスベンダーの間に立ち、調整役を果たす

 また、データによる価値創出では、取得したデータをどのデータと掛け合わせるかがカギを握る。そこで、他業界の第三者を議論に巻き込み、アイデアをブラッシュアップする独自のプロジェクト「SoftBank Design Program」も用意した。

 その後、固まったアイデアを基に、機器ベンダーやアプリケーションベンダー、デザイン会社、SIerをソフトバンクが取りまとめて開発を行い、運用まで面倒を見るというのが、サービスの概要である。

 「コンサルティングを通じて、IoTの業務利用に必要とされるデータを明確化でき、また、費用対効果の面でのIoT化の価値が明らかになることで、そのメリットを社内に強く訴求できるようになります。こうした総合的な支援によって、IoTの経験に乏しい企業でも、安心して活用に向けた最初の一歩を踏み出せるようになるのです」(鴻池氏)

独自のアーキテクチャで多様な環境に対応

 確実かつ安全なサービス提供のために、ソフトバンクではIoTソリューションのためのアーキテクチャにも対応している。特に、ソリューションを構成する機器間の接続性を確保するための専用プラットフォームを用意しているのは、通信キャリアならではの強みだ。

 鴻池氏は、「IoTでは機器同士でデータをやりとりするために、環境に見合った多様なネットワークを利用します。運用負荷もそれだけ高まりますが、プラットフォームで一元的に対応できるので問題を抜本的に解決でき、かつ確実な通信を実現できるのです」と強調する。ひいては、個別に開発する場合と比較して、サービス追加時の工数とコストを格段に抑えられるのだという。

photo 多様化するIoTインフラを統一して管理可能なソリューションもソフトバンクは提供している

 また、パートナーとの連携により、運用保守の効率化のための「IoTスターターキット」やAI(人工知能)エンジンなど、ソリューション開発に活用を見込めるソフトウェア製品も豊富に用意している。このうちAIエンジンは、本田技研工業株式会社や川崎重工業株式会社が進める“乗り物への感情の搭載”の研究開発にも取り入れられている。

 一方で、IoTデータのやりとりに既存の商用モバイルサービスを使う場合、1回線あたり年間で数千円のコストが発生する。この負担軽減のために、今注目を集めているのが、細切れのデータの断続送信などに最適化されたIoT専用サービスだが、ソフトバンクは既に提供を始めている。

 「今後はIoTのグローバル展開により、複数の国々でサービス利用を維持するための通信サービス側の対策が必須となるはずです。ソフトバンクは、モバイル回線をグローバルで一元管理するプラットフォームの整備を完了するなど、いち早く対応を進めています」(鴻池氏)

 顧客がIoTに何を求め、何に悩んでいるのかという顧客本位の立場から、必要とされるサービス拡充に先進的に取り組むソフトバンク。IoTの普及をけん引する企業として、存在感を高めていきそうだ。

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提供:ソフトバンク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2016年12月30日

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