グローバル展開に向くDynamics 365を“日本向け”に JFEシステムズ製会計テンプレートSIDEROS FI TEMPLATE(シデロス エフアイ テンプレート)の可能性

大企業向けERPパッケージを国内外の拠点や子会社に展開するのはコスト的に見合わない。しかし、中小企業向け製品や現地ベンダー製のマイナーなパッケージでは物足りない――。そんな悩みに適しているのがMicrosoftの「Dynamics 365」だが、1つ致命的な弱点があるという。

» 2018年02月02日 10時00分 公開
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※本記事は2026年6月に内容を一部編集、再構成しています。


 グローバルにビジネスを展開する企業が、新たに海外拠点や海外子会社を立ち上げる際、得てして問題になりやすいのが基幹システムの整備だ。

 こうしたケースでは、本社で既にSAPやOracleなどの大企業向けERPパッケージが導入されていることが多い。普通に考えれば、子会社や海外法人にも同じ製品を展開すればいいように思えるが、実際にはそれほど円滑には進まない。大企業向けERPパッケージはライセンス費用が高く、また展開にも時間がかかるため、海外拠点を迅速に立ち上げる場合には、必ずしも適切な選択とはいえない。

 また、機能が豊富である半面、本社以外の拠点や子会社、現地法人では“オーバースペック”になるケースが多く見られる。かといって、海外法人の現地メンバーにシステム導入を完全に任せてしまうと、現地ベンダー製のERPパッケージ製品が採用され、本社のガバナンスが低下する可能性が高い。

グローバル企業の拠点向けERPとして導入が進む「Dynamics 365」

 海外拠点で利用するのに過不足ない機能を備え、コストや展開の負荷も少なく、本社のガバナンスも効かせやすいERPパッケージはないのか――。こうした悩みに応える製品として、昨今、製造業を中心に採用が進んでいるのが、MicrosoftのクラウドERPの一つである「Microsoft Dynamics 365」(以下、Dynamics 365)だ。

 Dynamics 365の最大の特徴は、ERP、CRM、BIなどの、さまざまな業務アプリケーション機能がMicrosoftのクラウドプラットフォーム上でオールインワンで利用できる点にある。

 それぞれに異なる製品を選択した場合は、それらの導入からアプリケーションをつなぐためのデータ連携機能までを個別に実装しなければならないが、Dynamics 365の場合は、利用したいアプリケーションを選ぶだけで、後は自由にそれらを組み合わせて同一クラウド基盤上で利用できる。「Microsoft 365」など、同社製の他のビジネスアプリケーションとの親和性が極めて高いのもポイントだ。

 加えて、クラウドサービスならではの高いスケーラビリティを生かして、システム規模の増減にも柔軟に対応できる。ビジネスを小さく立ち上げ、その後の成長に沿ってシステムの規模も拡大していきたいという「スモールスタート」のシステム導入にも向く。もちろん、データはMicrosoftのクラウド環境で管理されるため、ガバナンスやセキュリティ、データ保護といった面の心配もいらない。

 こうした点が、「海外拠点の基幹システムを素早く、しかもきちんとした品質で立ち上げたい」というグローバル企業のニーズに見事にマッチし、製造業を中心に導入が進んでいるのだ。

Dynamics 365用の会計テンプレート「SIDEROS FI TEMPLATE」を提供

ALT JFEシステムズ 成田憲一郎氏(ERPソリューション事業本部 第2開発部 第1グループ)

 しかし、そんなDynamics 365も決して万能というわけではない。多くの国内製造企業に対して、Dynamics 365のERPソリューションを提供してきた、JFEシステムズの成田憲一郎氏は、次のように指摘する。

 「Dynamics 365は海外製品ということもあり、欧米流のビジネスプロセスにはマッチする一方で、日本特有の業務プロセスや商習慣には、標準対応していない場合もあります。特に会計業務に関しては、日本は海外と比べて極めて特殊な業務プロセスや商習慣を持っています。そのため、従来は、Dynamics 365を導入する際には、会計部分で個別の開発や調整が必要となるケースがありました。こうした課題を解消するためにJFEシステムズが提供しているのが、『Dynamics 365向け会計テンプレート SIDEROS FI TEMPLATE』(以下、SIDEROS FI TEMPLATE)です」

日本の会計業務に適した機能をDynamics 365上で容易に実現

 JFEシステムズが提供するSIDEROS FI TEMPLATEは、Dynamics 365上で日本の会計業務に必要となる機能、画面、帳票をあらかじめ実装したテンプレートだ。通常、Dynamics 365上で日本の会計業務に対応したアプリケーションを構築するためにかかる工数を大幅に削減できる。

 例えば、このテンプレートを使うと、日本の経理業務では標準的な「伝票形式による入力画面」を容易に実現できる。Dynamics 365の標準機能では提供されていない、振替伝票形式による入力画面を提供する他、Dynamics 365標準の仕訳帳とも連動できる。

 また、日本の会計処理に特有の「月次締め」といった「締め処理」にも対応するため、あらゆる月次帳票、管理帳票なども標準で含まれている。さらには、いわゆる「消し込み」などに代表されるような、買掛支払や売掛入金業務を支援する機能もカバーできる他、有償支給業務で必要となる債権債務相殺についても標準機能として対応が可能となっている。

ALT SIDEROS FI TEMPLATEで提供される機能一覧(提供:JFEシステムズ)《クリックで拡大》

 こうした機能は国産のERP製品であれば標準で提供されているが、Dynamics 365には備わっていないものばかりだ。SIDEROS FI TEMPLATEなら、上記の一覧に示されている機能に加え、国産製品に引けを取らないユーザーインタフェースも提供される。日本企業の経理部門の実務に沿った操作性を実現しているので、たとえ海外製品でもエンドユーザーの生産性が阻害される心配は一切ないのだ。

 こうして、これまで海外ERP製品の弱点であった日本特有の会計業務がカバーされることで、導入のハードルが大幅に下がるとともに、「あらゆる業務アプリケーションを、同じクラウド基盤上で利用できる」というDynamics 365のメリットが最大限に生かせるようになった。

 また成田氏によれば、グローバル企業にとって、全世界で使われているMicrosoftの製品を使うことには大きな意味があるという。

 「海外拠点や現地法人での利用を考えると、Microsoftは世界中で知名度が高いため、導入や展開に際し、現場の理解が得られやすいのです。弊社としても、海外のパートナー企業と連携して海外ユーザーに対するサポート体制を一層強化していく予定です」

Dynamics 365を基盤とした段階的な業務システム構成

 JFEシステムズは、Dynamics 365を業務システムの中核に据え、日本向け会計についてはSIDEROS FI TEMPLATEを活用することで標準機能をベースにしたERP構成を実現している。

 その上で、Dynamics 365単体ではカバーしきれない業務領域や、企業ごとの運用要件については、必要に応じて周辺システムやデータ活用基盤を組み合わせることで対応する。

 例えば、仕訳帳票や総勘定元帳などの会計データを長期保存・活用したい場合には、ペーパーレス、データ保管ソリューション「DataDelivery(データデリバリー)」と連携させることで、電子帳簿保存法や内部統制、監査対応を見据えた基盤を構築できる。

 このように、Dynamics 365を基盤としながら、過不足のない形で業務システム全体を構成できる点が、JFEシステムズの強みだ。

※本記事は2026年6月に内容を一部編集、再構成しています。

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