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» 2018年02月19日 10時00分 公開

IoT時代にオンプレミスが見直される理由 カギは「エッジコンピューティング」

あらゆる業界から注目されるIoTだが、その最新トレンドを読み解く上でのキーワードの1つがエッジコンピューティングである。黎明(れいめい)期のIoTにおいては各種センサーデータの収集から分析、インテリジェンスの提供まで、重要な全ての役割をクラウドプラットフォームが担っていた。しかし、デバイスレベルでより高度なインテリジェンスをリアルタイムに処理することが求められるようになった現在、新しいアーキテクチャへのパラダイムシフトが進行している。この変化に拍車をかけているのがエッジコンピューティングなのだ。

[PR/ITmedia]
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 クラウドは、あらゆる企業にとってビジネスで不可欠なインフラとなっている。新たな事業創出や利益拡大など自社の競争力強化の源泉となる「SoE」(System of Engagement)あるいは「モード2」(攻めのIT)と呼ばれるシステムの大半は、いまやクラウドネイティブなアプリケーションによって実現されているといっても過言ではない。

 一方、これまでオンプレミスで運用してきた「SoR」(System of Record)、「モード1」(守りのIT)と呼ばれる既存システムのクラウド移行も急ピッチで進んでいる。このトレンドは今後も間違いなく続くだろう。

 だが、クラウドプラットフォームだけでは、全てのシステム要件を満たすことはできないのも事実だ。言葉を変えれば、より効果的にクラウドを活用するためのオンプレミス側での施策があらためてクローズアップされている。

 この新たなアーキテクチャを象徴するのが「エッジコンピューティング」というキーワードである。

 製造業を例にとると、現在、多くの企業がIoT(Internet of Things)の導入に乗り出している。生産現場に配備された多様な装置や産業用ロボット、計器類などから生成される膨大なセンサーデータをクラウド上に集め、マシンラーニング(機械学習)やディープラーニング(深層学習)などの手法を用いて分析し、獲得した学習モデルをフィードバックすることでスマート工場の実現を目指すものだ。

 しかし、そこで問題となるのが学習モデルの実行環境である。リアルタイムの異常検知や故障予測、生産ラインの制御などを行う上では、各現場とクラウドをつなぐ通信のわずかな遅延や切断が致命的なネックとなってしまう。学習モデルは、工場内のデータが発生した場所のできるだけ近くで実行するのが望ましく、そのためには生産現場の要所に展開したデバイスレベルでより多くのインテリジェンスを処理する必要がある。

 もちろんこれは製造業だけの課題ではない。ネットワークがオフライン状態になったとしてもリアルタイムなレスポンスが求められる業務、あるいは厳重なセキュリティ対策など瞬時の状況判断とアクションが求められる業務は、金融や医療、公共サービスなどあらゆる業界に存在する。

 こうしたことから、クラウド活用を推進する上では、同時にエッジコンピューティングの環境を整備することが必須となっているのである。

エッジコンピューティングの3つの形態

 具体的にエッジコンピューティングはどんな形で運用されるのだろうか――。シュナイダーエレクトリック IT DivisionのStrategic Marketing Managerを務める木口弘代氏は、次の3つの形態を示す。

Photo エッジコンピューティングの3つの運用形態

 第1は「ローカルデバイス」だ。特定の目的のためにカスタマイズおよびサイジングされたデバイスで、ビジネス現場に多様なインテリジェンスを迅速かつ柔軟に配備することが可能となる。前に述べた製造業の例のようにクラウドと連携して生産現場のリアルタイム処理を支えるIoTデバイスは、まさに代表的なローカルデバイスである。

 別の例としては、クラウドストレージのキャッシュとしてオンプレミス側のアプリケーションから安定的なアクセスを支えるゲートウェイもローカルデバイスの一種となる。

 第2は「ローカライズされたデータセンター」だ。1〜10ラック程度の小規模なデータセンターで、ブランチオフィスや工場などの拠点単位での運用を想定している。オンプレミス・アプリケーションの実行を担うほか、さまざまなセンサーから生成されるデータを束ねてクラウドに送るIoTアグリゲーション、多数の装置から稼働情報を自動的に収集して状態を監視する制御ポイントなどでの運用も主な用途となる。

 そして第3が「地域データセンター」だ。10ラックを超えるデータセンターで、ローカライズされたデータセンターよりも高い処理性能を有すると共に大容量のストレージ機能を備えているのが特徴だ。

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 例えば帯域幅を大量に消費するストリーミングビデオによるワークロードはネットワークの輻輳(ふくそう)や遅延をもたらす原因となっているが、エンドユーザーのより近い場所に地域データセンターを設置してコンテンツを移動することで、待機時間の課題を解消できる。これによりクラウドサービスを提供しているプロバイダーに対して、より多くのビジネス機会をもたらす。

 ここで特に留意しなければならないのは、「ローカルデバイス」「ローカライズされたデータセンター」「地域データセンター」におけるどの形態のエッジコンピューティングにおいても、非常にミッションクリティカルなワークロードを担うことだ。

 「エッジコンピューティングの予期せぬダウンは、エンタープライズシステム全体に甚大なインパクトを及ぼすため、徹底した可用性や業務継続性の確保が必須となります」と木口氏は説く。そして「3つの形態のエッジコンピューティングを全て網羅し、無停電電源供給(UPS)やサージ保護・電圧調整機器などの電力、空調・冷却、統合されたGUI環境下でデータセンター内の物理インフラを監視・自動化・制御するDCIM(Data Center Infrastructure Management)に至るまで、一貫したソリューションを提供していることがシュナイダーエレクトリックの最大の強み」と訴求する。

物理と仮想の両環境にまたがるITインフラを電源障害から守る

 実際のところ、サーバやストレージなどのITインフラはさておき、一般的な企業のIT部門にとって、エッジコンピューティングで求められるUPSや冷却装置などのファシリティのインテグレーションを自力で行うのは難しい。

 仮にマルチベンダーでこれらのファシリティを個別に調達した場合、機器選定および相互の接続性や互換性の検証に多大な工数が割かれ、大幅な手戻りも発生し、結果として膨大な投資と時間をムダにしてしまう恐れがある。そうしたリスクを回避する意味でも、あらゆるエッジコンピューティングの形態をトータルかつシームレスにサポートするシュナイダーエレクトリックの物理インフラソリューションを採用するメリットは大きい。

 例えばある医療機関は、シュナイダーエレクトリックの統合型UPSを導入することで、それまで数十台が乱立していた小型UPSを集約。余分な電力容量をスリム化してコスト削減を図ると共に、障害発生のリスクも大幅に低減することができた。

 加えて、ITインフラと非常に相性のよい物理インフラ管理のソリューションを提供していることもIT部門にとって大きな魅力であり、エッジコンピューティングにおける運用面の作業負荷を最小限に抑えられる。

 PowerChute Network Shutdownも、そうした中で注目すべきソリューションの1つだ。落雷や災害による長時間停電など電源障害が発生または予測される場合、あらかじめ定義された手順に基づいてサーバのOSから順に安全なシャットダウンを行い、IT機器を保護するUPS管理ソフトウェアである。

 「近年、VMware VSANやNutanix ReadyといったHCI(ハイパーコンバージドインフラ)が登場し、『ローカライズされたデータセンター』をはじめとするエッジコンピューティングのプラットフォームとして使われるケースが増えてきました。PowerChute Network ShutdownはこれらのHCI製品にいち早く対応し、物理環境と仮想環境にまたがるITインフラを電源トラブルから守ります」と木口氏は強調する。

 また、エッジコンピューティングの安全性を高めるためには、それを支えるUPSなどのファシリティそのものの可用性や業務継続性を担保する必要があるが、これについてもシュナイダーエレクトリックは安心のサービス&サポート体制を整えている。

 日本国内に130カ所を超えるサービス拠点および倉庫を展開し、全国どこでも4時間以内にバッテリーを含むパーツの配送が可能。万が一の問題発生時にも、シュナイダーエレクトリック指定のエンジニアが24時間365日対応で駆け付けるという。

DCIMをクラウドベースのサービスとして提供

 さらに新しい動きとしてシュナイダーエレクトリックは、2017年9月に香港で開催されたプライベートカンファレンス「Innovation Summit 2017」において、DCIMをクラウドサービス(SaaS)として提供する「EcoStruxure IT」を発表した。2018年第4四半期から2019年にかけ、日本でも次の2つのソリューションを順次展開していく計画だ。

Photo EcoStruxure IT Expert

 まずは「EcoStruxure IT Expert」と呼ばれるサービスで、データセンターの各所から収集したデータを包括的に分析し、一元的なモニタリングを行う。ダッシュボードを実装したクライアントPCまたはスマートフォンからのシンプルな操作で、ハイブリッド環境全体の稼働状況を可視化するのだ。これによりIT部門の管理者は、データセンターの健全性および変化の傾向を詳細に理解したうえで、予防保守や故障予測、効率比較、性能評価などのアクションにつなげることができる。

 もう1つは「EcoStruxure IT Advisor」と呼ばれるサービスで、エンタープライズやエッジコンピューティングのユーザーに向けて、ビッグデータに基づいたインサイト(考察)を提供する。システムの全体最適化を目的とし、オンプレミスからクラウドまで複数サイトをシームレスにまたいだリソースプランニングや将来予測を可能とする。

 「私たちはIoT分野における、世界でもトップクラスのエキスパートであると自負しています。シュナイダーエレクトリックは、ビルディング、データセンター、インダストリー、インフラの4つの主要マーケットに向けて、パワー、IT、ビルディング、マシン、プラント、電力グリッドの6つの専門分野からエンドツーエンドのソリューションをグローバルに展開しています」と木口氏は強調。エッジコンピューティングを支えるシュナイダーエレクトリックの物理インフラソリューションは、まさにそれ自体がIoTの考え方を過去から現在まで脈々と取り入れながら拡張し、進化してきたものなのだ。

 「今後もエッジコンピューティングを含む、あらゆるITインフラに向けたソリューションを提供していきます」(木口氏)

 IoTに対応したオープンアーキテクチャ「EcoStruxure」を中核とした、エネルギーマネジメントとオートメーションのアプローチをあらゆる業界・業種に展開。幅広い企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、ますます激しく変化するグローバル経済を見据えた競争力強化に貢献していく考えだ。

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提供:シュナイダーエレクトリック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2018年3月18日

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