富士通がシンクライアント事業を強化、新ブランド「FUTRO」立ち上げ
富士通がシンクライアント製品の新ブランド「FUTRO」を発表。シリーズ第1弾となるデスクトップ型端末も発売した。
富士通は2月8日、シンクライアント製品の新ブランド「FUTRO」(ヒューロー)を発表した。同シリーズの第1弾として、デスクトップ型シンクライアント端末「FUTRO S900」を同日から販売する。
FUTROシリーズは、ドイツに本社を置く富士通テクノロジー・ソリューションズと富士通が共同開発。日本と欧州を中心に、グローバルで販売およびサポートを行っていくという。「FUTRO」は“Future”と“Road”を組み合わせた造語で、「新しい道を切り開くクライアントとして命名した」「ベストなシンクライアントを提供する富士通の意気込みを示す」(富士通の齋藤邦彰 執行役員)としている。
齋藤執行役員は、同社がシンクライアント事業に注力する理由として「ユーザーがシンクライアントに持つ期待値と、実際の技術要件のギャップが縮まってきた」と説明。具体的には、BCM(事業継続管理)や外出先での利用、クライアント側にデータを残さないセキュリティ対策などを実現したいというユーザーのニーズを満たせる水準まで、シンクライアントを支えるクラウドサービスや仮想デスクトップサービスが進展したと説明している。
富士通の競合優位性は、端末やクラウドサービス、インフラ環境などを「フルスタックでグローバルに提供する」(齋藤執行役員)ことという。これにより、万が一システムに故障などがあった際も細かくサポートできるとしている。
第1弾製品として市場投入するFUTRO S900は、OSにWindows Embedded Standard 7 Service Pack 1を搭載したデスクトップ型シンクライアント。ディスプレイインタフェースを2ポート搭載し、2台のディスプレイを用いたマルチモニタ環境を簡単に構築できるようになっている。
また、手のひら静脈認証や指紋認証に加えてICカード認証など、さまざまな個人認証機能をオプションで提供する。さらにUSBやシリアルなどの各ポートの使用を制限する機能を搭載し、外部記憶端末などを通じた情報漏えいを防止できるとしている。
CPUはAMD G-T44R(1.20GHz)、メインメモリは2Gバイト、ストレージは8GバイトSSD。インタフェースは6基のUSBポート、LAN、DVI-I、DisplayPort、PS/2×2。対応システムはCitrix XenDesktop 5.5、Citrix XenApp 6.5、VMware View 5.0、リモートデスクトップ接続 7.1。無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)を選択可能。
本体サイズは約95(幅)×179(奥行き)×266(高さ)ミリ。重量は約1.3キロ。価格は4万9000円(税別)から。2月下旬に出荷を開始する。
齋藤執行役員によれば、同社のシンクライアント端末は、保険業界などを中心にグローバルで1000台規模の導入が増えているという。今後はオフィス内での作業が多いコールセンターなどに向けてFUTRO S900、外出先での商談が多い保険業界などに向けてノートブック型シンクライアント端末「TC8390」「TC8270」を訴求していき、2012年3月期中に富士通のグローバルでのPC販売台数(販売予想は630万台)の3〜4%をシンクライアント端末にすることを目指す。
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