「Office 365」を激変させる3つのポイント(前編)(1/2 ページ)
クラウド化したOfficeが今、大きく変わろうとしている。WordやExcel、PowerPointといったおなじみのツールが、他のツールと連携することで、これまでとは異なる価値を生むものになっているのだ。新たな機能は業務現場とIT部門の運用管理にどんな変化をもたらすのか。
私たちが普段、なにげなく使っているマイクロソフトのWordやExcel、PowerPointといったおなじみのツール。これらのアプリがクラウド化し、ほかの機能と連携することで、もっと便利に使えるようになることをご存じだろうか。
ビッグデータ、人工知能、BI(Business Intelligence)など、さまざまなトレンドを飲み込んで、クラウド版Officeの「Office 365」はどんな進化を遂げ、人の働き方はどう変わるのか――。日本マイクロソフトの業務執行役員で、アプリケーション&サービス マーケティング本部本部長を務める越川慎司氏に聞いた。
モダンワークスタイルを実現する3つのポイント
登場から約4年半が経過した今、企業顧客の約半分(社数ベース)が、従来型のボリュームライセンスから移行するなど、「順調にマイグレーションが進んでいる」(越川氏)というOffice 365。Word、Excel、PowerPointといったおなじみのソフトから、チームの共同作業に役立つクラウドストレージ、コミュニケーションツール、サーバ環境まで、Officeシステムのあらゆる構成要素をSaaSで提供しており、それぞれの機能を組み合わせて使うことで、より効率のよい働き方ができるようになるという。
そんなOffice 365のエンタープライズ向け新プランとして登場したのが「E5」。最も多くの機能を標準で利用でき、最新機能も搭載されたいわば“Office 365の全部入り”だ。越川氏は、このE5の特長を見ることで、「マイクロソフトが目指す、ビジネスツールの未来が分かる」と話す。
最新のOffice 365を特徴付ける機能強化ポイントは、「コラボレーション」「セキュリティ」「インテリジェンス」の3つだ。
コラボレーション機能は、仕事に関わる人と人とのコミュニケーションや共同作業を支援するもので、これまでのパッケージ版Officeでも継続的に強化されてきた。Office 365でも、ワークスタイル改革の中核を担うものとして、さらに改善が図られているという。
「“高い成果を生むプロジェクト”の特長について、日本マイクロソフトの社内で立ち上がった多数のプロジェクトを元に分析を行ったところ、高く評価されたプロジェクトには、“より多くの部門の人が、よりスピーディに関わっている”傾向が見られました。メンバーがスムーズにコラボレーションできる環境が、ビジネスの成功につながると考えられます」(越川氏)
Office 365にはドキュメントポータルの「SharePoint Online」、クラウドストレージの「OneDrive for Business」、社内ソーシャルツールの「Yammer」といったコラボレーションツールが含まれており、最新版には「Planner」と呼ばれるグループ内でのタスク管理ツールも新たに追加している。
また、従来「Lync」として提供されていたユニバーサルコミュニケーション機能については、最新版で「Skype for Business」と名を変え、機能を強化。ほかにもビッグデータを分析して可視化し、共有する「Power BI Pro」、Office 365のツール上で行われたコミュニケーションや作業状況を分析し、役立ちそうなコンテンツをレコメンド表示する「Delve」といった、分析ツールも用意している。
越川氏が便利なコラボレーション機能として挙げるのが、Word、Excel、PowerPointとSkype for Businessとのより緊密な連携だ。
例えばOffice 365のWord、Excel、PowerPointの各アプリは、「相手がファイルを閉じるまで待つ」といったムダがないのはもちろん、同じファイルを複数のスタッフが同時に編集できるのがポイントだ。互いに編集履歴を見ながら作業できるので、変更点も確認可能。離れた場所にいながら、まるでチームのメンバーとブレストしながらファイルを作っていくような感覚で作業できるというわけだ。
関連記事
- 「Office 365」を激変させる3つのポイント(後編)
「Office 365」の進化の中でも大きな注目を集めているのが分析・予測分野の機能強化だ。後編ではExcelを分析ツールに変える「Power BI」、Office 365上のあらゆる活動履歴を可視化・分析し、必要なリソースをレコメンドする「Delve」についてマイクロソフトに聞いた。 - 7つの課題に悩む“ガリガリ君の赤城乳業”を救ったクラウド(前編)
2015年、”ネタアイス”を次々と世に送り出すことで有名なアイス専業メーカー、赤城乳業がグループウェアのクラウド化に踏み切った。同社を悩ませていた7つの課題を解決したクラウドサービスは? - ガリガリ君の赤城乳業、クラウドでスピード経営へ 老舗の挑戦(後編)
われわれは小さい会社だから、全社でスピード経営を目指している――。そんな思いからグループウェアのクラウド化に踏み切った老舗アイスメーカーの赤城乳業。導入後の効果はいかに。 - 「Windows 10時代」のOfficeとの付き合い方
2015年夏登場予定の「Windows 10」。これによって企業のWindows PC利用環境にどんな変化が出てくるのか。間もなくのリリースが予告される「“ユニバーサル”版Office」と「Office 2016」の違い、そしてOffice 365やライセンスまわりの話を整理しよう。 - ハウステンボスの「変なホテル」は想像以上にスゴイらしい
ハウステンボスが7月に開業する新ホテル「変なホテル」が、なにやらスゴイようだ。 - 「Office 365」導入で、どんな効果が期待できるのか
Office 365の特徴は、「国内データセンター」で「必要な業務ツールをオールインワン提供」すること。情シスはそのコストメリットをどうとらえるか。リセラーによると、導入検討段階の企業が「ナルホド!」と一気に前向きになるポイントがあるようだ。「BCP」と「国内データセンターで提供」である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.