ユーザーテストを軽視しすぎる日本企業の問題点:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(1/3 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回はリリース前に行われる「ユーザーテスト」に焦点を当てます。世界的に見て、日本企業はユーザーテストを軽視する傾向にありますが、その理由は? そしてどのような問題があるのでしょうか。
やっとの思いでシステムが本格稼働したのに、ユーザーからは不評であまり使われていない様子。自分たちの努力は一体……。読者の皆さんは、そんな経験はありませんか? 今回は、導入から利用開始に移行するフェーズで、パッケージソフトウェアをSIと混同したために起こる失敗例を取り上げます。
連載の初回で「パッケージソフトウェアとSIは何が違うのか」をテーマとして取り上げましたが、その違いが分からないと、プロジェクト終盤のリリース段階で影響が出てしまうことがあるのです。
失敗事例12:ユーザー企業の受け入れテストが「不十分」
その失敗とは、ユーザー企業側のテストによるものなのですが、このお話をする前に、日本のSIで大多数の企業が採用している開発プロセスを説明する必要があります。開発プロセスと一言にいってもさまざまな手法がありますが、圧倒的に多く採用されているのは「ウォーターフォールモデル」です。
1970年にウィンストン・ウォーカー・ロイスによって提唱されたといわれる考え方が、今も現役であることには驚きですが、SIだけでなく、パッケージソフトウェアの導入でも、ウォーターフォールモデルを採用するプロジェクトが多くみられます。ただ、これはパッケージソフトに最適な手法というよりも、請負契約のような“プロジェクトに完成基準を求める”場合に、それ以外の方法が選びにくいためだと考えています。
ウォーターフォールモデルは、要件定義、設計、実装、試験、移行といった工程を事前に計画し、順に実行する開発手法ですが、今回扱うのが、終盤の「テスト」または「移行」の工程で行われる「ユーザー受け入れテスト(UAT:User Acceptance Test)」です。
UATとは、完成したシステムがユーザーの要求した水準に達しているかどうかを、ユーザー視点で確認するテストです。テストで確認した後にリリースするわけですから、要求通りにシステムが動くはずなのですが、往々にして、リリース後に「これ使えないじゃん」というような話が出てきます。
その原因にはさまざまなものがありますが、そもそも「UATが不十分だった」というのが日本の企業でありがちなパターンです。なぜそうなるのでしょうか。
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