ユーザーテストを軽視しすぎる日本企業の問題点:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(2/3 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回はリリース前に行われる「ユーザーテスト」に焦点を当てます。世界的に見て、日本企業はユーザーテストを軽視する傾向にありますが、その理由は? そしてどのような問題があるのでしょうか。
なぜ、日本企業はユーザーテストを軽視するのか?
まず、従来のSIに慣れたユーザー企業では、UATで真剣に問題をつぶさなくても、リリース後に問題が発覚したら「ベンダーにいつでも修正してもらえる」と考えがちな点が挙げられます。
もちろん、瑕疵担保や保守の期間を数年単位で設けている場合は、それもアリかもしれませんが、そのベンダーがユーザー企業と長年にわたって、そこそこの規模の取引がある場合、仮にそのような契約がなくても、他社に案件を奪われることを恐れて無償で対応するケースもあると聞きます。
外資系企業の場合、パッケージソフトウェアにかかわらず、そのような無償でのサービス提供は“利益供与”と見なされ、国によっては法律で公正取引上の問題に発展する可能性があるので、まず受けることはありません。日本では、まだそのような「なあなあ」な慣習が依然として主流だと感じます。
また、何かシステムに問題があった場合、日本では「作った側に問題がある」と考える傾向が強いことも、UATを軽視する一因と考えられます。そのためかUATも、「ベンダーが実施したテストを同じように繰り返す」「ベンダーに受け入れテストの内容を提示してもらってそれをなぞる」といった形式的なものになっているケースをよく目にします。果たして、問題が起こったときに責任を取るべきは誰でしょうか。
もちろん、製品として明らかに欠陥があるような場合は、製造元であるメーカーの責任ですが、以前取り上げたカスタマイズの例のように、本来の製品の特長や趣旨とは異なるカスタマイズを行ったようなケースでは、ユーザーの利便性を損なっても、一概に製品の不具合と言い切れない場合があります。
そのような事情で、不具合だとメーカーが認めない場合は、再カスタマイズや製品の機能拡張といった対応をする必要がありますが、先ほどお話ししたように、無償でのサービス提供は基本的に禁止しているため、ユーザー企業と金銭面で折り合いがつかないケースが出てくるのです。
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