ユーザーテストを軽視しすぎる日本企業の問題点:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(3/3 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回はリリース前に行われる「ユーザーテスト」に焦点を当てます。世界的に見て、日本企業はユーザーテストを軽視する傾向にありますが、その理由は? そしてどのような問題があるのでしょうか。
ユーザー企業とベンダー、相互の甘えが問題を引き起こす
「納品後にもシステムを直してもらえる」「何かあったら作った側の責任」――。どちらの話も、その根底には、長年のSIで培われてきたユーザー企業とベンダー間相互の甘えの構造があるように感じます。
この連載で述べた通り、パッケージソフトウェアを提供するのはソフトウェア企業ですが、それを選択するのはユーザーの責任です。これはSIでも言えることですが、システムの受け入れには必ず“検収”があり、それが完了すれば、ユーザー企業は、「そのシステムが自社の要求にかなったものだ」と確認したことを意味します。
何より大事なのは、そのシステムをリリースした後、当初意図した通りにユーザーに価値をもたらすことです。それが念頭にあるならUATも、当事者であるユーザー側で徹底して行うはずです。
そのような考えが一般的な企業や国では、テストを支援するためのテスティングソフトウェアやサービスの需要も高いのです。それらの多くは日本でも活用できるものですが、日本ではあまり浸透していないのが現状です。「ユーザー側で積極的にテストする」という考えが浸透すれば、日本でも、その市場が拡大する余地が十分にあるでしょう。
世の中の流れが、イチから自前で作る従来型のSIから、既製品をうまく組み合わせて使いこなすパッケージソフトウェアの利用に変われば変わるほど、ユーザー企業自身がしっかりテストし、それを受け入れる考えが重要になってくると思います。
以上、3回にわたって、プロジェクトの終盤であるソフトウェアの利用開始のフェーズに焦点を当てて例を紹介しました。次回からは、商用環境へのリリースも乗り切り、長い道のりである「運用」で起こる失敗例をご紹介します。お楽しみに。
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