DMP導入に成功するための「4つの視点」:【最終回】DMP成功まで、あと1センチ(14)(2/3 ページ)
DMPの導入に失敗しないためのポイントを紹介してきた本連載。最終回となる今回は、フェーズごとにエッセンスを凝縮して、各回の内容を振り返りたいと思います。
「やりたい!」という思いだけではうまくいかない
第5回〜第7回では、ツール選定フェーズにおける失敗を取り上げました。ここでのポイントは、DMPのようなマーケティングの根幹に関わるシステムは、担当者個人の思いだけではどうにもならないという厳しい“現実”です。
説得すべきは社内であり、他部署です。こればかりはSIerや広告代理店におぜん立てを任せても万事解決とはいきません。しかし、関係する部署が多いということは、見方を変えれば、DMPの持つポテンシャルの高さを示しているともいえるでしょう。
「会社のために必要だ!」という建前を振りかざすことも大事ですが、それだけで人と組織が動くとは限りません。徹底したクリティカル・シンキングで「あなたの部署にも貢献できます」と仲間を作る必要があります。
案外忘れられがちですが、DMPとはあくまで“システム”です。社内の基幹システムや外部システムとの連携を考えれば、プロジェクトマネジメントに関する知識と経験が求められます。連載全体を通して「マーケティングとテクノロジーの両方を理解している人材がDMPには必要だ」と訴えてきましたが、あなたは「DMPが必要なんで、何とかして下さーい」と他人任せにするだけの人になってはいませんか?
「やりたい!」を具体的な業務プロセスで考える
第8回と第13回では、導入フェーズにおける失敗を取り上げました。ここでは、「DMPがあれば楽になる」というような抽象的な考えを捨て、DMP作業時の業務プロセスを作成するような具体論が必要になることを強調しました。
その昔、DMPは「散らばったデータを1カ所に集めて、グルグル回すと何か出てくる魔法の箱」のような表現をされていたように思います。しかし、そんな魔法使いはどこにもいませんし、業務が楽になるわけでもありません。むしろ、短期的には業務量が増える傾向にあるのではないでしょうか。
「あるといろいろと変わりそう」という抽象論ではなく、導入フェーズにおいては、インプットとアウトプットを定義した業務フローベースでDMPを捉えない限り、導入しても誰も使わないのがオチです。
それに、1人の担当者がDMPの前にピタリとへばり付いて一生懸命に運用していたとしても、企業である限りは、やがて人事異動で業務から離れる日が来ます。個人の能力に依存していては、どれほど効果があったとしても、最終的にはツールが使われなくなってしまいます。だからこそ、業務プロセスの可視化が必要なのです。
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